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遠くの大国と感じがちなロシアの文化や人々の価値観が、読みやすい文体でスラスラとわかる本。
ロシアには昔から興味があったのだけど、この本を読んで初めて知ることも多かった。例えば、
・ロシアでは勤労者の夏休みが平均1ヶ月あって、その間は「ダーチャ」と呼ばれる別荘で過ごす。ロシア人は自然が大好き。
・ロシア正教会には「斎(ものいみ)」があり、その時期は肉料理、乳製品、卵料理はご法度。アルコールはOK。期間は毎週水曜日と金曜日、降誕祭の前1ヶ月、ペテロ・パウロ祭の前2週間など、一年の中でかなりの日数に及ぶ。この習慣が、ロシア人の成人病予防になっているのではないか。
・兵役は18歳から。軍に対して尊敬の念を抱いているロシア国民は多く、兵役は「名誉ある義務」とも言われているが、一方で「軍は人生の学校である。しかしできれば通信講座で学びたい」などのジョークもある。
・ロシア人は信心深く、恐れ多いことを口にすると言霊が悪さをすると考えている。その為に「森の中で一番怖くて偉い存在」である「熊」のことを、「蜜のありかを知っているもの」という仮称で読んでいた。長い間そうしている内に、ロシア人は「熊」という単語を忘れてしまった。
・ロシア人は黒猫が前を横切ると、道を戻って他のルートで行くか、十字を切るかする。(この本の著者は日本で「クロネコヤマト」のトラックにでくわす度、心中穏やかではなかったとのこと)
などなど。政治に関することでも興味深い内容が多かったが、ここでは割愛。
ロシア人である著者の目から見る、日本に関する記述も面白い。