投稿元:
レビューを見る
冒頭からもう、所謂文学好き映画好きはこんなことをねちねちと考え考えおまけにこうして言葉にして表明したがるのですよこんな文章書いちゃうんですよ、と言われているようで、ほんとうに読んでいて恥ずかしくって、つらかった。わざわざ迂回しながらくどくどと続く語りのうざったさも、我々の過剰な自意識を嘲笑っているようで、おかしいのだけれど不安にさせられる。厭な饒舌。
なのに、伏線回収の鮮やかさも相まってすっきりとした読後感! すごい!すごかった。
投稿元:
レビューを見る
初めて阿部和重作品を読んだ。ある男性(唯生)についての話。語り口調。一文が長くて改行が少なく、前の文章に引きづられて話がよく脱線するため、慣れるまでは少し読みにくい。話が進むにつれて、唯生の言動、挙動がどんどん面白くなっていく。後半は何度も笑った。
投稿元:
レビューを見る
阿部さん、うますぎ。シネフィルの阿部さんらしいパスティーシュな作品ですが、非常に洗練されてます。
笑いながら一気に読めてしまいました。
投稿元:
レビューを見る
テーマは、ありがちな若者の自分探しの物語だか、主人公は作者の分裂であり、分裂した自己との対話で本書は成り立っている。
誰よりも「特別な自分」であることを証明するために主人公。結局は「特別な存在」にはとうていなれないという虚しさを募らすだけと知りながらせっせと「特別な自分」の証明を試み続ける主人公。
日常生活の中での仮構を突き崩す、暑苦しくぶっきらぼうな暴力性を認識しながらも、なお書かねば落ち着かないという、書き手にとっての悲痛さを主人公に投影し、主人公と作者が対話をする。伏線も多く難解だが、面白い。
投稿元:
レビューを見る
初・阿部和重。現代文学の旗手という世間的イメージで読んでみた。読むほどにノってくる文体のリズムが面白い。描いているのは自意識に悩む青年の、解放へと向かう物語、というイマドキ特有の内容だった。こういった、現実をえぐるリアリティ小説は得意ではないが(得意ではないだけに)、心に深く残る感覚がある。
投稿元:
レビューを見る
主人公の青年、阿部和重が、自分は特別であるということを証明するために、様々な論理的アプローチをする長編小説。卒業した映画学校で出来た知りあいとのやりとりと、自分の内部での葛藤との2つの軸が走っていく。中山唯生という別の人格を作ったり、自分の誕生日である秋分の日に関する仮説を立てたり、ドンキホーテよろしく物語の主人公になりきったり、ブルースリーのように体を鍛えたりする。彼は世間から徐々にずれていき、周囲とトラブルを起こして関係を断ち切る。最後には、本来の自分はバイトを続け、唯生がフランスへ行き、映画の手法、アメリカの夜を用いて、昼の風景を夜に変えた映像を取りへ行ってしまう。
投稿元:
レビューを見る
2013/10/7読了。
「好きだな、この本」というのが、一番の感想。
最初の方は、少しペースが掴みづらく、退屈な気もしたけれど、だんだん「うん、わかる、わかる。」と引き込まれて行った。
私は誕生日からして、「春分の日」のひとだけれど、何故か気持ち的には、「秋分の日」の人だなぁ。そういえば、私の周りにはこのどちらかの人たちが多くて、夏生まれの人や真冬日生まれの人とは、あまり仲良くなれない。などなど…いろいろと考えることが出来て、幾らか「謎」が溶けた気がする。
「インディヴィジュアル・プロジェクション」も、読んでみようか。
投稿元:
レビューを見る
自分には読み辛かったですね・・・
自分という1人の人物を、2人として捉えているという
なんとも不思議な文体。
阿部和重さん、初めて読みましたが
異常なほどに多い心の動きの描写が、
(というよりもう一人の自分との対話?)
難しい言葉に埋め尽くされているので若輩者の私には
頭が痛くなってしまいました。
投稿元:
レビューを見る
玉ねぎを剥いていくような読書体験であった。
剥ききった果てには当然何もない。しかしその何もないということが、我々を落胆させることはないでしょう。
その虚無に何を感じられるだろうか。
投稿元:
レビューを見る
「ニッポニア・ニッポン」同様、もう自意識がぐちゃぐちゃだ。サブカル自意識。自意識まみれの同類への批判も、自覚したうえで乗っかることも、これは封じ込めようとする。閉塞感の先にありそうな狂気すらパロディ化する。逃れる術をすべて塞がれてしまった。つまりあらゆることを自意識の名のもとに自ら縛り上げるような厳しさを持っていて、突き詰めればこうなってしまうのは必然ですが、しかし、こうまでして縛り上げてどうするのか。ここまでせざるを得ないのが自意識というものだと言われたらそれまでだけど。こんなに気持ち悪く自分について考えて誇大妄想を抱いてて、サブカル的にくすんだ青春で、なのになんか愛おしい。デビュー作だからか。青臭さが刺さる。ひとりの文化系女子として共感するところがいっぱいあったし、徹底的に自分を客観視しようとする姿勢が重要なのはまちがいないです。そして客観視しようとしてもどうにもできないっていう、本質的な客観視の不可能性がありありと見えてしまうところがすばらしいです。あとは批評用語もパロディになってしまうのを見ていると、もう小説ってほんとうにすごくて、わくわくしてしまう。いろんなことができるんだなあって。
投稿元:
レビューを見る
阿部和重、クセになる。
こう「うあーおもしれー」って感じではないんだけど、淡々とこみ上げてくる感じ。
アメリカの夜。映画をみようかな
投稿元:
レビューを見る
阿部和重「アメリカの夜」http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062730570 … 読んだ。おもしろかった。持て余す自意識に自分が振り回されるコメディ。特別な存在、変人、と認められたい何者かであるべき何者でもない自分。特殊で目立つことがアイデンティティに直結する各種作家稼業は大変だ
語り手わたしは途中で主人公の唯生は自分だと言いさらに現実の名は重和(作家の名前の逆転)だと言いもする。入れ子のフィクション。エピソードの描写は映像が浮かぶし、急な場面転換は映画のよう。モチーフもシラバスも既存の映画や小説を借りまくっていておもしろい。そもそもタイトルがね(おわり
投稿元:
レビューを見る
いきなり「ブルース・リーが」で始まる冒頭は唐突であった。唯生の造詣は面白い。脇役たちもいい味出している。唐突な印象は各所にみられたが、こういう文学もアリとなんか感じるものがあった。タイトルもいい。
投稿元:
レビューを見る
特別でありたいと願えば願うほど、「『きちがいになりたい』ひと」「シネフィル」という『型』にはまってしまう若者がジレンマともがく姿を、小説という枠を何処までも自由に使ってあらわした作品。唐突に思想談義があったり、あらすじはあってないようなものだし、主人公は著者と話し始めるし、シリアスシーンも左右白黒に塗り分けた主人公のせいで台無しだし笑、すべてがめちゃくちゃ。しかし、その滅茶苦茶が著者の言いたい話の流れに従って並べられているから、読むうちにこころが引っ張られていってしまう。青さ、だけでは片づけられない一冊。
投稿元:
レビューを見る
読み終わってしばらく酔っ払っているかのような、一発キメテいるかのような浮遊感。
パンチの効いた一冊。