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紙の本

ポーランド出身のヤン・コットが、カントルについて綴った短文を纏めた小冊子

2001/02/01 18:16

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投稿者:安原顕 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ダデウシュ・カントール(1915〜1990)とはユダヤ系ポーランドの演出家、美術家である。『集英社世界文学事典』によれば、南ポーランド、ヴィエロポーレ生まれの彼は、近代劇の概念と形態をさまざまな形で否定し続け、生涯、「前衛」としての姿勢を貫き、『オデュッセウスの帰還』は舞台ではなく、戦争で破壊された「現実の部屋」で上演、プロットは排除、役者は演じることをやめた。<そうした消去の果てに演劇の本質、流動する「空間」が現出する>、これがカントール演劇の原点だった。その後、一時、絵画にも手を染め、その理念は1950年代の「アンフォルメル絵画」へと引き継がれ、61年には「アンフォルメル演劇」も提唱。さらに、テクスト再現の無効性を宣言、「演技なき演技」「ゼロの演劇」、現実と偶然性を重視した「ハプニング演劇」なども展開させ、演劇と美術の領域を往還しもした。本書は、同じくポーランド出身のヤン・コット(1914〜)が、カントルについて綴った短文を纏めた小冊子である。この2人に、イエジィ・グロトフスキを加えた3人が、20世紀が輩出した「世界的演劇人」ということになる。ぼくはヤン・コットに一度だけ会っている。『海』時代、安部公房と対談をしてもらったからだ。その時、安部公房はヤン・コットの名すら知らず、呆れたことを思い出す。『シェークスピアはわれらの同時代人』(白水社)などの翻訳もあったにもかかわらずだ。安部公房の新作芝居『愛の眼鏡は色ガラス』(73年)を見てもらったところ、「これはベケットじゃないか」と、ヤンは言っていた。<カントルは現代演劇の世界で、もっとも偉大にして一貫性を持った頑固一徹な革新者の一人だった。彼の演劇を見る機会に恵まれた者なら、誰でもそのことを忘れることはないだろう。役者としてのマネキンを、マネキンとしての役者を、繰り返し何度も、幻覚のように立ち戻ってくる音楽のルフランを、空っぽの舞台に数枚の板でしつらえた、とうの昔になくなった家々の部屋を。(……)カントルは「戦争の記憶、残酷の記憶、死者の記憶」を蘇らせる。それは唯一の、おそらくは最後の旅芸人の劇団だった。クラクフからニューヨークへ、フィレンツェから東京へ、ヨーロッパから南北アメリカとアジアへ。(……)カントルが自分の言語で観客に語りかけると、それは共通言語となり、彼ら自身の父祖の忘れられた記憶を蘇らせてくれるのだ>。これは1990年12月、ヤン・コットの書いたカントル論の一節だ。

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