紙の本
いまこうしてみても、このブックデザインは秀逸だよね。辰巳四郎さーん、って声をかけたくなっちゃう。で、小説の方もね、大学の怪から幼い日の思い出まで、じつにバラエティに富んでるんだ
2003/10/06 20:22
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投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
全作品を読んでみたいと思わせる作家が私には何人かいる。例えば、文庫本が、頁数のせいで殆どサイコロのような形状になっている京極夏彦。ローマを書かせたら、右に出るもののいない塩野七生。亡くなってしまったけど、伝奇小説を現代に生き返らせた半村良。そして小鳥遊練無という最高のキャラクターを生んでくれた森博嗣。その、森の八つの短編を収めた作品集がこれ。今まで出た作品と統一感のある辰巳四郎の手になるカバーデザインもいい。
小鳥遊練無(ルビが降ってあるのに、読み方が少しも覚えられない。私にとっては殆ど象形文字化)が、いつものように女装で登場しないのが寂しい。でも、気に入ったのはやっぱり、練無がフランソワという名前の日本人に誘われて見る「ぶるぶる人形の怪」。
他にも学校の窓ガラスにあいた無数の穴を巡る科学的な推理、少年の幻想談など実にバラエティに富んだ内容で、カバーとは違って統一感はないけれど、好きなタイプの作品がきっとある、という点では万人向けだろう。
予想外だったのは、模型好きな少年を時間軸の中で大きき成長させる「素敵な模型家さん」。森の多才さを見せつける一作といっていい。子供のころの情熱、それを包み込むほの暗いノスタルジー、そして愛情。正直、舌を巻いた。いかにも工学博士らしい他の作品に比べ、地味かもしれないが、ワクワクしながら読んだ。どこか瀬名秀明『八月の博物館』の回想場面を思いだしてしまった。
最初は余り好きでなかった香具山紫子も、だんだん嫌味が気にならなくなって、もう一度あの騒がしい仲間に会いたいという気にさせるのだから、完全に森博嗣の手の中に絡め取られたのかもしれない。作品の出来にばらつきがあることを認めた上で、執筆ペースの速さ、出版量の多さも加味すると、今世紀前半を代表する日本の(推理)小説家になること間違い無し、むしろ巨匠に一番近いのではないのかと思う。この人、本当に愛知県の大学工学部の助教授なのだろうか、本職のほうは大丈夫? 文章もどんどん上手くなっている。
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読み終わったあとに「だからなに」と言ってしまいたくなる『ゲームの国』が良い感じ。(珍しく)アナグラムの問題が分かったのもちょっと嬉しい。卒業文集に寄せられた分が幾つも載せられて、このまま終わるのか、と思ったら最後に「なるほど」と腑に落ちて二度読み。短篇のお手本みたいな『卒業文集』。
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短編集。『卒業文集』はある意味反則(でも面白かった)。『恋之坂ナイトグライド』は森氏らしいドライなロマンチシズムを感じた。
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Vシリーズ半ばで出版された短編集で、S&MシリーズとVシリーズの時間関係を誤認させようという意図を感じる。最後に「なるほど」と思えるか否かで評価が分かれそう。『私の崖はこの夏のアウトライン』が好み。
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森作品シリーズを一から読んでる現在…。
今回は時間がなかったので短編集にチャレンジ。メインは相変わらず犀川先生。…犀川先生大好きです!
しかし、多重人格の天才って設定多いよなぁ。好きだけど、ふと思った。
個人的には高校の文化祭で国枝助手が逃亡したのがツボでした。
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「一部には濃厚なボディ・ランゲージでコミュニケーションを試みるカップルもいたが、集団は、そうした異端を中心から排除するように移動する傾向にある(集団全体の移動が容易な場合に限られるが)。ちなみに、これを≪置いてきぼりの法則≫という。知らない間に、集団から取り残された位置に自分たちだけが立っている状況を認識して、二人は急速に白ける(白けない場合もある)。実に普遍的な社会現象であることは確実だが(後略)」
(2009.5)
(2003?)
