紙の本
出版社コメント
2003/01/30 16:03
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投稿者:翔泳社 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネット上で生まれる顧客同士の交流の場である「コミュニティ」を、新しいビジネスの「場」として着目する。多くの人が惹きつけられ、盛りあがる、活発なコミュニティを作り上げ、さらにビジネスを成功に導くにはどうしたらよいか?AOL、eBay、Sony、Yahoo!等の有名サイトを設計した著者自身が、その体験を元に9つの原則を提示する実践的ガイド。
Original Title:Community Building on the Web [ Peachpit Press Inc. ]
■目次
第1章 目的
成功するコミュニティを作る/ビジョンを明確に伝える
第2章 場所:参加者を集める
物言う人々/地図を描く/成長のための制限
第3章 プロファイル:メンバーを知る
なぜ、プロファイルなのか/メンバー・データベース/オンライン・アイデンティティ/進化するアイデンティティ
第4章 役割:新入りから古株へ
メンバーシップのライフサイクル/ビジターを歓迎する/新米を導く/常連に報いる/リーダーに権限を与える/長老をたたえる
第5章 リーダーシップ:全責任は私にある
リーダーとは?/非公認リーダー/公認リーダー/リーダーを管理する
第6章 エチケット:従うべきルール
基本ルールを作る/ポリシーを施行する/ルールを進化させる
第7章 イベント:集会、パフォーマンス、競争
イベント計画の初歩/集会:人々を集める/パフォーマンス:ショーを催す/競争:スポットライトをあてる
第8章 儀式:握手、祝日、通過儀礼
儀式の力/個人の認識/コミュニティの祝日/人生の節目、役割の変化
第9章 サブグループ:クラン、クラブ、コミッティ
なぜ、サブグループなのか/環境を作る/公式プログラムを作る
紙の本
ネットはシンプルな世界?
2002/02/12 23:51
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投稿者:よしたか - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は、会員同士のコミュニケーションが盛んなAOLや、ヤフーなどのサイト設計に携わった人だ。
サイトの設計について重要なのは、どんなソフトやハード及びシステムを使うべきかということではない。それよりも、役割、イベント、儀式、通過儀礼、ライフサイクルなどを用意することだ。これが本書を読んで一番驚いたことだ。じっさい読んでいると、まるで、部族やムラの文化について書かれた文化人類学・民俗学の本でも読んでるような気分になってくる。
イベントではハレとケを演出し、ライフサイクルでは、新米→常連→リーダー→長老、といった役割を用意する。神話のようなバック・ストーリーをつくっておくとコミュニティの結束がたかまる。部族の統率法を読んでるようだ。その例としてあげられているのが、「スター・ウォーズ」の「昔、むかし、宇宙のはるかかなたで……」だったりするのがハリウッド文化のアメリカらしいけど。
ネットの世界というのは、思ったよりも土俗的な世界なのかもしれない、と思った。これまでは、複雑な現代社会の最先端にあるのがネット社会だと思っていた。むしろ、逆なのかもしれない。考えてみれば、ネットの世界のほうが、現実社会よりも、よほど単純だ。大勢の人がネットに参加するのは、現実の世界が複雑になりすぎたので、シンプルな世界に所属したくなったのかもしれない。
単なるマニュアル書ではなく、いろんなことを考えさせてくれる本だ。これから読者参加型のサイトをつくってみたい人や、インターネット社会に興味ある人にはオススメ。
紙の本
ネットワーク上での「よい場」とは?
