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宮本さんの描く登場人物って魅力的で私はすごく好き。通じる特徴としては女の人は爽やかで凛とした強さを持っている。男の人は熱血漢でありながらも弱さを持っているところなど。どんな個性を持っていても素敵だなって思えるのです。
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【物がいっぱい詰まってる容器には、もうどんなことをしても、それ以上は入らへん。
いっぺん中身を出さなあかん。
そうしたら、やっと新しい物が入れられる…。
人間もおんなじやで。自分をからっぽにする。
自分だけの価値観とか、長い年月のあいだに培われた習慣や視野や固定観念を、根こそぎとは言えんまでも、いっぺん自分のなかから出して、自分を新しい容器にする。
そのための旅っちゅうのも、あってええんやないか?】
以上、『草原の椅子』下より抜粋
自分を一度からっぽにすることは必要かも。
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これは10年くらい前、新聞連載で毎日楽しみに読んだ小説です。
しばらく宮本輝氏から遠ざかっていたのですが、長年再読したいと思っていたので文庫で購入しました。
先に主人が読んだのですが小説の主人公と年代が近いという事もあって共感するところが多々あったらしく「これはいい本だ」としみじみと感想を語りました。
しばらくぶりの再読、やはりこの小説は大好きです。静かな共感と感動が広がります。
あとがきの中で宮本輝氏は本当のおとなの定義を
「幾多の経験を積み、人を許すことができ、言ってはならないことは決して口にせず、人間の振る舞いを知悉していて、品性とユーモアと忍耐力を持つ偉大な楽天家」と言われ、「『草原の椅子』は、私自身が、優れたおとなたらんとして書いた小説かもしれない」と語られています。
私自身も優れたおとなたらんと日々努力したいものです。
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10.02・08読了。憲太郎、娘の弥子、親友の富樫、篠原貴志子、両親に捨てられた圭輔。何度も目頭が熱くなった。日本ていう国を批判し、絶望してる内容がたくさんある。すごい愛を感じた本。宮本文学大好き!
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歳は取りたくないけど・・・・歳取ったらもう一回読むぞ!
っていうのも、決して読むには早いってわけじゃなくって立場によって感じ方、見かたが変わってくるだろうと思うからであります。
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宮本文学のテーマの1つとして「宿命」がある。
5歳の喜多川圭輔は両親に捨てられるという「宿命」を背負いながらも、遠間と富樫をはじめ、多くの人との出会いによって、閉ざしといた心を開いていく。
遺伝子、環境など自分ではどうすることもできない「宿命」はある。しかし大切なのは、どう生きるかである。たくさんの人に出会い人間力を養うことこそ人間に課せられた「使命」なのかもしれない。
物語には遠間や富樫をはじめ善人が多い。こんな「心根」のきれいな人ばっかりだったらきっと世の中はもっと良くなるんだろうな。読感後はすがすがしい気持ちになった。
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中国に魯迅という作家がいた。その魯迅は、こう書いた。―地上にはもともと道はない。歩く人が多くなれば、それが道となる。―
タクラマカン砂漠~フンザへ行こうと決意した憲太郎は富樫や貴志子を誘う。そして、心に深い傷を負った圭輔も。ふたたびシルクロードへ~~♪
本書あとがきにこう記されている。「四年前、阪神淡路大震災で家を喪った私は、震災後から半年後に、シルクロード六千七百キロの旅に出た。四十日間に及ぶ過酷な旅であった。」と・・・。恐らくこの旅の経験が小説の素材となっているのだろう(?_?)
