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びっこでどもり、のろまだったというローマ第4代皇帝クラウディウス。そのクラウディウスの語りにより、アウグストゥス、妻リディア、ティベリウス、ゲルマニクスなどの人物が生き生きとよみがえります。翻訳文学らしい読みづらさはありますが、クラウディウスという人となり、は迫力があります。ローマ時代の男女関係の乱れのひどさ、同族結婚が多い縁戚の複雑さなどがあり、くどく感じてしまう場面はきわめて多いですが、現代も考えてみれば同じですね。同族結婚も皇室では100年ほど前までは常識だった世界です。実は人気がなかったティベリウスやクラウディウスは名君になり、人気高かったカリグラ、ネロが暴君になったという皮肉を知っている私たちとしては好意的に見ますが、恐らく人気取り政治家が多い現代も同じようなリスクがあるのではないでしょうか。それにしても人気実力ともNo1だったというゲルマニクス(ティベリウスの弟の子息、ゲルマニクスの兄、カリグラの父、ネロの祖父)が存命しているとどんな皇帝になっただろうか、ということは歴史のifとして関心があるところです。440ページで、1㌻の文字数も多く、読めども読めども進まずに疲れました。最近のベストセラーは中厚紙だそうで、早く読み進むことが要件だそうですが、痛感しました。