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学問と「世間」 みんなのレビュー

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みんなのレビュー13件

みんなの評価3.7

評価内訳

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13 件中 1 件~ 13 件を表示

紙の本

広い視野の大切さ

2004/01/31 15:39

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:濱本 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は、我が国の「世間」の捕らえ方をまずは、学会等に見られる学問の世界、続いて、一般的な「世間」を取り上げ、その閉鎖性を指摘した上で、現在の日本人の課題である生涯学習のありかたを提言する。いずれも納得の行く記述であり、鋭い視点から日本人を分析した日本人論であると言える。
 まず、我が国の高等文化領域である「学会」について述べる。学会に所属しているものの世間、それが「学会」である。彼らは、学会に対し、論文を発表し、批評も学会内で受ける。つまり、学会は読者であると同時に、仲間であり、著者はその「世間」と暗黙の内に了解しあい、自分の行動のすべてについて「世間」の反応を期待しているのである。彼らの常識は、学会の常識であり、それが一般的日本の実情と乖離があろうとなかろうと、それは問題無いのである。諸外国では、そうでは無い。学会はあるであろうが、発表はあくまで国民に対して為され、その益は国民が享受するのである。我が国では、この部分が欠如している。我が国の研究者の書く論文は、国民に向けられているのでなく、学会に向けられている。ここには、一つの差別意識が見える。つまり、バカな一般国民に私の研究が分かる訳が無いという差別意識である。こういう意識が、一般に何の約にも立たない、税金の無駄使いと思えるような研究が多々存在する理由でもあると思う。
「世間の融合」の素晴らしい成果も紹介されている。「人文科学」と「自然科学」の融合である。柿本人麻呂の「東の野の炎の立つ見えてかえり見すれば月かたぶきぬ」この歌の成立年代と時間について、誰かが東京天文台に問い合わせたのである。この歌が成立したのは陰暦十一月十七日、太陽暦では、西暦六九ニ年十二月三十一日の午前五時五十分頃という回答を得たのである。所謂、専門バカの垣根が取り払われて、融合した時にいかに素晴らしい成果が得られるかを示した好例であると思う。
 学会に限らず、日本では、あらゆる所に世間がある。職場、近所付合い、趣味のサークル、そして最も小さい世間は家族である。職場の世間は、もっとも見苦しい姿を例を挙げれば事欠かない。一つ挙げれば、警察の不祥事である。警察内で不祥事が起これば、まず隠そうとし、表立てば、庇うような姿勢を取る。しかし、それが警察という世間から飛び出した人物が起こした不祥事であれば、徹底的に追求する。我が国の世間には、こういう風潮がある。「世間」の中で、それなりの言動をしていれば、その「世間」からは守られるのである。日本人の自立性に私は疑問を持つ。私は、普通に会社に勤め、ごく普通の人間と理解しているが、所謂私の世間は、「世界」である。その人物の大きさの一つの指標は、そのような「世間」を持っているかでろうと思う。どれだけ大きな「世間」を持っているか? それが、その人の行動原理になると思う。
 「日本の学問の課題」と題して、一章を設けて論じているが、ここで一番感銘を受けたのが「生涯学習の新しいあり方」である。哲学を例にして述べている。これまでの哲学は基本的に欧米の哲学の紹介に終始していた。哲学者とは欧米の哲学の解説者にすぎなかったのである。しかし、生涯学習における哲学は、「いかに生きるべきか」という問いを中心にして、日本、欧米、その他の地域の人々の生き方に焦点を当てて哲学を論じるのである。その他に、民主主義も例えている。民主主義とは長い年月を通じてその国に根付くものである。欧米の民主主義が普遍的なものでない事を理解し、その国の歴史・実情にあった民主主義を論じるのである。こういう生涯学習に大学が門戸を開き、国民に学の機会を与えるのは素晴らしい事だと思う。
 昼休みのいい読書を楽しめた一冊である。

