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不倫と書いてレンタルと読む。
そうか、そうか。
要するに不倫っていうのは、相手をレンタルする(貸していただく)ってことか。
「いや、違う。出会うのが遅かっただけで、本当に純粋な愛なの」っていう方もいるとは思いますが、気持ちはさておき形態としては、不倫ってレンタルなのね。
そう思うとのぼせあがっていた気持ちがさめる人もいるのではないかしら、と思ったり。
主人公の力石理気子のように、30過ぎて処女だと焦る気持ちはまだ想像もできるけど、だからと言って相手を好きであると自分に暗示をかけてまで恋愛関係に持ちこむ気持ちっていうのが理解できない。
作者も多分「恋愛至上主義、ばかばかしいよねえ」って思いながら書いているのだろうけれど。
そのばかばかしさの最たるものが、相手の男・霞 雅樹だ。(苗字と名前のあいだには必ずブランクが入る)
フランス式(作者命名)の持って回った無意味な文章が、句点でつながれて延々と続く。
ああ、フランスねえ。
フランス文学もフランス映画も苦手だからなあ。
と一歩引きながらも、基本的に姫野カオルコの小説は小気味がいいのでさくさく読める。
「ぢん・ぢん・ぢん」より、はるかに愉快に読みました。
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「ぼくは好きになったらその女といつもいっしょにいたい。だからいっしょに暮らしたい。部屋にいて、とくになにかをふたりでするわけじゃない。かたほうが本を読んでいて、かたほうはうとうとしていたりする。そうすると、うとうとしている耳に、本のページを繰る音がときおり聞こえたり、聞こえなかったり、そんな時間を持っていたいと思う」
「私は……レンタルでじゅうぶんなの」
どちらもとても解るから困ったもんだなと。
そういうの置いといて、初めて姫野カオルコさんを読んだ時は独特な文章について行きづらいなと思ったけど、なんだか読んでいるうちにどんどんはまってきた感じがする。これが4作目か。たぶんほかのも読むだろうな。
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「処女三部作」のラストらしい。
文体に馴れなくて面食らったけど、徐々に馴れた。1,2も読んでみようかな。
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女は強い。女はシビア。
改めて、そう感じた一冊。
主人公の理気子は、男性経験のない34才ポルノ作家。
その肩書き(?)を聞くと、容姿が著しく悪いのかとイメージしてしまうけど、そうではないように思わせる描写も。
長身で、怪力であることは間違いないようですが。
彼女は、自身には女としての魅力が著しく欠けているのではないかと考えており、けれど、とにかく経験はしておきたい、という願望を強く抱いています。
そんな彼女が惹かれ、そんな彼女に惹かれた男性は、妻帯者でー。
とにかく面白おかしい一冊。けれど単なる、薄っぺらなラブコメではありません。
恋愛中の盲目・陶酔・自己保身…そういったものが、恋愛中であるはずの理気子の視点できちんと分析されていて、そして、こんな分析ができてしまう自身がやはり、女としての魅力に欠けているという思考に落ち着く…
そんな書き方が、この作品にはとてもちょうど良く、ふむふむ、参考になるなと思ってしまいます。
恋愛をすると「分からなくなる」人とそうはならない人がいる。何となく、頭では分かっていたけれど、この作品を読んで、すっきり理解できました。
好きだから分からなくなるという言い訳で、自己保身をし、言い訳をし、意志力のなさ・覚悟のなさをひた隠し、そんな自分を見ない事にして、恋愛という現象でちょっと美化して語る。
それができれば、きっと楽。
無意識にしてるのが男性で、自分でも気付かずに、そう演じられるのが女性。
※もちろん、そうではない人もいるけれど。
やっぱり女は強くてシビア。