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月の光はいつも静かに みんなのレビュー

  • 甲斐 透 (著)
  • 税込価格:6606pt
  • 出版社:新書館
  • 発行年月:2001.1
  • 発送可能日:購入できません

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紙の本

コンプレックスを持つ英雄が良い

2001/08/24 23:59

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:さとる - この投稿者のレビュー一覧を見る

 マイナーだが、なかなかいい作家を抱えているのではないかと思える小説ウィングスの新人賞においてデビューした著者の初文庫。デビュー作に同一シリーズの短編を書き下ろしたものを収録している。
 人質の姫と逃亡した元部下の近衛騎士を流民の血を引く遊撃隊隊長ダガンが追跡していく。自分とは違い、恵まれていたはずの近衛騎士アドリアンは、なぜ姫と逃亡したのか。追いついたダガンにアドリアンが吐露した心情とは。
 話の中心となる人物たちは、どれも何らかのコンプレックスを抱き、進むべき道を迷っている。2篇の物語において中心となっている若者はもちろんのこと、その二人に尊敬されているダガンもまた例外ではない。英雄的立場にありながらも、きちんと部下やその他の者に対してコンプレックスを持っている彼は、なにかとても好感が持てる。人生の岐路に立たされて思い悩む部下をどうするか、さらに悩んでいる彼は、有能な男でありながらも等身大の人物という印象を受けて、不思議な感じだ。
 しっかりとした文を書くほうではないかと思うので、これからも頑張って欲しい作家である。

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