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講談社文庫 岩上安身 「 あらかじめ裏切られた革命 」
1991年〜1995年のルポルタージュ
「ロシアは不思議な国である。我々の貧弱な常識でははかりがたい他者なのである〜ロシアという他者とどう関わるべきか。他者を他者として認め、その上で手を結び合う微妙な覚悟が必要」
反ユダヤ主義でありながらユダヤ系の指導者が多かったり、市場経済へ移行しながら政治マフィアに権力が集中していたり、国際協調よりロシアファーストな政治家に人気が集まったり...たしかに不思議な国である
タイトルの意味は、ソ連崩壊後の民主化革命が起きても、国内の権力腐敗、近隣諸国に対する大国主義や民族紛争は絶えず、国民の期待を裏切った革命だったということ
著者の歴史認識は印象に残る「歴史とは、その時代の現在から振り返られた過去の姿である。現在の位置によっては〜別の姿を見せもする」
ロシア民主化を マフィア資本主義と呼び、民主的権力とマフィアの利権の結びつきを告発した過激な内容
反ユダヤ主義をとりながらも、レーニン、トロッキーらの指導者や最近の有名政治家ジリノフスキー氏が、ユダヤ系である点は 初めて知った
「市場とは、知識人の頭の中でひねり出せるものではない。長い歴史的経験の中でつむがれる自生的な秩序である」
マフィアとは、政治マフィアを含んでいる。マフィアと戦うために必要なのは
*弱体化したKGBや内務省を建て直すこと
*マフィアと戦うために世論から支持されること
*正常な経済システムを確立する