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紙の本
むきだしのリアル
2004/08/02 11:44
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投稿者:たっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
愛ちゃんに借りたねこぢる漫画、『ぢるぢる日記』を残し全部読んだ。あと一冊と思うと、なんだかさびしい。
『ねこ神さま 2』にでてくる話にこんなのがある。
2匹のねこ神さまの先輩に無職のノラ造くんというのがいて、どうも2匹のねこ神さまからすでに何度もお金を借りているらしい。そのノラ造くんがまたお金を貸してくれという。300円、いや200円、100円でもいい。ねこ神さま、ノラ造くんの金の無心を断る。だって「ノラ造くん、お金返してくんないんだもん」。そう言われて寂しそうに去っていくノラ造くん。その背中に、ねこ神さまが声をかけ、なけなしの60円を貸す。借りることを躊躇するノラ造くん。そこでねこ神さま、「もう返してくれなくていいから」。「そのかわり、もう来ないでくれる?」そしてとどめの一発、「あっ それから…フィリピン行ったら? 腎臓買ってくれるってよ…」。「腎臓」だけ強調の意味か、赤い文字。ひゅーと風が吹き、ノラ造くんは涙を流しながら去って行く。
言葉で説明すると、かったりーなー、もう。無表情に淡々と事実で押して行くねこ神さまと孤独なノラ造くんのあいだに吹く風はまさしく「いま」の風と思われた。ノラ造くんには事実を事実として受け入れたくない弱さと甘えと叙情がある。
ねこぢるのといっしょに借りた山田花子の『花咲ける孤独』も面白かった。
なんでこのコマにこの絵とセリフが来るのか、どう考えても分からないところがあって、不思議な気がした。たとえば、あるストーリーの終りの「終」の文字が猫の顔の真ん中に描かれているのなど。必然性が感じられない、ってゆうか…。でも、好き。ここにこうして書き残したくなるほど。印象的だった。
この不思議感が独特。漫画自体(漫画はストーリーやセリフを含めての漫画だろうから、この場合、絵ということだが)はヘタ。
読み終えて奥付を見たら、「24歳(92年)の初春、精神分裂症のため2か月半ほど入院。5月23日に退院するが、翌24日の夕方、高層団地の11階から投身自殺。」とあった。こういう漫画を描くひとだからこういう死に方をするのか、こういう死に方をする人だからこういう漫画が描けるのか、ぼくには分からない。そんな疑問自体ナンセンス! と、ねこ神さまに馬鹿にされるか無視されそう。
ねこぢるにしても、山田花子にしても、この世のものとも思われぬ強力な磁力を極北へ向かって垂直に放射している。自分の甘えがうっとうしくなった時、またきっと読み返すだろう、と、思った。
二人の漫画のネタにされないような生き方をしたいとも思うけど、今の時代じゃなくたって、この世じゃ無理だ。無理だよたぶん。それぐらい、むきだしのリアルが転がっている。むきだしってのがヤバイ!
紙の本
かわいい!面白い!でも怖い…
2001/05/02 11:19
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投稿者:秒針のない時計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
神様にでっち奉公する二匹の猫、ねこ神さまが人間の願いを叶えようとするのですが…。それが裏目に出たりして悲惨な結果になったりする。タイトルであなどってかる〜い気持ちで読むとショックを受けるかも。
ねこ神さまはかわいいのですがけっこう、怖いかも。
一度読むと、はまってしまう世界です。
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