紙の本
とっつきにくい税制問題について,時の話題であるポイントを要領よく解説
2001/04/17 18:18
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投稿者:尾崎 護 - この投稿者のレビュー一覧を見る
税金のことなど考えずに暮らすことができたら,こんなにいいことはないと思うけれども,現実はそうはいかない。それは個人的な問題としてだけではなく,世の中の動きに追いついていくためにもある程度の税の知識が必要である。なぜブッシュ大統領は大減税をするのか,しかも相続税をなくすなどといっているが,それはどういうことなのか,株価対策としての税制改正が話題になっているが,なぜ非課税にできないのか,等々,一人前の社会人としてはある程度の税の知識なしには時局も語れない。
では,と志を立てて財政学の本をひもとけば,難しい課税原則の話や,微分方程式やら見慣れぬグラフやらが並んでいて,いま議論されている問題とは迂遠(うえん)なこととしか思えない理屈が書き連ねてある……。こんなもどかしい思いをしたことがある方に,この本は絶対お薦めである。
筆者の森信茂樹氏は大阪大学の教授であるが,以前,大蔵省で税制の実務を担当していた。従って,税を理論的に論ずるだけでなく,人間の生活に欠かせない社会的存在物としてみている。社会の進歩により人間の生活の仕方が変化していくのにつれて,税制も変化していく。しかし,その変化にかかわらず,いつの世にも貫かれている税の原則もある。原則と変化のバランスの取り方に実務家は苦しむ。株価対策が重点政策だからといって,ただちに株の取引・配当・譲渡益を非課税にできない事情があるのである。
それはなにか。答えをこの書から知ることができる。新書版200ページで,年金課税,金融課税,株の譲渡益課税,ベンチャー課税,外形標準課税,福祉目的税(消費税),相続税,IT申告,電子商取引課税,環境税と,時の問題にまんべんなく触れ,問題点の大筋を解説している。一読後いっぱしの税制通になれること請け合いである。
(C) ブックレビュー社 2000-2001
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とりあえず、「税率を下げ課税ベースを広げる」「所得課税から消費課税へ」というのが国際的税理論にある、という事実が学べただけで、よし、としましょう。もうちょっと難しくして欲しかった。
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今までは購入地で税金がかかっていたが、インターネットで日本にいてアメリカのデジタル財やら商品を購入した場合の税金はどうなるのか、ということが書かれている。今後の国際税務も色々と大変そうだ。
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[ 内容 ]
所得税、消費税……なぜ必要で、仕組みはどうなるべきか?
環境税、電子課税等を含め、生活に役立つ税金の基礎知識を専門家が易しく解説。
[ 目次 ]
第1章 何のための税金か
第2章 所得税1――グローバルスタンダードに近づくために
第3章 所得税2――ジャパニーズ・ドリームは実現可能か
第4章 法人税――外形標準課税をどう考えるか
第5章 消費税――制度の信頼性向上にむけて
第6章 相続税――ストック経済化の中で考える
第7章 IT時代の税制
第8章 インターネットと税金――国際的な電子商取引と課税問題
第9章 環境税――二十一世紀税制の課題
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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こういう税金のシステムとかの話は複雑で多岐にわたって、かつ面白くないので頭に入ってきませんね。勉強したい人は読むと良いでしょう。
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所得税、法人税、消費税、相続税の概要・仕組み・課題と、インターネットと税、環境税について書かれていた。そもそもの税の目的や仕組みがわかってないと難しい本ですね。
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○「所得税」「法人税」「消費税」「相続税」といった、日本のもっとも基礎的な税の性質について、簡単に読み解くには良いと思います。なぜなら、この本は税における「公平」と「活力」という関係から、これらの税について考えているという点で、内容が一貫されているからです。
○もちろん内容は具体的な事例を踏まえたものですが、抽象的に考えても、「公平」であるということは、成果をあげた人が頭を抑えられるということになりかねず、「活力」があるということは、成果のない人ほど成功する機会が失われると言うことになりかねない。成果のない人には給付でもすればよいといえば、それは公平に資する事になる。結局この2つはトレードオフの関係、また、どちらに偏っても社会は停滞へ向かってしまうということが考えられます。
○包括的所得税から消費税、消費税の福祉目的税化、インボイス方式、IT時代の税、グローバル時代の税(トービン税を背景にした環境税など)、これらは今でも新しい話題ですから、この本を読んでも古さを感じませんでした。10年以上経った今読むべきかは分かりませんが、要点はまったく古くありません。その意味で驚きのある本です。