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短編集。以前読んだのに書き忘れていたみたい。
「ぶるぶる人形にうってつけの夜」が、今思うと憎たらしい…(笑)
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講談社ノベルスの森さんの短編集第3弾です。
前作【地球儀のスライス】に出てきた
西之園と小鳥遊がコラボです(笑)
相変わらず難しい単語とか理屈っぽい表現が出てきて読んでると眠くなったりするけど森さんの作品だから・・と頑張って読みました(^^;)
正直、他の作者さんだったら途中で読まないかも。
結局、最後なんだったの?ってのも微妙です。
「卒業文集」は淡々と卒業文集が続くという
作品ですが、すごく印象に残りました。
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短編集。はじめの2篇『どちらかが魔女』『双頭の鷲の旗の下に』は、S&Mシリーズの番外編。3篇目『ぶるぶる人形にうってつけの夜』はVシリーズの番外編。やはり、人物相関などを知るために、それぞれのシリーズを読んでから読んだ方が良い作品である。『ゲームの国』は登場人物の名前の妙に、途中で気づいたが、最終的に犯人は誰であって、動機が何なのかが解らなかったので、ちょっとすっきりしなかった。『私の崖はこの夏のアウトライン』はちょっとホラーめいていてぞっとする話だった。
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どの短編も結構面白かったです。シリーズが好きなので「どちらかが魔女」、「双頭の鷲の旗の下に」、「ぶるぶる人形にうってつけの夜」が個人的に好きですね。練無&萌絵という意外な組み合わせが楽しかったv
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すっかり虜な私。
「ぶるぶる人形にうってつけの夜」で、S&MシリーズとVシリーズのキャラが出ていてうれしかったです。
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短編8編のうち、6作が既読。ただ、S&M、Vシリーズを読む前だったので人間関係が分からず中途半端なイメージだった。シリーズが絡む短編、今ならなるほどと面白味が判る(笑)
しかしまぁ、「ぶるぶる人形にうってつけの夜」なんて練無と西之園令嬢だもんなぁ、両方のシリーズの関係を知らないと問題を見逃す。新しく読んだ2短編については、さすが自薦から洩れた作品って感じ(笑)
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8編のうち、すでに3編を「どちらかが魔女 森博嗣シリーズ短編集」で読んでいたので3編は流し読みだったのですが、S&Mシリーズの「どちらかが魔女」「双頭の鷲の旗の下に」は会話のテンポや意味無しジョークなど久々に読んで新鮮に感じ、Vシリーズと比べるとこんなに違ってたんだなあと再認識しました。
Vシリーズの「ぶるぶる人形にうってつけの夜」はちょっとした仕掛けがあり、Vシリーズの流れで読むといっそう楽しめます。
ほか5編はシリーズ外の短編のようで、「ゲームの国」は洒落っ気と言うか駄洒落と言うか遊び心満載と言うか(笑)。
アンチミステリの形をとりつつ、いろんなものが詰め込まれているようなので、それらを掘り出すのも楽しい読み方の一つです。タイトルも読み終わった後に振り返ると考え深い。
鬼太郎のリバイバルが一番うけました。
「私の崖はこの夏のアウトライン」、「卒業文集」、「恋之坂ナイトグライド」は最後の捻りがはっとして素敵です。
「素敵な模型屋さん」は森氏の模型好きっぷりが発揮されています。
模型好きじゃなくてもわくわくしてしまうような高揚感があり、最後の終わり方もまた不思議で素敵です。
大人になるってのはこういうことなのかなと思います。
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(収録作品)私の崖はこの夏のアウトライン/素敵な模型屋さん/卒業文集/ゲームの国/ぶるぶる人形にうってつけの夜/双頭の鷲の旗の下に/どちらかが魔女/恋之坂ナイトグライト
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短編集。「どちらかが魔女」「双頭の~…」「ぶるぶる人形~…」など、別の短編集で読んだことのあるものも収録されていました。
「卒業文集」「恋之坂ナイトグライド」の終わり方が好きだなぁ。