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紙の本

「ぶっ飛ん」でいて新鮮かつ刺激的だった鈴木論文

2001/12/16 00:06

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 柄谷氏を交えた三つの対話と二つの書き下ろしで構成されている。浅田氏の「スターリン主義的」なまでの「われながらうまい司会」とツッコミが冴えた対話や『希望の国のエクソダス』をめぐる村上氏との対談が面白かったし、シティ・カレッジあるいはソーシャル・センターとしての「ニュースクール大阪」構想をめぐる山住氏の文章も示唆に富んでいたのだが、なんといっても鈴木氏の文章が「ぶっ飛ん」でいて新鮮かつ刺激的だった。

 NAMやcode(坂本龍一主宰)が採用を決めた通貨発行ソフトウェアGETS(Glocal Exchange Trading System)の開発プロジェクトやInterGETSをめぐる話題、貨幣商品説や貨幣法制説の向こうを張った「貨幣評判説」(評判言語としての貨幣)の提示、そして、一次産品だけで生活できるような素朴な社会に適合的なLETS(すべての取引を販売‐購入型の絶対値取引として扱う)に対して、生産関係が複雑に絡み合う高度に分業化された経済システムに適合的な「相対値貨幣」(すべての取引を投資‐被投資型の相対値(=割合)取引として扱う。利潤を対価とする直接金融や利子を対価とする間接金融に対して、付加価値を対価とする第三の金融手段)のアイデアや「すべてが出資であるような経済圏」の構想。

《現在のどんな大企業でも、実は一つ一つのプロジェクトは二○○人程度で行われていたりする。相対値貨幣が目指すのは、巨大企業は形成されず、どんなに大きくても一○○○人程度のプロジェクトが生成と協力と崩壊を繰り返すような社会だ。バーチャルな組織体としてのプロジェクトはそれ自体としては何の目的も持たず、巨大なプロダクトはそれら中小企業の連合(あくまで取引という名の投資)として生まれてくるだろう。企業は、コースのいう取引コストを最小化させ、付加価値を最大化させるための単なる道具なのだ。決して利潤を最大化させるための道具じゃない。
 いま、はやく起きて欲しい、というよりも起こしたいのは、協同組合やNPOの職員が一生使い切れないほどの金持ちになるという事件だ。スケールでいえば、年収一○○○億円くらいはありえると思う。(中略)このとき、従来の意味での資本主義的企業はNPOに絶対勝てなくなるだろう。》(204-205頁)

 あらゆる取引が投資として行われる究極の資本主義の中ではNPOしか存在しえない。──この仮説ひとつ取り上げてみても大胆かつ魅力的なものなのだが、鈴木氏の奔放な構想力は、ネット貨幣と実世界インターフェイスをめぐる議論(脳とコンピュータの接続によるクオリアつき貨幣!)を経て、さらには経済的な問題を越え政治や法律の分野を取り込んだ「貨幣・投票・所有の情報論的融合」をめぐる議論へと、すなわちe-democracyの新しい形態、あるいは公私二項対立の図式を越えた共(コミュニティ:共同体)のパラダイムにおけるガバナンスをめぐる社会工学的な議論へと進んでいくのであって、まことに斬新かつ不羈にして説得力と問題提起力に満ちた論考だった。

 とりわけ最後に出てくる次の文章など、私はほとんど心脳問題(貨幣=魂=価値や心の形式・容器と置き換えるならば、「魂脳問題」)への示唆に満ちた言及として読んだ(貨幣の問題は古代ギリシャ哲学、中世スコラ哲学以来の西欧形而上学の、そしておよそシステムをめぐる思考の根幹にかかわっている)。

 《貨幣は心(志)の配置に影響を与えるだけであって、心そのものじゃない。つまりこういうことだ。ぼくは貨幣なんぞに、全く興味がない。そして、貨幣そのものは無価値だからこそ、ぼくは貨幣について考え、新しい貨幣をつくろうとしている。貨幣を考えるときの空しさは、ぼくが健康であることの証拠だ。》(215頁)

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