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昔話と勇気とタイムファンタジー
2001/05/25 11:26
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投稿者:うにも - この投稿者のレビュー一覧を見る
尚はお寺の裏から聞こえた猫の誘う声に引き込まれ異界に入ってしまう。やっと見つけた洋館に住む女の人は、実は化け猫で人間の子どもをさらってきてはネズミを捕らせる手伝いをさせていたのだ。そのことを捕らわれの女の子から聞いた尚は、仲間を食われて困っているネズミたちと力を合わせて猫婦人をやっつける。
天狗の隠れ蓑、オニの雷の剣、山姥の千里眼などが登場。昔話の要素がたくさん取り入れられていて、面白い。
尚は、弱虫タイプの男の子で、山姥と聞けば、自分が食べられちゃうんじゃないかと心配し、天狗をだまして隠れ蓑を取っちゃうなんてしちゃいけないことだと悩む。それをしないと元の世界に帰れないよとネズミに言われ、思い切ってやってみる訳だけど。やってみると案外うまく山姥や鬼と渡り合ったりして、そんなところも魅力的なストーリー。
そして最後に、出会った女の子は実は尚のお母さんだったというおまけの展開もあって、読後感がとてもいい。尚のお母さんは、尚が生まれてからずっとどんな気持ちでいたのか、いつ、あのとき私を助けてくれた男の子が自分が将来産む子だって気がついたのか、なんて、創作のお話なのにしばらく考えてしまった。自分の子どもにこんな風にお話が出来たら素敵。
日本昔話のキャラクターおよびアイテム、総出演!!
2000/10/31 15:51
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投稿者:ワヤ - この投稿者のレビュー一覧を見る
—— 尚(ナオ)が迷いこんだ「かくれ山」は、時間の流れから外れた、妖怪・化け物の世界だった。
野球をしていた尚が、飛んだボールを探しに雑木林の中に入って行くと、そこはいつのまにか古い大きな黒々とした森の中。途方にくれているところでふと気がつくと、ついさっき見かけた黒猫がいる。黒猫を追っているうちに出くわした屋敷には、8匹の鈴をつけた猫と黒衣の女主人が住んでいた。
読者の予想違わず、この女主人「猫婦人」は化け猫。鈴をつけた子猫たちは人間の子ども。猫にされたトキコの警告で、尚は危うく逃れることができたが、今度はネズミ穴に落ち込んで、穏やかならざるネズミたちに囲まれる羽目に。
食べ物は好き嫌いだらけで、逆上がりさえもできない非勇者・尚。それなのに、猫にされてしまった子どもたちを助け、ネズミたちを化け猫の毒牙から救うため、鬼、山姥、天狗等々、数多の妖怪と対峙する羽目になってしまった。必要なものは、山姥の「千里眼」、天狗の「隠れ蓑」、鬼の「雷(いかづち)の剣」…。はてさてこれらをどのようにして手に入れるか、そして、化け猫との対決は?
及び腰ではあるものの、その場その場の機転でなんとかすすみ、必要な武器はととのった。いよいよ化け猫退治、こりゃあ一筋縄ではいかないという段も、猫にされていた少女トキコに助けられ、めでたく化け猫は胡散霧消。めでたしめでたしと相成った。
おそろしさの中にもどこか親しみやすさのある日本古来の精霊たち。おむすびころりんや吉四六さんなど、教えられたわけでもなく知っている日本昔話のモチーフ。それが至るところに、織り込まれているなんてもんじゃない、まるでアップリケ。安心してカードをめくりながら読み進んでいける。
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