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紙の本
距離感の妙
2001/03/05 19:22
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投稿者:tamo - この投稿者のレビュー一覧を見る
10年前には確かに同じ時間、空間を共有していたはずの仲間が現時点では全く異なる人生のベクトルに乗っている。筆者が取り上げた人物それぞれが歩んできた最近10年の多様性に驚かされ、それを俯瞰している感覚を抱きながら読み進むことが新鮮で面白かった。
それにしてもこんなにも多岐に渡る人生が学生時代の1サークルで重なっていたことは奇跡的なことではないだろうか。ミャンマーの僧侶から家持ち子持ちまで。もちろん当時のサークルのメンバーは本書で取り上げた人数の数倍はいたはずだから、その中から印象的な人物を選んだ筆者の選球眼が見事であるのは当然である。しかし、私は筆者より5歳ほど若年だが、周囲にここまでの人生のギャップは到底見つけることはできない。
やはりタイトルの通り「バブル」の影響を感じずにはいられない。バブル最盛期、社会全体が浮き足たっていた中では、冷静に自分と向き合える人間は現代以上に異質に写ったろうし、一般概念とのギャップも大きかったはずだ。このギャップの大きさが両者の異なる人生の方向ベクトルをより増強していたのではないだろうか。そしてそれぞれの人生のギャップをさらに深める結果を招いたのではないか。
登場する人物の今と10年前の写真とを焦点を変えて撮影した写真はとても良い発想だと感じた。その人物自身の10年間のギャップをよく表現している。また、本文中著者のインタビューにおける、著者の認識していたはずの人物像と実際のそれとの距離感がとても興味深かったのだが、前述の写真がこれをもうまくアピールできていると思う。
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