2001/04/09 17:42
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投稿者:sayaka - この投稿者のレビュー一覧を見る
いま、経営学の世界では、「場」が関心を集めているようで、それに関する本が何冊か出版されています。本書は、どうすれば「よい場」をネットワーク上で築くことができるのか、ということを事例をもとに議論している本です。
本書では、集客力を高めるために、顧客がネットワーク上での場に何を期待しているのか、何を求めているのかを探求しています。AOL、ヤフー、ジオシティーズなどの事例から、9つの戦略を引き出しています。
図が豊富で読んでいて飽きません。このようなテーマで、日本のネットビジネスに関する本が出版されることを期待します。
紙の本
2001/03/20
2001/03/28 15:16
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投稿者:日経流通新聞 - この投稿者のレビュー一覧を見る
インターネットを利用したマーケティングでは、参加者の関与を深めるために、しばしばネット上でコミュニティーが構築される。具体的な構築戦略がなくても、ホームページと連動して掲示板やメーリングリストを提供することが多い。もっとも訪問者が途切れて廃屋同然になったり、本来の意図と異なる層が入り込んでターゲット層を駆逐したりすることもある。ネットでは不特定多数が参加するだけに、運営者の思うようにならないケースが後を絶たないのが実情である。
筆者はスタンフォード大学でオンライン設計の講義を担当している。豊富な事例を盛り込みながら、参加者が満足し、ビジネスの場としても有効なコミュニティー構築のノウハウを提供している。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001
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”「ウェブ・コミュニティでも物理的コミュニティでも発生する同じ問題」を解決したい、コミュニティ運営者におすすめな古典的名著。
2001年発刊だけど今に通じるノウハウがたくさん詰まっている。コミュニティマネージャーズ・コミュニティ(CMC)でのオンライン読書会の第一回課題図書(2014年10月実施)。
読書会そのものは終了していますが、コンテンツはオンライン上に残っているので、気になる方はご連絡ください。
<抜き書き>
・コミュニティ戦略9つの原則 (帯より)
・「目的」を定義し、明確に表現する
・柔軟性と拡張性を備えた集いの「場所」を作る
・意味のあるメンバー「プロファイル」を作り、常に充実させていく
・さまざまな「役割」を準備する
・強力な「リーダーシップ」プログラムを作る
・適切な「エチケット」を奨励する
・恒例の「イベント」を実施する
・コミュニティに「儀式」を導入する
・メンバーによる「サブグループ」の運用を推奨する
※「」で囲まれた言葉が目次の1章から9章に対応。
・"私はこれらすべてのプロジェクトで、繰り返し同じ基本的な問題にぶち当たった??つまり、アイデンティティの一致、新メンバーがもたらす混乱、エチケット、リーダーシップの役割、集団力学といった問題である。
(略)
本書は、私がこの仕事を始めた頃に読みたかったと思えるものである。自分の経験からいって、一定のフレームワークを持っていれば、コミュニティの基本デザインを考えたり、次々に持ち上がる技術やポリシーの問題に対処する際に大いに役立つ。私自身、このフレームワークのおかげで、より効果的かつクリエイティブにコミュニティ・デザインを行なうことができた。読者の皆さんにとっても、本書が同じように役立つことを願っている。"(p.xiii 「はじめに」>「本書を著した理由」より)
・コミュニティ・デザインの基本3原則 (「はじめに」より)
第1の原則「成長と変化を前提にデザインせよ」
第2の原則「フィードバック・ループを作り、維持せよ」
第3の原則「成長にあわせて、メンバーに権限を与えよ」
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●第1の原則「成長と変化を前提にデザインせよ」
”コミュニティ・デザイナーがしでかす最悪の過ちの1つは、最初からコミュニティをデザインし過ぎたり、デザインのパラダイムや技術プラットフォームといった、すぐには変更や更新ができない部分に投資しすぎることである。長く成功しているコミュニティは、ほぼ例外なく、小さくシンプルで対象ユーザーを絞った状態から始まり、そこから時間をかけて有機的に成長している ・・・”
●第2の原則「フィードバック・ループを作り、維持せよ」
”成功するコミュニティの構築とは、コミュニティを企画・組織・運営する管理側(つまり、読者の皆さん)の努力と、メンバーのアイディア・提案・ニーズとのバランスを絶えずとっていくことである。両者を発展させるためには、コミュニティの動向を見落とさないことが肝要だ ?? そのた���には、メンバーと管理側を結ぶフィードバック・ループを作り、これを維持する必要がある。・・・”
●第3の原則「成長にあわせて、メンバーに権限を与えよ」
”コミュニティの初期段階では、目的を定め、提供する機能を選び、トーンを設定するのはコミュニティ・ビルダーの仕事である。しかし、コミュニティが成長し成熟するにつれて、メンバー自身がコミュニティ文化の育成や維持により大きな役割を果たすことができるようになるし、またそうすべきである。 ・・・”
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・コミュニティの目的が明確であれば、関係者の満足度はさらに高まる。そこで次の質問を自問してほしい。
・どんな種類のコミュニティを作っているのか?
