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紙の本

世紀末のサイコ・スリラー

2001/07/20 07:45

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:旅歌 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ギリシャ悲劇を題材にして、ゴシックな雰囲気を漂わせた女殺人鬼が新都ベルリンを跋扈する。荒削りで抜き身ながら、言い知れぬ力を持った物語だ。全編に漂う、匂わんばかりのギリシャ古典の豊穣な空気。圧倒的だ。あとで、作者の経歴を読んで納得。この作者は大学でギリシャ哲学を教えていた方だった。しかし、ギリシャ神話に「殺戮の女神」は登場しなかったように思うんだけど。「殺戮の女神」と聞いていの一番に思い出すのが、ヒンドゥーのカーリー(ドゥルガー)だ。あとは、ケルト神話のモリガンとか。作者自ら創造しようとでもしたか。

 女性の快楽殺人者がいない(少ない)のには、この物語で言うように、男性の方が性欲が強いからが定説らしいが、ホントのところはぼくもよく知らない。最近の海外ミステリでは、女性の連続殺人犯を扱った物語も多く、男性社会に進出した女性たちが、否応無く男性化している証左ではないかとも思っている。国産ミステリでも、平山夢明さんの作品がある。おかしなところでネタバレしないように気をつけるが、ともかく平山作品の方が、女性が快楽殺人を犯す背景に説得力があるのだ。テア・ドルンが、平山作品を読んで、女性快楽殺人犯の動機付けというか、背景のインスピレーションを得たかのような展開でとても驚いた。さすがに、われらが平山夢明である。

 ともかく物語には、まともな人間がほとんど登場しない。まさに世紀末なのである。どいつもこいつもサイコな一面を持っていて、後半までどこでどう転ぶかまったく予想がつかない。特にエキセントリックな女性はひどい。偏執狂、色情狂、レズ、死体愛好、倒錯、サイコな一時的記憶喪失…、それらを裏付けるフロイト的幼児体験…。声の馬鹿でかい、自分勝手な自己中女ばっかり。男だって負けていない。これも色情狂にオナニストに躁鬱的なわけわからない病的な男。キーワードはセックス。この混沌が新生ベルリン、ひいてはドイツを象徴しているとでも言いたいのか?

 と、ここまでは良いのだが、問題は後半のストーリィなのだ。中盤過ぎまであざとく読者をかく乱しておきながら、あっさりとゴシック文字を引っ込めて、ある人物を登場させる。巻頭の人物リストを見るまでもなく、こいつが犯人なのは見え見え。作者は簡単にバレると思ったかどうかわからない。逆に読者にわからせて、ここからが物語の本番、スリラーが始まるという意味かもしれないが、少なくともぼくにはそこまでのモノは感じられなかった。それでももっとうまい人物配置があるように思う。細切れに切った視点の転換は、読書中は浅はかなテクニックとしか見えていなかったが、読み終えてみれば、ドラマを盛り上げるうまさも感じられたのでとても残念に思う。

 ともあれ、これだけ読者の期待を裏切る執筆姿勢には、大いに大器の予感が漂う。次回作も是非読みたい。こんな感想でした>小太郎さん、紹介ありがとう。

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2012/07/07 23:17

投稿元:ブクログ

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