Ｅｘｃｅｐｔｉｏｎａｌ Ｃ＋＋ ４７のクイズ形式によるプログラム問題と解法 みんなのレビュー

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投稿者：蒔田　敬　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

　本書はPeerDirect Inc.（http://www.peerdirect.com/）のC++サイト，「Guru of the Week （GotW）」で出題された30題に加筆したものだ。具体的な設計とコーディングのテクニックが47のクイズ形式で紹介されている。一見技巧的に見えるコードを示し，それらの欠点を指摘するとともに適切な使用方法をていねいに解説している。
　それぞれの問題には10段階で表した難易度が表記されており，著者の判断で3から9.5までのランクがつけられている。章や問題を読むのに順番を気にする必要はない構成なので自分が思うランクの問題から始めてみよう。ただし，Part1，Part2…と連続物になっている問題もある。この場合はできるだけ通して読んで欲しい。
　問題形式はさまざまだ。ソースコードの間違い探しがあり，「例外に対して安全なコードを書く」問題あり，課題にしたがってプログラムを組む問題あり。前に出題した内容をさらに発展させた課題も出てくる。
　かなり難解な箇所もある。なかには問題の意味そのものがわからない…という場合もあるだろう。そんな場合は「クイズ形式」という事にとらわれず，さっさと解説編を読むことをお薦めする。なかでとりあげられているソースコードは実践的なものだが，その解説は肩の力を抜いた文体で読みやすい。読みすすんでいる途中で問題の意図がわかったら，そこで解説を読むのをやめて，問題に挑戦しなおすとよい。どうしてもわからない問題があっても，あきらめずにその問題と解説をじっくり何度も読み返してみよう。すると，あるときふっとひらめいて，解決の糸口が見える瞬間がくる。これはなかなか気分がよい。
　どちらかといえばC+＋中級者以上向けの内容だが，腕試ししたいプログラマーはもちろん，脱・初級C+＋プログラマーを目指したい諸氏にもお薦めしたい。本書の三章「クラスの設計と継承」は「C++のクラスの考え方はだいたい理解できているつもりだけど，つっこまれると弱い…」という消極的なプログラマー諸氏には是非読んでいただきたい内容だ。
(C) ブッククレビュー社 2000