紙の本
アラブ視点で十字軍を見る
2017/06/12 18:05
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投稿者:サラーさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ありそうで意外と少ないテーマの本の一つ。十字軍期間をアラブ視点でまとめており、ヌール・アッディーンなど今まで知らなかった偉人が知れている面白く、十字軍が各国の連合体で目的や目論見も国ごと、勢力ごとで違うのに対してアラブ側はうまく一人のリーダーのもとでまとまるようになったのが結局守りきれた一因かと思いました。
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アラブの方が優れていたというのは簡単だが、では何故に現在までにいたるまでアラブは負け続けているのかという問いに答えるためにも参考になる一冊。
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十字軍はヨーロッパの側からはしばしば「聖戦」として語られるが、本書ではアラブ側の史料を駆使し、イスラム世界から見れば十字軍が単なる侵略者に過ぎなかったことを記述している。十字軍とは「神の名を騙った略奪の歴史」でもあるのだから。
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所有しているのはリブロポート社版。この本を読むと「十字軍」とは、欲望むき出しの西欧人集団が勝手に始めた蛮行であるということが良くわかる。歴史とは見方(視点)の違いによって180度変わるということ。それは現在のイラク戦争でも同じ。
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タイトル通り、十字軍遠征を、アラブ側の一次資料をもとに通観する。十字軍に関する書物で、アラブ側の視点から描かれた本は数少ないので、その意味で十字軍に興味のある人にとっては、確実に一読の価値はある。イスラム側がまったく一枚岩でなかったことが明らかになる。また、十字軍以降、イスラムとキリストの1000年の対立の原因も考察されている。
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なかなか有名な本なので内容を知っている人は多いだろう。
名前の通り数度に渡る十字軍をアラブ側の視点から書いている、
全編に渡って11世紀当時のフランク(西洋)の野蛮さと極悪非道っぷりが説明されている。
確かに当時はオリエント(アラブ)の方が文化的にも文明的にも進んでいたのである。
それゆえに著者の最終章での十字軍を撃退することに成功したアラブが、結局西洋に追い越されてしまったことに対する苦悩は深く、
原因は西洋は十字軍の過程で東を学ぶことに成功し、ルネッサンスとして開花させたが、
アラブは西洋にあった法律や人権を学ぶことができなかったということにあるとしている。
また、今でもアラブは過去の十字軍を一種のトラウマとしていると主張する。
言うまでも無く名著、日本では西洋視点の十字軍のイメージが一般的であるし、アラブ視点は興味深く読める
歴史が好きならまずお勧めできる
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中世の歴史書なのに、まるでその場で戦いを見、武将に会って話を聞いてきたかのような、臨場感ゆたかな文体だ。
本のタイトルは便宜上「アラブ」と集約されているけれども、中東にはアラブ人以外にもトルコ人、クルド人、シリア人、ルーム人(ビザンツ)、アルメニア人、ユダヤ人、終盤にはモンゴル人、などなど本当にさまざまな民族がある。ある時は反目し、ある時は手を結ぶ。非常に目まぐるしい勢力変化は高校の世界史の授業では到底手に負えないだろう。
読むのにはこつがいる。それでなくても長ったらしく、覚えにくい名前の人物に、いくつもの代名詞がある。例えば英雄サラディンはこんなふう。サラーフッディーン、ユースフ、アイユーブの息子、エジプトのあるじ、カイロのあるじ、クルドの部将、スルタン…etc.。混乱しやすいので、私はメモをとりながら読み進めた。
でも、面倒くささを乗り越えるだけの価値はある。十字軍に対する中東諸国のグダグダぶり。非道で野蛮なフランク(西ヨーロッパ諸国)に対して中東ははるかに科学が進んでいたこと。征服する側のフランクが中東の言語や文化を吸収して本国に持ち帰ったのに、征服される側はプライドの高さが邪魔して、フランクの長所に学ばなかったこと。はじめて知ることばかり。
中東諸国に今でも中央集権的な国家体制(フランクの進んでいた点!)ができないのは、この頃に端を発していたとはね。ヨーロッパではオリエント文化の刺激がルネサンスを誘発し、近代化への道を開いたのなぁ。
それにしても、現在の膠着したパレスチナ情勢。イスラエルの国民はもう体質の古い中東に融け込む努力をする気はさらさらなく、遠いヨーロッパに目を向けているのだそうだ。イスラエルのガザ攻撃はひどいと思うけれど、周りの文化になじめない気持ちはわからないでもない。
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アラブ視点の十字軍史で、何よりフランス人が書いてないのがいいですなーいいですな。著者が作家だけあって無理なく読めて面白い。洪水のようなアラブ人名に慣れることなく先へ進んでしまう。再読が必要。
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責められたアラブ側から見た十字軍。貴重な本。
特にアラブ側に偏った見方でもなく、非常に中身の濃い内容。
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昨年夏にシリアにひとり旅をしたのですが、そのときに連れて行ったお供。
そして読みかけの状態でハマのホテルに置き忘れてきた本。
寄贈、ということにしておきましょう。
帰国してすぐに二冊目購入&読了。
アラブ側から十字軍を読める貴重な文章だと思います。逆に西洋側からおもしろ美しく描いた映画「キングダムオブヘヴン」と比較してみてもおもしろいんじゃないでしょうか?
