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表紙はダサいですが、真面目で非常にわかりやすい線形代数の自習書です。
線形代数の話は一次変換、固有値、固有ベクトルあたりまでで、残りは量子力学と線形代数の関係についてページが割かれています。
類書に比べて文章量が豊富で非常にわかりやすく(逆に冗長と感じる方もいるかもしれないが)、実際に講義を受けているような感覚になる。
行列式の計算のように、通常であれば省かれてしまう途中計算も、ほぼ省くことなく書かれており非常に初学者に優しい作りになっていると思う。
最後の最後で、ベクトル解析の回転(rot)と行列式の関係について補足があるのだけど、回転の物理的な意味とイメージがかなりわかりやすく説明されていて、感動した。特に回転に出てくるマイナス項の意味の説明はベクトル解析の本でもなかなか見られるものではないと思う。
著者は同じシリーズの「なるほどベクトル解析」も出しているので読んでみたくなった。
線形代数を網羅するような本ではないですが、重要な項目に絞って、かつ物理に関連するように説明されているので、数学科の人ではなく物理系の人におすすめできると思います。