紙の本
思想小説の境
2022/04/16 16:07
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投稿者:ひらめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本ではジュスチーヌの死によって彼女の姉ジュリエットは改心します。『悪徳の栄』のジュリエットがタイトル通りの生き方をし行くのとは対照的です。
それはそうと、大江健三郎の『憂い顔の童子』に本書について言及があり、彼はそこでこの本の訳者を指して自分らより一世代後の人としているのですが、訳者植田祐次さんは1936年生まれで大江健三郎は1935年生まれと、世代ほどの間隔が空いているものが個人的に疑問に思っています。
紙の本
「成長」を拒絶する「段階」の論理
2002/06/30 08:59
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投稿者:あおい - この投稿者のレビュー一覧を見る
本邦初訳ジュスチーヌ物語の第二稿。サドの物語の主人公はまったく成長しない。しかしながらそれが異様なビルディングスロマンとして成立するのは、そこに見られる幾何学的な「段階」の論理性の故にである。澁澤の訳業は偉大だったけれど、注釈なども含めより完全なかたちでのサドの著作の紹介がどんどん進んでくるのは嬉しい。
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美徳溢れるジュスチーヌが酷い目に逢ってもその美徳を失わず、最後雷に打たれて死んでしまうという、ある意味どうしようもない小説。『悪徳の栄え』や『閨房哲学』も暇なときに読みたいです。
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何処までも要領の良い姉と何処までも美徳に生き要領の悪い妹のお話。美徳に盲信し生きる妹(変名テレーズ)は盲信しすぎて哀れだった。サドが書く話だけあって激しいエロシーンが多々、しかし表現が高尚なのでちっともエロくはないです。直接的な表現は極力抑え、隠語(?)を沢山使用。それが多過ぎて意味不明な箇所もありましたが…。思いっきり端的に言ってしまうと人生まあこんなものよね、というお話。
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言わずと知れたサド公爵の著。例によって澁澤龍彦訳。美徳を重んじるが故に不幸になるジュスチーヌ。萩尾望都の「残酷な神が支配する」に出てくる、グレッグの「無垢なものは 犯され続けるしかないのだよ」という科白を思い出す。
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少数派かもしれませんが、澁澤龍彦訳よりもこっちの方が好きだったり…。
だらだら同じような展開が続き、だらだら言葉を変えて同じ思想が繰り返される、かなりどうなのって思想小説ですが、なのになんでか面白い。
サドが生涯一番愛したヒロインがこのジュスティーヌらしく、最後雷によって彼女が生涯を閉じるのは「雷に打たれて死ぬことは最上の死に方」と考えていたサドなりの優しさ…らしいという話を澁澤さんのエッセイで読んでから、私はこの話がサドの小説の中で一番好きになりました。『サドのジュスティーヌに対する、報われない片思い小説』として読むと違った面が見えるようで面白いのです。
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随分昔、下手すりゃまだ10代の頃、サドに興味津々で数冊買い漁ったものの、ダラダラ続くエログロ(わかってたんだけど〉内容についてけず1冊も読み終えることなく挫折。以来10年ほど積ん読状態だったけど、遂に1冊目読破(ちなみに最初挫折したのはソドム〉。
いやーこりゃ強烈だわ。思春期に読んでたらマジで性格破綻してた自信がある。
そんなわけで以前挫折して今まで長い事手を出さずにいたのも天の助けじゃないかとおもえてくる。
ホントそんくらい強烈で危険な作品。
内容はこれでもかってくらいの不幸の連続と極悪人の登場だけど、まーそれは小説仕立てにして表現した哲学書、と思えば気にならない。
〆にあるまるでその気も無いのにとってつけたよーな、著者の語りらしき部分に思わず吹いた。
俺の勝手な勘違いかとも思ったけど、解説読むと、改編版の様な「悪徳の栄え」では最期が正反対らしーので、恐らく受け取り方間違ってなかったとおも。
作中の登場人物の言葉
※()内は俺
『犯罪を犯せなくなったら(死んだら)、彼らの呪われた作品が犯罪を犯すというのだわ』
本書がまさしくそうかも。
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ジュスティーヌがどこまでも不幸なだけといってしまえばそれまで。報われずとも高潔であろうとするのが美しいってことなんじゃないの、といいたいようにもとれる。
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「サディズム」の語源になった筆者による、清らかで親切な心を持った少女がただただ暴力と性的倒錯者の欲望に汚されていく過程を綴った救いのない一冊。
様々な性癖を持った登場人物を見ると、作者の趣味の広さがよく分かる。
それぞれ、自分がなぜ弱者に救いの手を差し伸べず、虐げることを厭わないのか?に対する哲学を語るシーンが多く、"自然"と"性癖"を比較しているのが興味深い。
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£5.00
8冊まとめて
ジュスチーヌまたは美德の不幸 岩波文庫
短編集 恋の罪 岩波文庫
悪徳の栄え 上下 河出文庫
食人国旅行記 河出文庫
恋の罪 河出文庫
ソドム百二十日 河出文庫
閨房哲学 河出文庫