・なぜそのコミュニティを作っているのか?
・誰のためにそのコミュニティを作っているのか?
成功するコミュニティはメンバーと運営側のニーズに常に適応していなければならない。つまり、これらの質問に何度も立ち戻りながら、コミュニティは成長し、成熟していくのである。 (p.003)
・ミッション・ステートメントを作成する際には、コミュニティを一言で言い表すようなキャッチフレーズを考えるとよいだろう。よくできたキャッチフレーズ は、対象ユーザーの獲得におおいに役立つ。ここで、さまざまなウェブ・コミュニティのキャッチフレーズを挙げてみよう。
※このあと13個のコミュニティについてのキャッチフレーズが紹介されています。日本でもよく名の知られているもの4つをピックアップすると、こんな感じです。なんのサイトか、分かりますか?
A.「★ついてきてるかい(Are You With Us)」
B.「あなたのトレーディング・コミュニティ(Your Personal Trading Community)」
C.「ホームページとそれ以上のもの(Home Pages and Beyond)」
D.「オタクのためのニュース(News for Nerds: Stuff that Matters)」
・ウェブ・デザイナーがおかす最大の誤りの1つが、「ユーザーが何を探しているか」ではなく、、「オーナーがコンテンツをどう理解しているか」という視点でサイトを構築してしまうことである。コミュニティがどの分類方法を採用するにせよ、その分類は対象ユーザーにとって意味のあるものでなければならない。
たとえば、AncientSites のウェブ・デザイナーが作った分類法は、古代世界の都市をもとにしたものだった。当初この分類法はわかりにくく、使いづらいのではないかと思えた。しかし、歴史ファンは、一般的なテーマよりも特定の時代や場所に興味をもつはずだと、またこの構造によって、同じ関心を持つメンバー同士がもっと簡単に出会えるようになるとデザイナーは確信していた。(p.60)
※「同好の士を引き合わせる」ことを狙った分類法
・リーダーの管理プログラムには、リーダー専用の集いの場所が欠かせない。(略)ショーを動かしている人々が役の準備を調えたり、休憩時間にリラックスする場所である。また、メンバーの前では言わない(また、言うべきでない)トピックについて話ができる場所でもある。リーダーはときに困難な状況に直面することがある。そんなときに助言を得、戦略を教えあい、あるいはただガス抜きをする場所が必要になる。(p.181-182)
・バーをはじめとする現実の場所では、一般的なコミュニティ規範を理解するための目に見えるヒントがある(常連客の身振りや服装、店内の装飾や全体的な雰囲気、外に駐車されている車の種類)。しかし、ウェブ・コミュニティではこうしたヒントを利用できない場合が多いため、コミュニティ規範はオフラインの世界よりも明示的に表現されなければならない。(p.198)
※オンラインだからこそいしきしたい「文書」の価値
・投稿や作品を通してコミュニティの価値観を体現したり、エチケット規範を実践しているメンバーにスポットライトをあてることも忘れてはならない。たとえガイドラインを読むことはなくても、他者の行動や発言に気をとめ、それを模倣するメンバーは多い。(p.216)
・日常的なものから魔術的なものまで、私たちは儀式に導かれて人生を移行していく。(略) 私たちはいつでもある一連の行動をとる。それは、なじみ深い、安心できる行動であり、私たちが何者なのか、何に価値をおいているのか、どこに属しているのかを思い出させるものである。
この慣れ親しんだコミュニティの儀式をウェブ・コミュニティに組み込むことで、メンバーにくつろいだ気分を与えることができるだろう。(扉ページ)
<きっかけ>
Facebookグループ「コミュニティマネージャーズ・コミュニティ(CMC)」上のオンライン読書会のため再読。
もとは、社内技術者Q&Aコミュニティを運営していた際に手にとり、非常に共感した一冊。遊び心やプロフィールの勲章などは本書からの学び。”