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みんなのレビュー35件

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評価内訳

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35 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

貴重な比較文化的観察記録

2008/11/01 12:16

10人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:CAM - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書は、文庫版のカバーにもあるように「昭和37年秋、中公新書の発刊によって世に問われ、西欧ヒューマニズムに対する日本人の常識を根底から揺さぶり、西欧観の再出発を余儀なくさせ、さらに今日の日本人論続出の導火線となった名著である」。 当時の我が国では、海外旅行はまだ限られた少数者のみにしか許されなかったこともあり、西欧についての言論は一般的にかなり観念的であったと思う。それだけに、西洋史専攻の京大教授という最高級のインテリが、「『イギリス人を全部この地上から消してしまったら、世界中がどんなにすっきりするだろう』私はつくづくそう考えた」(p.82)、「15年を経た今日でも、思い出してくると私ははげしい感情にかられる。『万万が一、ふたたび英国と戦うことがあったら、女でも子どもでも、赤ん坊でも、哀願しようが泣こうが、一寸きざみ五分きざみ切りきざんでやる』という当時の気持が、こんなことを書いているとまざまざとよみがえってくるのだ」(p.60)とまで述べられた本書の内容は、当時かなりの話題を呼んだのであるし、今読み返してもかなり刺激的である。 英国人というか西欧人の植民地管理の巧みさを、「屠蓄と飼育」という要素から分析されているのも、当時としてはかなり目新しいものであったのではなかろうか。 また、全裸の英国人女性兵士が、日本人捕虜の前では全く羞恥心を示さない、その存在を無視しているようである(p.48)、というのも、私が中公新書版で初めて読んだときに印象的であった部分である。

 森永卓郎氏は、幼少期に米国の小学校で自らが身をもって受けたイジメから、米国人のイエローに対する生の感情を体感したことを述べておられる。そして、一定の地位と収入をベースにした成人後の留学や米国勤務にともなう交際から感得する米国人についての印象は、決して平均的・一般的なものではありえないと述べておられる。 英国人論についてみても、比較的下層の人間との交流に基づく観察をベースとする本書と、エリートと接した経験をもとに語られた例えば藤原正彦氏と中西輝政氏との対談「論理を盲信しないイギリスに学べること」(『日本人の矜持』新潮社刊所収)とを読み合わせると、およそ同一の民族、社会について語られたものとは思えないほどかけ離れた内容となっている。比較的階層格差が小さい日本社会においてさえも、個人的格差、経済的格差、地域格差は相当なものがあるのだから、社会的格差が大きい他国社会について論じる場合には自らの限られた知見を安易に一般化しないという謙虚さが必要であろう。

 本書では、英国人についてのほか、インド兵の卑屈さなども鋭く描写されているほか、日本人捕虜の行動状況から得られた「私たち日本人は、ただ権力者への迎合と衆愚的行動と器用さだけで生きてゆく運命を持っているのだろうか」(p.136)というような省察も語られている。

 著者は、本書によって評論界に出られた後、昭和40年代においては、かなりマスコミで活躍されていた。当時の日本言論界では圧倒的に左翼的観念論が支配的であったが、会田氏は数少ない保守派論客として現実的で鋭い主張をされており、私もその多くを愛読していた。 会田氏は平成9年(1997年)に亡くなられ、その著作の多くは現在ではほとんど入手不可能な状態であろうが、本書は、捕虜収容所被収容者という極限的で異常な立場から、そしてそうだからこそ体験できた英国人等や日本人自らの生の姿についての、一人のインテリによる鋭くかつ貴重な比較文化的観察記録として、今後も「名著」として残っていく価値があるものと考える。

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紙の本

戦争について考える際の古典

2008/08/31 22:09

10人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る

私は高校生の時にこの本を読んだ。進学校の高校生だったとはいえ、我ながらかなり早熟な高校生だったと思う。きっかけは会田雄二先生が書いた「合理主義」を読んだからだった。同じ著者が書いた名著があると聞いて、手にとって読んだのが本書だ。

本書の中で、著者の会田雄二氏は英国人と聞いただけで「赤ん坊だろうが子供だろうが哀願されようが殺してしまいたい」と、その心情を吐露されている。京都大学教授に終戦後すぐになった知識人の会田雄二氏が、なぜここまで英国人を憎むようになったのか。その過程は本書に詳しく書いてある。が、ようするに英国人をはじめとする西洋人のこじゃれた「思想」なるものは、所詮「白人様」同士にのみ適用される高邁な考えにすぎず、有色人種には人権もへったくれもないということを会田氏がその目で見てしまったことが大きい。

19世紀にダムダム弾なる「非人道的兵器」が開発され、その使用が禁止された。なんでもこの弾丸を被弾すると肉がちぎれ骨が砕けて悲惨な状況になるので「非人道的」な兵器と指定されたんだそうな。しかし、しかしである。英国はこのダムダム弾をアフリカの植民地の反乱鎮圧には容赦なく使用して「効率的な鎮圧」を成し遂げたと自慢したりしている。白人の人権思想なぞ、所詮、その程度のものなのである。

本書では様々な白人どもの悪辣なる悪だくみの数々が出てくる。日本の捕虜を飢餓線上にさまよわされておいて、アメーバ赤痢に汚染されていることが知られた蟹の這いまわる海辺を散歩させ、日本兵に蟹を食べるに任せ、彼らがアメーバ赤痢に罹患して苦しみながら死んでいく様をじっくり観察する英国兵。口をあんぐりとあけさせて、そこへ小便を垂れる英国兵。

本書を読めばわかるが、アメリカはあくまでその支配方法において直載ではあったが、ストレートで素直で裏心がない爽やかさがあるが、英国のそれはよくいえば老獪、そのまま言えば悪質で、フランスのそれは残虐であったことが分かろうというものである。

英国やフランスを理想化してはならない。アメリカというものを過度に憎んではならないことが、本書を読めば、よおくわかる。

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