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紙の本
「3000万人の先祖が運営したほぼ完全な循環型社会」だった江戸時代の日本に,自然環境との共生の道を探る
2001/03/01 22:15
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投稿者:小山 信幸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「大江戸えねるぎー事情」にはじまる,江戸期の考察を通じて現代の環境問題対策のヒントを探る,“大江戸シリーズ”の最新刊。
太陽エネルギーの利用に焦点をあて「太陽エネルギーだけで生きるための知識と経験の集積」,「現実に3000万人の先祖が運営していたほぼ完全な循環型社会」であった江戸時代の社会と暮らしを,豊富な図版と文章で紹介する。稲を例にとれば,労働集約的に人手をかけて生産した米を食料とし,ワラを用いて加工品を作って使用,使い尽くした後の排泄物と廃棄物は肥料にして再生産に回す。
人力と植物を介し「ここ1〜2年の太陽エネルギー」だけを用いて,自然環境に負荷をかけずに繁栄できた社会が江戸時代だったとする。著者が繰り返し指摘するように,いまさら江戸時代の暮らしには戻れないのは確か。しかし本書が紹介する,当時の人々の豊かな暮らしぶりは,現代の右肩上がり,効率優先の常識に,根本的な疑問を痛烈に投げかける。
(C) ブックレビュー社 2000-2001
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