紙の本
ま、この時期にふさわしい児童書で、カバーのファンタジックさで言ったら、正直、これなんかはベストだと思うんだよね。S・キング&たむら・しげる、これって凄くない?
2003/12/10 16:33
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投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
キングが相変わらず絶好調で、彼の大作が相次いで出版されているけれど、この本は『タリスマン』、『スタンド・バイ・ミー』などに続く久しぶりの児童もの。ただし、対象年齢は小学生高学年以上と、他の作品よりは若干低め。このファンタジーは昔、キングが自分の娘のために書き、限定出版されていたものを、今回普通の形で出版したものだという。
訳文の調子も、いつものキング節とは異なり平易なので、評価は分かれるところだろう。でも、あれを児童書でやられたら子供は堪らない。それはともかく、あのブロードキャスターの冒頭のアニメでお馴染みのたむらしげるさんのカバー画が、上下巻をオレンジとブルーに分けて飾り、その美しいことといったら。
デレイン王国の王子ピーターは、ローランド王殺しの犯人として針の塔に幽閉されてしまう。優秀な兄と比較され、どこか楽しめない弟のトマス。狩で竜を射止めたローランド王、美しく賢い王妃のサーシャ、そして悪の権化 魔術師のフラッグ(『ザ・スタンド』の陰の主役フラッグ!)。フラッグの仕掛けた罠に翻弄される人々の運命は。
上下本だけれど、活字がびっしりではないのと文章が読みやすいので、あっという間に読み終わってしまう。で、やっぱりファンタジーとなると、どうしてもトールキン『指輪物語』との比較になってしまう。キングのこの作品は、往きて還りし物語という構成ではないし、宝捜しも壮大な戦闘もない。民衆の姿が見えないなど言いたい事は沢山ある。
罠にかかるピーターが余りに立派過ぎて、私などは、かえって兄の影に隠れてしまうトマスの苦悩振りにこそ共感を覚える。また、中に出てくる龍の砂という猛毒、その凄さは読者の理解を超えてしまいそう。しょうじき、スーパーマンは脱いだ服をどうしておくの、といった類の噴飯ものの設定なのだ。
それはともかく、キングの世界は、簡単に一冊の本に収まるものではないことは良く分る。全ての作品を読むことによって壮大な世界が垣間見えるといった、ハインラインの宇宙年代史や、ラヴクラフトのクトゥルフ神話に近いものだと思う。その世界への入り口としては最適かもしれない。
扉の意匠は本当に魅力的だ。我が家の娘たちは、この作品から一気に『ドリーム・キャッチャー』の世界に入っていってしまった。一体どこへ行くんだ、アンタたちは。
紙の本
純粋なファンタジー!
2002/07/07 23:45
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投稿者:ファンタジー娘 - この投稿者のレビュー一覧を見る
よくあるお話が、スティーブンキングの話術を加えることによって、ファンタジーの世界が広がっていくのです。また、1冊の本の中で、1〜6ページくらいで1節構成なので、サクサク読めて、話に引きずり込まれてしまうでしょう。ウマイです。
結構ファンタジーを読んできたと思うのですが、それらの大半は、私たちに「生きるには〜が必要!」という定義のようなものを掴み取らずにはいられないものが多かったのです。それで物語自身へ向けられる注意が少なくなってしまったのかもしれません。ですが、この話は本当に純粋なファンタジーなのです。主人公は節によって様様に変わり、時にはヒーロー・ピーター王子であったり、その弟クロド王子であったり、そして魔術師フロッグであったりするのです。敵の手の内を知りながら、主人公たちがはまっていく様子を見るのは耐えがたいことですが、仕方ありません…。ピーター王子が圧倒的に不利な状況で進められていくせいか、スリルに満ち溢れています。
この話が純粋であったのは、きっと、作者がただ娘が喜ぶようにと考えたためだと思います。時には現実を忘れてこの言葉の世界へ入るのもイイでしょう。本当に、オススメです。
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スティーブン・キングが愛娘のために書いたお話。夜、枕元で読んで聞かせるには、ちょうどいいかもしれません。大人が読んでももちろんおもしろいです。
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キングが愛娘のために書いた、はじめての児童文学。おとぎ話なので、キングの他作品を薦めるにはちょっと早いお子さんなどに良いかも?とはいえ、単純な勧善懲悪でもなく、十分大人の鑑賞にも耐えます。
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スティーヴン・キングが愛娘と友人の息子のために書いたファンタジー。子供が飽きずに楽しめるようにという配慮なのか、短いスパンで山場(小山場ぐらい)が設定されていて、何度も何度も、小さくハラハラドキドキさせられる。そのせいか一気に読み進めるにはリズムが合わず、かなり苦痛だった。
さらに「むかしむかし……」という冒頭から、すっかり舞台設定に取り残される。なんせ、王様やお姫さまや王子さまになった自分を想像したことも、お城に憧れたこともない。「むかしむかし…」といえば、『まんが日本昔ばなし』のほうが身近に感じられるんだからしょうがない。しかも、登場人物のグズグズ感にイラつく。あぁあ、要は合わなかったってことだ。
