紙の本
かぐわしきハーブの香り、ひめやかな「グリーンスリーヴス」の調べ。英国ファンタジーの心地よい魔法を感じた一冊。
2004/05/23 19:53
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:風(kaze) - この投稿者のレビュー一覧を見る
はるかな昔の空気が、そこかしこに息づいているサッカーズ農場の家。母親の身内のバーナバスおじさんと、ティッシーおばさんが暮らす家で生活することになった少女ペネロピーは、やがて16世紀後半の世界と現在の世界とを往復するようになります。過去と現在とが同時に存在している、そんな魔法のようなサッカーズの雰囲気に導かれて……。
ハーブの香りがかぐわしく立ち上ってくる、そんな物語でした。
アリソン・アトリーの『時の旅人』( A Traveller in Time 1939年作品)。イギリスのダービシャー(イングランド北部の州)、その片田舎にあるサッカーズ農場を舞台に、主人公の少女ペネロピーが300年の過去と現在を行き来するタイムトラベル・ファンタジー。読み終えて、鐘の音がごーんごーんと響いてくるような話の余韻に浸りました。
「グリーンスリーヴス」の音楽が、秘やかに、ひめやかに物語の中に織り込まれていたのも印象に残ります。
私、イギリスのヴォーン・ウィリアムズという作曲家の音楽がとても好きなのですが、彼が作曲した「グリーンスリーヴスによる幻想曲」や「田園交響曲」の音楽の一節を心の中で時折流しながら、本の頁をめくっていきました。とりわけ、「グリーンスリーヴス」の哀しみを帯びた美しい調べの音楽が、リフレインのように物語の中で鳴っていたのが忘れられません。
紙の本
時の旅人
2020/07/25 19:44
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めて読んだときは、メアリー・スチュアートについてほとんど知らなかったのですが、少し知ってからまた読んだら俄然面白くなりました。切なさと美しさが素敵な本です。
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文章、風景、雰囲気、が美しい本。時を越えるけれど、冒険する訳じゃない。時代を感じさせますが、この本の中の「現代」も十分時代を感じさせます。(笑)一度は読んでみるべき本。
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病気療養のため、母方の古い農場にやってきたペネロピーは、ふとしたことから16世紀の荘園に迷い込む。王位継承権をめぐる歴史上の大事件にまきこまれた少女の、時をこえた冒険。
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▼面白かったけど、メシの描写がものっすごいだるかった。序盤はおいしそうだとも思っていたのだけど、先が早く読みたいのにまたメシかよ! もういいよ! ▼タイムスリップものとしては正統派。▼周囲がヒロインにラブラブし過ぎてうざかった。フラグ立てすぎ。▼メアリー・スチュアートの救出作戦が密告でだめになるシーンにドキドキした。そして例の降雪……手に汗握る。ただ、500ページは、長くないか? ▼時たま菅野ひろゆきの『エグソダスギルティ』みたいに、過去と現在をとあるアイテムが繋いだりする。現代のゲーム的感覚がある。新しいと思った。(2007.1.4)
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病気療養のため、母方の古い農場にやってきたペネロピーは、ふとしたことから16世紀の荘園に迷い込む。王位継承権をめぐる歴史上の大事件にまきこまれた少女の、時をこえた冒険。タイムスリップものは好きです。
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少女は時の旅へ。
いくつもの出会いと心の交感。
そしてまた少女の視線はすこしだけ大人びていく。
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文章、風景、雰囲気、が美しい本。時を越えるけれど、冒険する訳じゃない。
時代を感じさせますが、この本の中の「現代」も十分時代を感じさせます(笑)
一度は読んでみるべき本。
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文章で見た事の無い筈の景色や、嗅いだ事の無い香りが
まるで見た事の有る景色の様に
食したり嗅いだりした事のあるものの様に
読みながら鮮明に思い描く事が出来たことが印象的でした。
ペネロピーと一緒にドキドキはらはらしたり、
うっとりしたり、でも最後は感動と切なさが残りました。
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児童文学とはいえ大人でも十分読み応えのあるストーリー。
農場の長閑で美しい情景や、瞼の奥に映る美味しそうな料理の描写もたまらない。
少女から大人への階段を上る主人公の成長と、16世紀の荘園で起こる大事件が絡み合ってページをめくるのに胸が躍るのはファンタジーならでは!
