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ヴィジュアル版世界の神話百科 東洋編 エジプトからインド、中国まで みんなのレビュー
- レイチェル・ストーム (著), 山本 史郎 (訳), 山本 泰子 (訳)
- 税込価格:5,280円(48pt)
- 出版社:原書房
- 発行年月:2000.10
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紙の本
美しい!目で見る東洋神話の驚異
2000/11/08 00:15
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:野崎歓 - この投稿者のレビュー一覧を見る
神話事典の類は、これまでどうしても西洋に関する本が主流であった。エジプトからインド、中国まで、本来宗教揺籃の地であり、かつまたありとあらゆる神話の宝庫であったはずのアジアに関しては、その全体を一巻のうちに一望できるような書物はなかったと言っていいのではないか。本書はそうした欠落を補って余りあるありがたい一冊である。
全体は三部構成で、「エジプト・オリエント・西アジア神話」に始まり、「南・中央アジア神話」を経て「東アジア神話」に到達する。神話でたどるアジア全域の旅というスケールの大きさが頼もしい。しかも特筆すべきは、ビジュアル面での素晴らしい充実ぶりである。
それぞれのパートに関する「概説」に始まり、「オシリス」や「ゾロアスター」や「ヴィシュヌ」についての簡にして要を得た解説は、事典臭さのないとっつきやすい文章ゆえに読み物としても充分興味をそそるものだ。しかもそれに加えて、そこに添えられたイラストレーション、写真の美しさときたら! カラー図版の見事さは特筆すべきもので、アジア宗教美術の一大アンソロジーとして見飽きない面白さがある。チベット十六世紀の仏像のなんたる壮麗な美! ルネサンス芸術に優に比肩する達成があったことに、今更ながら嘆息するばかりだ。
ゴージャスきわまるこの事典だが、原著よりも日本版の方がはるかにパワーアップした完全版であることを「訳者あとがき」で知って驚いてしまった。訳者山本史郎氏の言葉を引用すれば——「エジプトを中心とするオリエントについては、(……)ヨーロッパが19世紀以来研究をリードしてきたという堂々たる伝統があるのだが、インドを中心とする中央アジア、中国を中心とする東アジアなどについてはかならずしもそうではなく、そのような地域については、すでに確固たる学問的伝統が存在する日本の読者にとって、違和感をおぼえたり、物足りなかったりというような記述が、原著にはかなり存在した。したがって、この本をわが国でお目見えするにふさわしいかたちに磨き上げるという作業が、出版するための不可欠の条件となった。」
そこで日本における各分野を代表する専門家たちが動員され、原著のあやまち、不備を補うべく記述に修正がほどこされたのだという。この世知辛いご時世にこれほどの良心的編集作業がなされたことには、ただ感嘆するほかはない。不適切な図版に関しても差し替えがなされた。「本書は原本よりもはるかにすぐれた内容の書物となっていることは間違いない」という訳者の言葉が誇らしい。
座右において折に触れページを繰りたくなること間違いない一冊だ。4800円は安い! (bk1ブックナビゲーター:野崎歓/東京大学助教授・フランス文学者 2000.11.08)
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