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高い評価の役に立ったレビュー
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2002/01/17 21:38
アブラムシの認識が一変する
投稿者:ケルレン - この投稿者のレビュー一覧を見る
アブラムシといえば、庭の草花にしつこくしがみついている、いまいましい虫としか思っていなかったが、本書を読んでその認識は一変した。
生物学の研究者向けに書かれたのだと思うが、とても読みやすい構成とレイアウトで、添えられた写真や図も精緻で美しく(ゆえにかなり気持ち悪いところもある)、生物学もアブラムシのこともろくに知らない人間にとっては驚嘆するような記述の連続なので、「なんだこりゃ」とか「げぇーっ」とかつぶやきながら、どんどん読み進むことができた。
それにしても、アブラムシとは、なんと不思議な生き物だろう。虫なのに単為生殖のときは胎生で、おまけに宿している子供の中では、すでにその子供の卵細胞ができていて、その卵細胞が胚になる頃には、そのまた子供の卵細胞ができているという入れ子構造になっていて、爆発的に増殖していくのだ。この驚異的な増殖による大量のアブラムシが、直接間接に多くの動物の食物となり、生態系の中で重要な位置を占めている。
他にもアブラムシをあらゆる角度から取り上げているため、アブラムシを視点にして、環境の変化が生物に及ぼす影響や生物同士の密接な関わりが見えやすくなっている。アブラムシは、身近なレベルから生態系について学ぶのに適していると思うし、その面でも本書は優れた参考書である。
低い評価の役に立ったレビュー
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2001/01/29 00:15
系統進化から,種間関係,殺虫剤抵抗性まで,アブラムシ研究の最新の知見を集大成した本邦初の総合解説書
投稿者:廣多 勤 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アブラムシ類はこれまでに約4300種が知られている。それぞれに宿主も天敵も異なり,極めて複雑で多様な生活史をもつ。本書は,このアブラムシ類の全体像について,世界の最先端の研究成果を取り込みながら,日本の第一線の研究者が共同して編集,執筆にあたったアブラムシの総合解説書。これまでアブラムシに関する書籍としては,防除法の技術解説書程度のものしかなく,農業生物学の基礎研究の立場から,アブラムシを生物群としてここまでトータルに解き明かした総説書は,少なくとも本邦ではこれまで出版されたことがなかった。
本書の各章に引用された文献の総数は792編に上る。このうち,1990年以降に発表されたものが351編(44%)で,95年以降のものが195編(25%)を数える。これは,この10年間にいかにこの分野の研究が幅広く飛躍的に進展してきたかを示すと同時に,本書が,それらを,余すところなく網羅していることを意味する。内容は形態,分類,系統進化から,天敵,種間関係,社会生物学,そしてアブラムシ研究の中心的関心のひとつである生殖生理と生活環の各論,殺虫剤抵抗性の分子生物学にまで至る。現時点におけるアブラムシ研究の全体像を知る参考書としては,世界的にも希有な書籍であるだけでなく,ユニークな構成で,かつ,もっとも新しい正確な情報に基づいてていねいに解説されている良書である。
昆虫の1つのグループをテーマ対象としてまとめられた生物学書として,非常に読みやすく編集されており,昆虫以外の生物を扱う生物研究者をはじめ,専門外の読者でもアブラムシという生物群の際立った面白さを十分に整理して理解できる。もちろん,農業生物学の研究者には必読の1冊であろう。
(C) ブッククレビュー社 2000
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紙の本
アブラムシの認識が一変する
2002/01/17 21:38
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投稿者:ケルレン - この投稿者のレビュー一覧を見る
アブラムシといえば、庭の草花にしつこくしがみついている、いまいましい虫としか思っていなかったが、本書を読んでその認識は一変した。
生物学の研究者向けに書かれたのだと思うが、とても読みやすい構成とレイアウトで、添えられた写真や図も精緻で美しく(ゆえにかなり気持ち悪いところもある)、生物学もアブラムシのこともろくに知らない人間にとっては驚嘆するような記述の連続なので、「なんだこりゃ」とか「げぇーっ」とかつぶやきながら、どんどん読み進むことができた。
それにしても、アブラムシとは、なんと不思議な生き物だろう。虫なのに単為生殖のときは胎生で、おまけに宿している子供の中では、すでにその子供の卵細胞ができていて、その卵細胞が胚になる頃には、そのまた子供の卵細胞ができているという入れ子構造になっていて、爆発的に増殖していくのだ。この驚異的な増殖による大量のアブラムシが、直接間接に多くの動物の食物となり、生態系の中で重要な位置を占めている。
他にもアブラムシをあらゆる角度から取り上げているため、アブラムシを視点にして、環境の変化が生物に及ぼす影響や生物同士の密接な関わりが見えやすくなっている。アブラムシは、身近なレベルから生態系について学ぶのに適していると思うし、その面でも本書は優れた参考書である。
紙の本
系統進化から,種間関係,殺虫剤抵抗性まで,アブラムシ研究の最新の知見を集大成した本邦初の総合解説書
2001/01/29 00:15
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投稿者:廣多 勤 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アブラムシ類はこれまでに約4300種が知られている。それぞれに宿主も天敵も異なり,極めて複雑で多様な生活史をもつ。本書は,このアブラムシ類の全体像について,世界の最先端の研究成果を取り込みながら,日本の第一線の研究者が共同して編集,執筆にあたったアブラムシの総合解説書。これまでアブラムシに関する書籍としては,防除法の技術解説書程度のものしかなく,農業生物学の基礎研究の立場から,アブラムシを生物群としてここまでトータルに解き明かした総説書は,少なくとも本邦ではこれまで出版されたことがなかった。
本書の各章に引用された文献の総数は792編に上る。このうち,1990年以降に発表されたものが351編(44%)で,95年以降のものが195編(25%)を数える。これは,この10年間にいかにこの分野の研究が幅広く飛躍的に進展してきたかを示すと同時に,本書が,それらを,余すところなく網羅していることを意味する。内容は形態,分類,系統進化から,天敵,種間関係,社会生物学,そしてアブラムシ研究の中心的関心のひとつである生殖生理と生活環の各論,殺虫剤抵抗性の分子生物学にまで至る。現時点におけるアブラムシ研究の全体像を知る参考書としては,世界的にも希有な書籍であるだけでなく,ユニークな構成で,かつ,もっとも新しい正確な情報に基づいてていねいに解説されている良書である。
昆虫の1つのグループをテーマ対象としてまとめられた生物学書として,非常に読みやすく編集されており,昆虫以外の生物を扱う生物研究者をはじめ,専門外の読者でもアブラムシという生物群の際立った面白さを十分に整理して理解できる。もちろん,農業生物学の研究者には必読の1冊であろう。
(C) ブッククレビュー社 2000
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