歴史書というよりも、ひとつの物語としての躍動感や熱い男達のryが楽しめる一冊だと思うので、イスラム史に興味がない方でも、三国志や水滸伝とか好きな人にはぜひ読んでみていただきたい。
まあ、とにもかくにも
サラディン萌え
の、一言に尽きます。
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十字軍をアラブ側から書いた本。
まぁタイトル通りですね。
サラディン物語はひとつも知らなかったのでとても面白く見れましたね。
あとは暗殺教団か。
リアルアサシングリードな人たちがいたのですね。
アルタイルさんたちがw
宗教が絡むとろくなことが起きませんな。
西欧側の十字軍の本もだいたい似たようなこと書いてますね。
蛮行なフランクと
西洋側とアラブ側と二種類読むとなるほどと分かる感じがしますね。
面白かったです。
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1096年の侵入から1291年の追放まで約200年間の十字軍の歴史。次々に領主や武将が登場して三国志のよう。サラディンよりも、聖王ヌールッディーンや織田信長っぽいザンギーのファンになった。舞台となった中東の都市であるアレッポ、ダマスカス、トリポリ、エルサレム、カイロ等には行ったことがあったので余計に盛り上がる。
9ページだけの終章の考察も読みごたえあり。勝者のアラブはその後衰退し、敗れた西洋が発展したのは、アラブが西洋から学ばなかったから。西洋は法制が優れていたという指摘はなるほど。学ぶのを怠ったというよりは、十字軍の侵略が彼らにとってそれほどに理不尽な出来事だったと言いたいのだろう。
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中高生の頃に習う世界史は単なるキーワードの暗記の対象であるが、実際に人々は何を考え、どのような歴史の流れが存在したか、我々は理解していません。
たとえば「十字軍」。教科書で習ったのは、ヨーロッパ諸国が重装歩兵の騎士による十字軍を組織し、中東などに遠征した。以上。
これではアラブにおける「十字軍」の意味は分かりませんね。
なぜアラブではいまだに「十字軍がどーたらこーたら」とか、「ジハードが云々」などと言われ続けるのか。
アラブ側から見た中世を知ることができる本です。ただ、単なるアラブ側の恨みつらみを記述した本ではなく、アラブ自身の問題点をも浮き彫りにしてくれますので、誰でも中立的な視点で読むことのできる本かなと思います。
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先に、西洋史からの視点を学んだが、視点を変えるといかに侵略が苛烈だったか、また、そんな状況でもなかなか一つになれなかった中近東の世界の難しさをより詳しく理解できた。
最後に東方からの侵略まで出てきて、いかに外から振り回されていたかがよくわかる。
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もう一回読みたい、というか文庫でいいので購入希望。
個々人のエピソードがたくさん含まれつつも十字軍史の全体を通して読めるかんじ。ヨーロッパ側からではないのか珍しいというかいいね!
ただカタカナや地図に弱いと辛い。
内容はわかりやすい。