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紙の本
白と黒の伝説もしくはホラーの純系
2001/12/16 23:30
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投稿者:コリドール - この投稿者のレビュー一覧を見る
伊藤潤二の漫画には、いつも笑ってしまう。微妙な会話の間に笑ってしまう。主人公達の真剣さに笑ってしまう。とんでもない状況に笑ってしまう。それにはギャグという名の刺激ではなく、ユーモラスという柔和な響きこそふさわしいかもしれない。それを読者としての優越感で見下すことはできる。「バカバカしい」と。
しかし、そのすっとぼけたユーモアには安住できないことを、わからされてしまう。先の優越感は転落への恐怖の裏返し、いや恐怖そのものだと知ってしまう。
緊張と弛緩。そのバランス感覚こそ、良質のホラーに必要不可欠なものだ。緊張が弛緩を欲し、弛緩が緊張を際だてる。緊張のみを追い求めることは、決して恐怖の本道ではない。死体写真が引き起こすのは、恐怖ではない。然り、物質は恐怖ではない。それは、生理的嫌悪感に過ぎない。
この作品は、完成度の面で、「うずまき」や「富江」を遙かに凌ぐ。圧倒的に構築された世界観は完璧で、そして美しい。伊藤潤二の恐怖の美学に貫かれた物語は、楳図かずおより続く、紛れもないホラーの本道だ。加えて、そのラストには素直に感じ入ることが出来るのも、伊藤潤二を屈指の作家たらしめている所以と思う。
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