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夢の中の、夢のような話。私がこうだったら、って思う世界そのもの。
ペネロピーになりたい。もう無理だって、知ってるけど。
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もう何度目の再読になるのか。
訪英以前とは内容にたいする理解も、状況を想像することも全然違ってしまった作品。
何度読んでも好き。
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アリソン・アトリー(1884-1976)はイギリスの優れた物語作家であり、これは代表作といわれる名作ファンタジーの一つ。
これを読んで、ちらりと(設定の規模は違うものの)ピアスの『トムは真夜中の庭で』を思い出したりもしたが、こちらは土地の歴史と自然を舞台に、やはり“時”というものを扱った精妙な物語。
アトリー自身が、ダービーシャーの田舎に育ち、それこそ風のそよぎや、草木の香り、足元の土や石にいたるまで、見事に自然の美しさと活力を描き出しています。
この丁寧でこと細かい落ち着いた描写が、物語の劇的な要素を現実的にしっかりと紡いでいるのだろうと思われ、作者の卓越したところなのでしょう。
療養のため、母方の古い農場にやって来た幼いぺネロピーは、その家系と場所に宿っているであろう歴史の世界、16世紀の荘園にたびたび紛れ込むようになり、王位継承の大事件を共に経験するのであったが…。
時代は超えても、その時々の人々が生きたそれぞれの人生の機微と心がありありと伝わってくる、情景は勿論、色や匂いといったものまでが立ち上ってくる筆力が素晴らしい。
ところで、作品の感想とは離れて、蛇足ながら、主人公の女の子ぺネロピーにはクレアボヤンス(透視力)があるんですね。
これを現実ととるかどうかはその人次第だけれど、こういう世界もありうるので、それに則した記述が結構あり、今の私には(笑)それがまた興味深かったです。
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これは・・・!
これはあ!!
もう大好き。
主人公の女の子が、不思議を特別視せず、そのまま受け入れているのがすごくいい。
あと幽霊(?)の登場シーンの描写とか、ものすごいと思った。ああ、こういう感じかもしれないと思った。
最後泣いたよ・・・。
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久々のアトリーです。 実は今年に入ってから「グリーン・ノウ」を読み始めたとき、「あ、これは近いうちにアトリーの『時の旅人』も再読することになるだろうなぁ。」と思っていたのです。 この物語に初めて出会ったのは KiKi 小学生の頃でした。 当時の KiKi は幽閉されているメアリー女王に感情移入したり、そんな彼女を命がけで助けようとするアンソニー・バビントンの姿に「騎士道精神」のようなものを感じたりと、どちらかというと「ロマンチック」なイメージだけを勝手に膨らませ、感銘を受けたものでした。 だから、正直なところ主人公であるはずのペネロピーにはあんまり興味がありませんでした。
それが中学生になって再読した時には、メアリーもアンソニーも、ロマンチックもどうでもよくなって(^^;)、今度はイギリスの田園風景というか、舞台となるダービシャーの描写と中世の人たちの暮らしぶりに興味をひかれ、その描写を丹念に読む読み方をしていました。 で、相変わらずペネロピーにはほとんど興味が湧かず・・・・・ ^^;
そして今回。 実に40年あまりの時を経ての再読と相成ったわけですが、やっぱりペネロピーにはほとんど興味が湧かず(^^;)、今回もっとも興味を持ったのは「時って何だろう??」ということでした。 そもそもこれまでの読書では冒頭に出てくる以下の言葉は読み飛ばしていたのです。
(全文はブログにて)