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紙の本

日本の人文社会科学のあるべき姿を問う

2001/06/25 23:37

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:haruka - この投稿者のレビュー一覧を見る

 近年、国立大学の独立行政法人化の流れ、生涯教育、大学院重点化など、大学に関するさまざまな議論が展開されています。本書は、「教養」や「世間」に関する鋭い洞察で知られている阿部謹也氏による学問論です。
 これまでの日本の人文社会科学の現状と歴史を踏まえた上で阿部氏が提唱するのは、フッサールによる「生活世界」を基軸とした現場主義の学問です。こう書くと難しい内容のような気がしますが、本文は非常に明快かつわかりやすく書かれているので、読みやすいです。
 学問というのは、学者という特権的な人たちによる排他的な営みなのではなく、研究者と実践家との協同的・状況的な対話であるのだということを改めて考えさせられました。ショーンの『専門家の知恵』(ゆみる出版)も、同じようなスタンスによる本であると思います。

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紙の本

生活世界

2001/07/28 17:19

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:メル - この投稿者のレビュー一覧を見る

 日本の大学の閉鎖性が、しばしばアメリカと比べられて言われることがある。現在のアメリカは、どの専門分野でも世界の先端を行っているようではあるが、それを支えているのは、他の国からやってきた研究者たちであるという。どうやら優秀な研究者であるなら、アメリカの研究機関はどんどん呼び寄せて、自分たちのところで研究させるということらしい。
 それに対して、日本の大学はあまり海外からの研究者を呼ばない。呼び寄せたとしても、その研究者が自由に研究できる下地がないので、せいぜい講演をさせるぐらいのことしかできないと言われている。こうした日本の学問の世界の閉鎖性をなんとかしようと、いろいろ議論になっているようだが、今のところはまだ大きな変化はない。
 それでは、いったい日本の研究者は何をしているのか、いったいどこに向けて研究を行っているのか。

 「では、そのような研究者たちは誰に向かって論文や著書を書いているのだろうか。狭義には学会であろうが、そのほかにそれぞれの著書の「世間」がある。一般的な文章は「世間」に向けて書かれるのである。その「世間」は著者を理解し、その文章が公刊されるたびに何らかの反応をする集団である。それは読者であると同時に、仲間であり、著者はその「世間」と暗黙の内に了解しあい、自分の行動のすべてについて「世間」の反応を期待している。」(6P)

 このあたりは、その通りだろうなと思う。専門性が強まれば強まるほど、その世界が狭くなるというか閉じられていくようだ。専門性が強ければ、理解できる人がそれだけ少なくなるし、結局理解できるのは、同じ研究を行っている研究者同士に限られてきて、その人たちに理解されればそれで良いと思ってしまう。本当は、自分の行っている研究の価値を、きちんと専門以外の人に説明できるようになることも重要なことなのだろう。
 しかしながら、こうして専門の世界に閉じこもってしまうと、普通の世界、つまり私たちが普段経験している世界からどんどん離れていってしまう。これまで学問の世界で扱われてきたのは、理論的、論理的に構築された客観世界であったが、私たちが経験する<生活世界>も扱わねばならないのではないか、と本書ではいう。そして、日本でこの<生活世界>にあたるもの、それが「世間」ではないかと。だから、「世間」に関する研究が必要なのではないかというのである。
 「世間」と<生活世界>に関してはともかく、普段から自分が自分の研究が一体どんな価値があるのか、そういう不安を抱いているだけに本書に書かれてあることは、実感できる。特に人文系の学問は、社会とどう関わりを持たせるのか、ということが問題になると思う。個人的には、社会と切りはなされた純粋論理的な世界よりも、普段生活している世界と関わっていきたいと思っているので。

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2006/10/18 22:47

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2009/07/04 11:33

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2011/05/14 08:10

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2012/03/01 05:54

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2015/09/13 21:43

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2018/11/06 16:17

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2017/01/24 00:17

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2017/12/18 01:30

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2018/12/21 21:05

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2019/09/20 23:20

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