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紙の本

民族紛争、内戦、虐殺等で傷を負ったかけがえのない生命たちが、この地上に確かに存在したという事実の衝撃

2001/02/21 18:15

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投稿者:橋本光恵 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 90年代になってから、仕事柄、アジア各国に行くことが多くなったが、日本人として、これまでにあまりにも知らないことが多すぎたと反省することしきり。しかし、教えられてこなかったのだと弁解したい気持ちもある。いずれにしろ、今後、アジアの人々といいリレーション・シップをとってゆくためにも、アジアの過去の事実を知ること、そしてさらに現在のアジアを見つめなくてはならないと思っている。そんな時、この書のタイトルが目に飛び込んできた。アジアといっても、北はサハリン、南は熱帯のジャカルタ、東はインドシナの樹海、西はトルコのクルド地域まで、ここで取り上げられている土地は広域にわたり、改めてアジアの広大さ、話されている言語の多様さに驚かされる。これらの多くの地では、戦乱や圧制が過去のものではなく、今もなお多くの人々の心と身体、さらに地域共同体、風土などに無数の傷を作り出しているのである。民族紛争、独立運動、弾圧、内戦、民主化闘争、革命、暴動、虐殺、拷問、失踪、難民、植民地支配、強制連行、戦争責任、戦後責任・・・フリーのジャーナリスト10人(全員が“アジアプレス・インターナショナル”のメンバー)によってここに収められた10の記録は、読む者の胸をしめつけずにはおかない、生々しいものばかりなのだ。

 罪もなき人々がタミル人というだけでゲリラと疑われ、政府軍に捕われ命を落とすという悲劇が耐えないスリランカの内戦。他にスーダンの飢餓問題、東ティモール独立紛争などの取材も行なっているこの章の筆者・綿井健陽は、再三にわたって難民キャンプ等を訪れ、故郷を追われた人々、家族を失って悲しみにくれる人々をレポート。「“多数派シンハラ人と小数派タミル人の民族紛争”は民族の違いを利用した、あるいは名を借りた権力紛争だ」と怒りをぶつける。さらに彼は、2000年4月の段階で、ジャフナ半島をめぐり政府軍とタミル人反政府組織の攻防はさらに激化しており、平和交渉には、進展は見られない、と<追記>している。

 日本人にとっては避けては通れない、朝鮮人連行被害者と従軍慰安婦の問題を扱った“棄民たちの望郷歌”(筆者は韓国人ジャーナリストの安海龍)や台湾の日本占領時代に日本軍に志願した原住民たちを記録した“悲劇の高砂義勇隊とその妻たち”(筆者は日本占領時代の台湾原住民族による抗日蜂起「霧社事件」や元兵士の歴史を取材、『台湾・霧社に生きる』等を出した柳本通彦)等では、日本が侵した過去の罪の重さを思い知らされると同時に、一方では日韓双方の民間運動の努力が続けられ、その成果が少しずつ出ている事実なども明かされている。また、日本では登校拒否等が深刻な問題となっているが、学校に行きたくても行けない子供たちが村の大半を占める中国の極貧の農村地帯湖南省桑植県をレポートした“学校へ行きたい”(筆者は『匿されしアジア』等の著者、馮艶)や、インドネシア民主化と暴動・政変の最中で犠牲になっていった人々を扱った“国家の暴力の影の下で”(筆者・金武島菜)等々・・・「それらの“傷”を負った、かけがえのない生命たちが、魂たちが、苦悶しながらもこの地上に確かに存在したという事実は、決して消滅することはない」という、吉田敏浩による“はじめに”の中の言葉が印象的だ。 (bk1ブックナビゲーター:橋本光恵/Asian Pops Mag.編集長 2001.02.22)

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