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紙の本
第四十回直木賞受賞作
2006/02/25 21:56
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
第四十回直木賞を受賞した短編集『落ちる』(河出書房新社刊)に収録されていた全作(七編:くわしくいうと、このうち『落ちる』『ある脅迫』『笑う男』の三篇によって直木賞を受賞)に、デビュー作である『みかん山』他三編、あわせて十編を収めた作品集。
まず、その作風の豊かさに驚かされ魅せられます。トリックをメインに据えたオーソドックスなミステリ、抒情性豊かなもの、コミカルでユーモアあふれるもの、感傷的なもの、じわじわと増してくるサスペンスに手に汗握るものなどなど、バラエティに富んださまざまな形のミステリが楽しめます。しかも、どれもおもしろい。
こんなに優れた、しかも直木賞を受賞している作品が、長い間入手困難、なかなか読めなかったというのだから、情けないはなしです。いったいどういうことなのでしょう。本書、創元推理文庫版もすでに品切れ状態だし。月に何百点も新刊が出ているのに対して、過去の名作の扱い方といったら・・・。なんとも寒い時代ですねぇ。
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