天国に涙はいらない(3) あだ討ちケ原の鬼女 みんなのレビュー
- 著者:佐藤 ケイ, イラスト:さがの あおい
- 税込価格:561円(5pt)
- 出版社:KADOKAWA
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どうにも好きになれないなぁ。
2002/07/07 01:49
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投稿者:十二番目の男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
外角高めのストライク(新ストライクゾーン)を強引に引っ張る「天国に涙はいらない」シリーズの第三弾。今回もやっぱり帯には「笑いと涙のシニカルコメディ」と書いてあって、ほんとに一体どのあたりが冷笑的なのか教えて欲しい。
今回のキーパーソンは、巫女少女の勘解由小路みき。
兄殺しの仇を討つためやってきたみきは、諸々あって賀茂の家に居候することになった。
同じく賀茂の家に居候することになったたまとも仲良くなり、まるで姉の様な存在になっていくみき。
だが兄の仇が判明した瞬間、みきと賀茂達の絆は崩れてしまうのだった。
鬼となり、復讐を果たそうとするみき。賀茂は、アブデルは、彼女を止められるのだろうか。
天国に涙はいらないシリーズは、コミカルとシリアスの間をいったり来たりする。
これまでの作品を振り返ってみると「冒頭はコミカルに始まり、中盤はキャラクターの個性や魅力で押し、終盤一気にシリアスになっていく」というパターンが確立しているようだ。
ある意味ではヤングアダルト系小説の構成術として正解ではあろうが、本作の場合はどうもバランスが悪くて好きになれない。もちろん各人で感じ方は違うのだろうけれど、私は好きじゃない。
序盤から中盤までのコミカルさは度を超しているように思うし、シリアスな空気の中でも笑いどころを入れてくるのはマイナスではないか。
「たま」の持っている葛藤は、小説にとってとても便利で強力な武器だと思うのに、ギャグ過ぎてなおかつシリアス過ぎる現在の状況では生かし切れていない。そんな様な気がしてならない。
笑いにもっていくには重すぎるし、シリアスにまとめてみるとそれまでのギャグが嘘くさくなってしまう。
うーむ……このシリーズは、私には向いていないのかもしれない。楽しめないなぁ。上手に気持ちを切り替えながら小説を読める人にとっては、本当に涙あり笑いありのコメディとして読めるだろうと思う。そういう人に対してはおすすめである。
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