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紙の本
愛しきうろんな客
2005/02/23 11:18
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kaoru - この投稿者のレビュー一覧を見る
うろんな客とは、要するにあやしくて、胡散臭い客のことである。
辞書で「うろん」をひくと、“あやしいこと、また、そんな様子。
または、うさんくさい様子”だそうである。妙に耳につく気になる響きだ。
うろんな客のやらかす事が可笑しくて、1ページごとに噴出さずにはいられない。
だんだんこの怪しいうろんな客が愛しく思えてくるから不思議である。
冷静に変てこな状況を、美しく語る短歌訳もすばらしい。
7.5調ってのは、やはり、日本人の胸にのこる響きなのであるな。
紙の本
「風強く
2016/02/14 18:20
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:鉄紺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
客もなきはず 冬の夜 ベルは鳴れども 人影皆無」
ある日突然珍妙な奴がやって来て、その傍若無人な振る舞いに一家は振り回され…て早17年。というお話。
ページを繰ると左手に一句、右手に挿絵。柴田氏のニヤリな短歌訳と、ゴーリーの陰気な線画の、取り合わせがたまらない。ゴーリーだもの、可愛いだけで終わるはずもなく、訳者の後書に再びニヤリである。
紙の本
楽しい迷惑。
2001/12/17 05:30
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:末永直海/作家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
わたしも大のゴーリーファンなので、ぜひ皆さんにこの本をおすすめします。
ある日突然現れ、勝手に家に住みつき、珍事を起こし、出てってくれない「うろんな客」。結婚とか子供とか、友人とか。とどのつまりは「他者」ってこうなのだ。だから楽しいし、だから思い通りにならなくても、あきらめるべし。だってそういうもんなんだもん。
この本に触れると、他人を許せるようになる。わたしは今日も、親から、友人から、楽しい迷惑に翻弄され続けている。先日この絵本を、夫婦喧嘩をしている友人に贈ったことがあったが、真意をわかってくれただろうか。
紙の本
ゴーリー作品で一番好き!
2021/12/05 11:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Qちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ゴーリーらしいブラックな世界観とユーモアが絶妙にミックスされていて、本作が彼の作品群では圧倒的に一番好きです。「うろんな客」であるヘンなキャラクターも奇妙だけど愛らしく、謎の行動に愛着が湧いて来ます。
また翻訳が素晴らしく、厳密な言葉選びとリズム感が両立されていて、勉強になります。
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文章の魅力
2019/06/19 12:25
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投稿者:Otto - この投稿者のレビュー一覧を見る
テンポよく読める。結末を気にしながら、楽しめる。これは何なのか、不明なまま惹きつけられる。家に来る他者。受け入れる人々。ふしぎな楽しさがある本。
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ゴーリー作品集め中。
2016/05/05 15:01
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投稿者:あのぱら - この投稿者のレビュー一覧を見る
「うろんな客」はゴーリー作品の中でも、可愛らしい部類の作品です。
表紙のヘンな生き物(見ているうちにだんだん可愛く思えてくるから不思議)、悪さばかりをしでかす困ったちゃんですが、なぜか憎めない。最後の解説まで読むと、あぁ、なるほど、そういうこと、と納得できます。
ゴーリー独特の素敵な絵と、柴田さんの絶妙な訳がステキにマッチしたゴーリーワールドの入口に是非おすすめしたい一冊です。
紙の本
まさに今の時代のような客
2016/03/24 00:01
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うな - この投稿者のレビュー一覧を見る
怪しい客が住み着いて色んなことをやらかすのだけど、この客って今でいうところのニートなんだなろうなぁ…と思いました。どんなに失礼なことをされても追い出せない、親の甘さとかが見えて、色々学ぶことの多い絵本でした。
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怪しいやつ
2015/07/15 13:46
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投稿者:みる - この投稿者のレビュー一覧を見る
怪しいやつが夜中にやってきてそのまま居ついちゃった。
そいつは迷惑なやつで色々やらかしてくれる。
けどかわいくてどこか憎めない。
こんな風に捉えることができたなら、子育は楽しいんだろうな。
紙の本
実は、藤子不二雄氏の定番の「奇妙な居候」タイプのお話では?とか思ったり。
2003/05/04 16:08
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投稿者:のらねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ペンギンとアリクイのアイノコのような、正体不明のどーぶつであるところの「うろんな客」さんの生態を十六葉の挿絵と短文で綴った奇妙な味の絵本。日本語訳版だと、見開きの右のページに挿絵がきて、左のページに上部に原文英語、下部に縦書き、短歌形式に訳された日本語が配置されている。
この「うろんな客」さん、なんかどーぶつみたいだけれども、靴を履いていたりマフラーをしていたり、二本足歩行していたりして、それなりに知性はありそう。でも、朝食をお皿ごと食べたり、家中のタオルを隠したり、本のページを破いたり、夜中に寝たまま出歩いたり、と、非常にはた迷惑な存在。
こんなのがいつの間にか家にきて、なんとなく十七年も居座る、というだけの、他愛がないといえばそれだけの内容のお話なのですが、よくよく思い返してみるとこのお話のシュチィエーション自体は、「オバQ」とか「忍者ハットリくん」とか、藤子不二雄氏のマンガでおなじみの構図だったりします。
それと、最後の「十七年〜」というフレーズからも、あちこちで引用され尽くした感のあるたつげ義春の某作品の締め文句、「実はまだ二階にいるのです」を連想したりしたのですが、そう思うのってわたしだけ?
酩酊亭亭主
紙の本
憎めない珍客
2002/02/25 17:14
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投稿者:カノン - この投稿者のレビュー一覧を見る
迷惑な客人なんだけれども 笑ってしまう客。とうとう17年も居座っている。
柴田元幸さんの訳し方が上手い! 原作の良さが伝わる感じ。
紙の本
傍若無人な珍客、でもたまらなく魅力的
2001/01/24 00:52
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投稿者:あきら - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙にペンギンのような、かわいいと言えなくも無い奇妙な動物が描かれた黄色く四角い絵本。暗く陰気な、繊細なんだけどぷっと笑ってしまうようなモノクローム線画に、英語原文と短歌形式で訳された訳文が付いている。
この正体不明のうろんな客がある日いきなりヴィクトリア調の家に出没して、そのまま居座ってしまう。このうろんな客、やることなすこと不可解で突拍子もなく傍若無人、そしてちょっとまぬけ。それに対してきれいに韻を踏んだ原文と、柴田元幸さんが歌人の水原紫苑さんに相談しながら訳したという短歌のリズムが、読んでいてとても気持ちいい。整った形式にシュールな内容がぐっと来てしまう原因なんだろうな。
ともすれば 訳のわからぬ むかっ腹
風呂のタオルを 一切隠蔽
暗いと面白い、かわいいと凶暴のぎりぎりの存在であるうろんな客はそのぎりぎりさにおいてものすごく魅力的だし、絵物語全体に漂う脱力感がたまらない。1970年代にうろんな客ぬいぐるみが発売されて、マニアの間で人気だと解説に書かれていたけど、なんだか欲しくなってきたぞ。あいつの考えてることはよくわからないけど、なんかいいなあ…という、そんな感じ。この読後感は癖になる。かくいう私がもう何度も読み返してしまったもの。ゴーリーの他の本も集めてしまいそう。