高坂正堯著作集 第８巻 一億の日本人 みんなのレビュー

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投稿者：塩津計　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

　学生時代に知り合った妻との離婚。まだやりのこしたことがたくさん残っている時に無情なるガンの告知。しかももう治療は不可能だという。そんな時、愛国者・高坂正尭は最後まで自分の思いを書くことで無念の気持ちを昇華させようとした。そしてその思いは確かに珠玉の名文集として結実している。
　それにしても巻末の解説がやけに長いなと思ったら、これが高坂の最期を告げられ動揺した五百旗頭真教授が声涙共に下る名文で切々と早世する高坂を惜しみつつ書き綴っている。
　本当に惜しい人を無くしたものだ。後、３０年は生きていて欲しかった。経団連の講演会で無責任な反米・反戦をほざく財界人に「それなら秩序の無いところで商売してみろ」と一喝するくだりは愛国者・高坂正尭の面目躍如というところである。絶対読んで損は無い！　万人に薦める名著。