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紙の本
さすがマーチン様、人生をわかっております
2001/10/24 13:54
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投稿者:ゆっこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
陶酔しやすい小説である。さすがコメディアンの作者だけあって、人間描写が鋭く、文章にユーモアのセンスが光る。登場人物全員のどこかしらが自分にも当てはまっていて、それを「やられた!」と的を射抜かれたような適確な表現で言い当てられるのだから参ってしまう。そのおかしさにはまり、自分との類似点を見出していくうちにどんどん先に進んでしまう。
舞台はL.A.で、ある日突然平凡なショップガールの生活に不思議な出会いが舞い込んだ、という小説にはありそうな話だが、上手く料理をした分他にはない現実感と深みがある。登場人物を深く掘り下げ過ぎないのが頭を硬くさせないし、かといって浅いわけではなく、きちんとそれぞれの人物背景がわかるようになっている。都会でも田舎でも、アメリカだろうが何処だろうが、何処へ行っても皆の生活や感じている事には変わりはない。この小説は皆暗中模索しながら自分のあり方を学んで行くことをさりげなく示してくれている。かけ離れたストーリーのように一見見えるが、そうではなく、私達に共通する日々を描き、どう生きていくのか最後に勇気をくれる秀作である。
憂鬱な人生、でも、新しい扉はすぐそこかも。自分の人生に退屈して、憧れの世界ばっかりに目を向けている人、どうやって自分を見つけて行こうか悩んで止まっている人、そんな人にお勧めの一冊です。
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