でも、活き活きとした感じは楽しめたし、話の筋も悪くないから、「子供が子供の時代に読む」というタイミングさえ逃さなければ、けっこう面白い本なのではないかと。(2006.6.29 読了/上下巻/図書館)
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S・キング初の冒険ファンタジーで、自分の娘の為の児童文学。だから、ちょっと歳をとっている人が読むと多少の物足りなさは否めないかな。可もなく不可もありませんでした。
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スティーブン・キングが娘のために描いたという小説です。
悪い魔法使いに立ち向かう王子という、ありきたりな設定にかかわらず読み手を飽きさせない工夫を凝らしているあたりがさすがと思います。
娘のために書き下ろしたのが元となっているだけあって、児童向けでもあります。
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キングが、ダークタワーシリーズとのからみが、を除いていち児童書としてみれば、とりたてて見るべきものもなく…。
かといって、ダークタワーとのからみもたいしたことはない。残念な本。
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サーシャが奇麗。こんな教養のあるひとになりたい。おうさまが無神経です。びっくりする。心情がつらいくらいわかる。
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…なんというか、非常に読みにくかったです。子供に読ませるのをためらうような表現が多く、さらにそれが物語に必要あるのか否か…に非常に頭を抱えるもので…ファンタジーなのになぁ〜。
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スティーヴン・キングが
自分の娘ナオミとピーター・ストラウブの
(このとき共同で「タリスマン」を執筆中)
息子ベンのために書いた たった一つの
児童書だそうです
「むかしむかし、デレインという名前の
王国に、王様とふたりの息子がいました」
こんな書き出しで始まります
まさに正統派おとぎ話のスタイルです
でもって いちいちお話おじさん風の
啓蒙的なセリフが入ってくるのです
それがちょっと気になって
うるさい感じがしますが・・
話のここかしこに何気なく散りばめられた
キーワードが用意されて
さすがキングならではの展開に
なってますからご安心あれ〜
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個人的にファンタジーといったらこの話。大好きです。
キングの他の小説って読んだことないのですが、推理物とかホラーとか殺伐とした物語が多いイメージがあります。
これは間逆。しょっぱなから下ネタ(当時の自分にとっては)入るのはびっくりしたけど。
いやもう…フラッグの残酷さ加減に惚れぼれですよね。
このやろうと思いつつももっと活躍してくれ、みたいな。なんなんだこのかっこいい悪役。
そういえば小学生のころこれで感想画描いたっけな。
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小学生の時に読んで難しかったのを覚えている。わからないところがあったが、面白かったのことも覚えている!
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キングが子どものために書いたファンタジー小説ですが、タワーシリーズの派生ですし、オトナが読んでも十分にワクワクします。
老王ローランドには二人の王子がいた。ドラゴンの心を持つ勇敢な王子、兄のピーター。父親によく似ている弟のトマス。
立派過ぎる故に兄を恨む弟。そんな弟につけこみ、王国支配を目論む魔術師フラッグ。国の行く末はどうなるのだろうか――。
上下巻ですが、字も大きくて読みやすい。そして、兄がいつものキング節でとんでもないピンチからどう脱出するのか。王道ストーリーかもしれませんが、本当にワクワクします。
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『スタンド・バイ・ミー』『ショーシャンクの空に』などを手がけるスティーヴン・キングのファンタジー小説です。
実は、キング初挑戦だったりして。ホラーが苦手なのでちょっと敬遠していたのですが、これはキング唯一の児童書ということで手に取ってみました。
娘にあてたお話を改稿したもので、とても読みやすくスリル満点の面白い児童書でした。
ドラゴンは序盤にちょっと出てくるだけで、基本は王国の謀略ものです。
どんなに駄目な人間でも強かったり、立派な人間でも間違ったりと、大人になる前に知っておくべき大切な事が書かれていたと思います。
ただ、お子様から「これどーゆー意味?」って聞かれても慌てませんように。
上巻は特に夜の生活やらキタナイ大人の実態やら、かなりダイレクトな描写があって、正直ドギマギしました……!
かなり容赦ない内容ですが、個人的にはその強烈なアクを中和させて児童書として成立させた読みやすく易しい翻訳が絶妙だったと思います。