迷宮学入門 みんなのレビュー

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投稿者：mau　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

　「迷宮は（略）カオス的状況とはまったく無縁の存在である。迷宮を支配しているのは、極めて高度な計算と理性と秩序にほかならない。（ｐ8）」

　これ、結構私には「目からウロコ」の本でした。
　迷宮は迷路とは全く別物、隠蔽されてはいるものの中心へ強制的に到達させるための道具であり、また「中心への到達→離脱」という過程を踏むことで、一種の通過儀礼として機能し、様々な物語を添加する…。

　これまでの研究により提示された諸説を、豊富な例と図版で分かりやすく紹介した、ふむふむなあるほどの一冊。読み終わってからも参考文献を漁りたくなってしまう。

　それにしても、久し振りに新書らしい新書を読んだ気がする。最近は新書でも「自称知識人？の雑学エッセイ」みたいな本が多いけど、こういった専門分野のきっちりした入門書の需要は常にあるはずなので、（ベストセラーは無理だろうけど）頑張って出版して欲しい。