物語終盤にさしかかり、人間の生命と星雲の話とか一夜で移動するという死の砂漠を意味するタクラマカン砂漠の情景。なんて人間ってちっぽけな存在なのかと思うのである。とても壮大な物語だ!どんな映像化になるのだろうか http://www.sougennoisu.jp/
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いろいろな人間がでてくる
しかし
憲太郎
富樫
貴志子
の3人は皆良い人すぎる
こんなに相手を思い遣り
自分のことも思い遣れる人はいるだろうか
40.50の大人の恋。
結ばれようが結ばれなかろうが
それはそれでひっそりたたずんで
美しいのだ
私もフンザに行きたくなった。
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”まさにその4文字の中に、人間が崩壊するすべての根本が含まれてるんやな、人間のあらゆる失敗の根本は”魔が差す”からや”
”物を作るってことは、人間が生きるということなんや。商売も同じや。物を作っている会社は、いざというときに底力がある。右の物を左にうつしたり、左の物を斜めに動かして利ざやかせいでいる連中は、世の中の動きがちょっと変わっただけで、ころっと転びよる。俺とこみたいな量販店は、まさにそれや”
”縄文時代の人間は営々と1万年近く生き続けていた”
”人事、他言すべからず”
”50歳という年齢は、まだまだ未来を孕んでいるが、死も身辺にまといついている”
”清潔に生きたいな、悪いことをしないで、人をやっかまず”
”60代にならんとわからんこともあるし、70代にならんとできんこともあるやろうし、80代にならんと悟れんこともあるはず・・・50代なんて、まだまだこれからや・・・”
”やっかみ深い民族だよ。なにかというと他人のことの干渉しやがる。そのくせ自分が干渉されると、自分の間違った考えや行いを棚にあげて逆恨みする”
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憲太郎が恋心を寄せる篠原貴志子。両親に捨てられた五歳の圭輔。行き場のない思いを抱えた人間たちが、不思議な縁で憲太郎と結ばれてゆく。しだいにこの国への怒りと絶望を深める憲太郎は、富樫と壮大な人生再生への旅を企てる。すべてを捨て、やり直すに価する新たな人生はみつかるのか?ひとりひとりの人生に熱く応える感動の大長篇。
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タクラマカン砂漠の砂一粒とも星空の微かな明滅ともつかない人間の存在であるが、それが自分の人生であるならなんとかしたい。正しく生きる意思こそ光を放つエネルギーであるとあらためて認識させてくれた。
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まず、言葉の使い方の美しさが彼の本を読みたくなる理由だ。
この四字熟語何?と調べたくなるような言葉がちりばめられている。
自分より大人の本を読むようにしていたのが、ここのところのはやりモノに手を出して、イライラしていたのが浄化されるような文章と内容。
何がどうだ、っていう結末があるわけではないけれど、神様(宗教上ではなく)がいるような気にさせられ、彼らが出会って行動を共にする奇蹟に静かで穏やかな感動をずっと持ち続けられた。
震災を経てからということで、綺麗な大人が描かれているんだなと思った。
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宮本輝さん、「錦繍」を数十年前に読んだのみ。
よしもとばななさんのWEB上の日記に宮本氏の人格の高潔さを感じさせる文章を読んだ日に書店にて文庫本上下を発見し即購入しすぐに読み終えた。
50才という同じ年令の、しかし私などとは違い社会経験も人生経験も豊かである二人の男性の友情を軸に、恋愛、親子愛、子供を育てるということ、生きていくということ、日本人であるということ、様々なテーマを、優しい箴言を登場人物の思いとして語らせている。
自分はどう思うか?どうであるか?という問いかけを始終しながら読み進めた。
非情に良い読後感。品性いやしくない人間らしい登場人物たちが秀逸。
50年生きてきた自分を振り返り少々の落胆を禁じ得ないが、この本に出会ったことに感謝。
フンザは無理でも、土を踏みしめ歩き、星をいつまでも眺めていたいと思った。近いうちに絶対に行ってこよう。
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妻と別れ50歳になり満たされぬ人生への思いを募らせるカメラメーカー技術系サラリーマン「憲太郎」と、大不況に悪戦苦闘する叩き上げ量販店経営者「富樫」。どう生きるか答えを求め、生きて帰らざる海「タクラマカン砂漠」、桃源郷「フンザ」への旅を企画する。虐待を受け両親に捨てられた「圭輔」、憲太郎が恋心を寄せる「貴志子」が加わる。
「人情のかけらもないものは、どんなに理にかなっていても正義ではない。理を知と勘違いして、その錯覚が日本人から大事なものを奪った。」「心根の貧しい国になってしもうたなぁ」と現代の日本という国を憂いながらも、人間力のある大人とはを描く。
「人間すべてが、生あるものすべてが、共通の波長のなかで、それぞれの役割をになって生きている。」
映画を観る前に原作を読んだが、映画のラストは原作と変えたみたいだなぁ・・・。
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圭輔の瞳の中には無数の星がある。子供というのはたくさんの可能性を秘めているんだ。
誰しもが弱さを内在して必死に生きてる。彼らの様に自身の弱さや思いをそのまま曝け出せる人が自分にはいるだろうか?そんな心穏やかな空間はあるだろうか?その存在が本当の地球最後の桃源郷。