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紙の本

20世紀きっての鋭い文明批評を展開した、ソースタイン・ヴェブレンの思想と人生。

2001/01/05 15:15

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:挾本佳代 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ソースタイン・ヴェブレン。その名を聞いて、まず何を思い出されるであろうか。経済学や社会学を多少なりとも学んだことのある方なら、『有閑階級の理論』の中で「見せびらかしの消費(誇示的消費)」を提起した人であると想起するかもしれない。

 自給自足経済が崩壊し、工場制工業が進展した近代社会で、農村共同体に拠り所を求めることができなくなった人々は工場で稼ぎ出した貨幣で「消費」を繰り返すようになった。そんな社会で、成り上がり者は自らの金銭的な裕福さを、ある時は妻の高価なドレスや豪華な馬車に、ある時は家中の召使いにお揃いの上等な制服を着せることで他人に「見せびらかし」た。しかしヴェブレンの目は、そのような成り上がり者たちの他人の目を意識した「見せびらかしの消費」だけを、皮肉混じりに凝視していたのではない。彼の目は遙か先を見ていた。人々の間で、このような消費形態が発生しても何の問題ともされなくなってしまった、経済活動だけが躍進する近代社会そのもののおかしさ、矛盾、瑕疵をこそ、ヴェブレンは見据えていたのである。

 ヴェブレンの功績は「見せびらかしの消費」の理論化だけにとどまらない。本書で宇沢弘文氏が主張するように、ヴェブレンの最大の功績は経済体制批判を通して、鋭い近代文明批評を行い続けたということにある。初期の著名な論文「経済学はなぜ進化論的科学ではないのか」では、人間が共同体の中で行ってきたそもそもの経済行為を考慮すれば、決して因果関係の追求だけに終始する古典派経済学にみられるような経済理論は成立しないと徹底して論じられている。また『有閑階級の理論』と同じ観点から、近代人の人間性の変質にまで踏み込んだものに『製作者気質の本能』があることも忘れてはならない。人間が共同体の中で生きていく、その本来的な性向が「製作者気質」と呼ばれていた。この気質が近代産業によって圧迫を受け、人間から喪失してしまった状況は、ヴェブレンにとってどれほど奇異な社会に映っていたのであろうか。

 本書の魅力はほかにもある。それは、宇沢氏が理論的にも思想的にも傾倒するヴェブレンの生涯を、彼の著作を交えつつ見事に展開しているということだ。ノルウェー移民の子であるという出自をもつヴェブレンが米国の大学に就職するのが困難であったこと。彼は女性問題を常に抱えていたために、大学の中でも出世することができなかったこと。それでもヴェブレンは自らが信じる思想を貫き、一生研究者でいたこと。その反面、晩年は寂しい生活を送っていたこと。様々な人たちとのめぐり会わせや幾多の出来事との遭遇があったとはいえ、最終的に堅固な思想を貫いたヴェブレンが孤独であったことがわかる。孤独であったからこそ、数多くの文明批評を何者にも邪魔されずに徹底させることができたのだとも考えられる。

 後世ヴェブレンを起点とする制度学派経済学の理論を受け継いだ人たち——ジョン・メイナード・ケインズ、ジョーン・ロビンソン、ジェーン・ジェイコブス、サミュエル・ボウルズ、宇沢弘文——の業績も簡潔にまとめられている。著者自ら、ヴェブレンの後継者であると明言してはばからないその潔さがいい。 (bk1ブックナビゲーター:挾本佳代/法政大学兼任講師 2001.01.08)

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2011/11/22 19:37

投稿元:ブクログ

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