- 現在お取り扱いが
できません - ほしい本に追加する
若い薬剤師と薬学生のための薬剤師とくすりと倫理 改訂3版 みんなのレビュー
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
1 件中 1 件~ 1 件を表示 |
紙の本
専門的知識だけでは限界あり!薬学を医療の現場につなぐ,倫理教育の必要性がみえる本
2001/03/18 22:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐藤 真理子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
楽しみになってきた。やっと薬学に倫理教育の必要性を説く人々が増えてきたという印象をうける著書である。
いま,薬学教育は急速に変化している。つい最近まで,薬学教育は創薬研究がその大部分を占め,薬学生は患者やほかの医療従事者と接する機会はおろか,実際に流通している医薬品を手にすることもほとんどなかった。そしていざ,薬剤師になってみると,直面する問題,医療や環境の問題などが,いままで受けてきた教育とあまりにもかけ離れていることに愕然(がくぜん)とする。医療技術の進歩とともにさまざまな薬が開発され,生命・情報・環境のバランスがとれなくなってきている。試験管を振っているだけでは決してみえなかった世界。
著者の奥田潤氏はそこに倫理教育の必要性があることをいち早く気づいた薬学教育者の1人である。加えてもう1人の著者,川村和美氏は若手の薬剤師の1人である。倫理の本を教師と教え子の2人でまとめたという点もおもしろい。この領域の本は医学や看護でかなり出版されてきているが,薬学の世界で語られることはほとんどなかったか,評価されなかった。
本書はまず,倫理学概論からはじまる。人がよりよく生きるための手段としての倫理を説き,前半は意思決定や臓器移植を中心とした医療倫理概論,新薬開発の倫理,薬の適正使用や薬害を中心とした薬物療法の倫理,公害や廃棄物を中心とした環境倫理学概論と続く。後半は,現場での薬剤師の薬事公衆衛生学,薬剤師に必要な倫理観,海外を含めた薬学教育の紹介や薬剤師の倫理規定などについて触れる。
多くの倫理的問題をとりあげ,概論的性格の強い本となってしまった。だからここを出発点として,展開される諸課題について薬学生はディスカッションやロールプレイができるし,若手薬剤師は抱えている問題の背景を整理し,職務意識を高めることができるだろう。また,薬学部を目指す高校生も現場でどのようなことが問題となっているか,薬剤師としてどのような職能をを要求されているかといったことを知る。著者はこう結んでいる『“知識”と“技能”の向上はもちろん必要である。しかし現在,もっとも必要とされているのは“倫理”である』。
(C) ブックレビュー社 2000-2001
1 件中 1 件~ 1 件を表示 |