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紙の本
最初の貨幣と国家の陰謀
2004/07/06 13:21
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:闘竜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
慶雲五年(708)、秩父郡で銅が発見され、朝廷に献上された。これを祝って年号を和銅とあらため、和同開珎とよばれる日本最初の貨幣を発行した。というのが誰もがふつうに知っている歴史の定説だった。ちょっと古銭に詳しい人なら銀銭がさきに発行され、おくれて銅銭が発行されたことも知っているだろう。
けれども奇妙なことに、かつて秩父の地に銅山などなく、銅銭を化学分析してみると山口県産の銅が使われていたという。銅の発見を記念したはずなのに、銀銭をさきに発行しているのも不思議だ。というより銅の献上は十年前にもあり、年号をあらためるほどのことでもないらしい。さらに史書をひもとくと天武十二年(683)、「銅銭を用い銀銭を用いることなかれ」という詔があり、その後も694年と699年に造幣局にあたる「鋳銭司」に関する記録がある。和同銭以前に貨幣はつくられていたのか。これらの謎はいったい何を物語るのか。
近年出土され、和同銭以前のものと発表された富本銭は、こうした問題を解決する道を拓く。そのため著者はもうひとつ、富本銭発見以前から知られていた「無文銀銭」とよばれる考古資料に注目する。無文銀銭とは中心に穴のあいた貨幣状の銀製品で、これも和同銭以前のものとされているのだが、著者は無文銀銭・富本銭・和同銀銭・和同銅銭(この順序が重要)から、さまざまな謎を解明し、史書の矛盾を統一する、貨幣誕生についての独自の説を導きだす。それは国家が利ざやを稼ぐための周到な陰謀で、書きようによっては上質の探偵小説ほどの物語なのだが、もったいないことに著者は序文で自説の論理と方法と結論をあらわにしてしまっているのだ。そうはいっても古銭愛好家は必読。そうでなくとも一読の価値あり。
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