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投稿者:撫子の丘 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ゴールドの絶対的な価値そして相対的な価値を問う。
金への畏敬の念。
金の価値は状況に応じて変動すべきであること。
紙の本
「金」というより「黄金」と書いた方が解りやすいのですが…
2003/05/07 12:21
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投稿者:成瀬 洋一郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「金」に関するエピソードを連ねながら、「金」にまつわる歴史を綴っていくという形式の1冊ですが、そのエピソードもギリシア神話からゴールドラッシュ、金本位制の崩壊と実に幅広いものとなっています。ぱらぱらと読んでも面白く、まとめて読み通せば、また違った印象が伝わってきます。
結局、「金」は単なる金属でしかなく、その価値は人間が決めるものなのですから、「金」の歴史は人間が自分が生み出した存在価値に翻弄される歴史ともいえるのでしょう。
紙の本
非常に興味深く,考えさせられる
2001/11/14 22:55
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投稿者:MF - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は、有史以来の(但し主に西洋の)「金」の生い立ちについてまとめている。具体的内容としては、通貨の生い立ち、通貨の中で金が本位とされていく過程、金本位制のルールの下での経済政策などを通して、人が如何にこの物質に魅惑され、ふりまわされてきたかを描いている。
盛り沢山の内容に疲れてきた頃に、やっとエピローグが来る。勘の良い読者はそこに辿り付く前に著者の真意を汲み取るのかもしれないが、たとえそうでなくても、このエピローグを読むとそれまでに示された多くのテーマが見事につながっていく。非常に興味深く考えさせられる。
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金(gold)を蓄える者と、金を消費する者、どっちが賢い?
古来、人々が羨望し、権力者たちが求め続け、富や権力の象徴となってきた"金"という視点から、経済の歴史を描く。
金にまつわる神話、金を欲して地獄に堕ちた愚か者たち、金の価格変動に失敗した学者など、古今東西の金の物語から、人間の欲望と経済の動きとを描いています。
かくも人間を狂わせる金の歴史は、そのまま人類の歴史と言えるかもしれませんねw
人間が金を所有してるのか?金が人間を所有してるのか?
ニン、トン♪
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金と貨幣を中心に紀元前から現代までの歴史を辿る。物そのものに価値があった金貨から、物としてはただの紙だが価値があるとされる紙幣へ。紙幣しか使った事が無いので興味深く読めた。金そのものを通貨として使うと、流通過程で徐々に削り取られる(!)、金の産出量という制御できないもので経済政策が決まってしまう、という問題がある。ただの金属だが価値があるとされる。金とは何なのだろう。
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原題の副題が"THE HISTORY OF AN OBSESSION"(強迫観念の歴史)というのは実に皮肉が効いている。本文中でも繰り返し問われるように、この本のテーマは「金を所有した者たちの歴史」というよりは、「金に所有された者たちの歴史」だからだ。貴方がこの本から学べば、歴史に登場する人々のように富に取り憑かれる(be obsessed)のを避け、真の意味で豊かな人生を送れるかもしれない。
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◆宝飾品として人々を魅了してきたゴールド。が、その真の世界史的意義は、貨幣の素材・原料の面と、その信用源泉の核であるところに存する。本書は、古代から現代までの、英米他主要国に関する一国金融史に、関係各国の外交・交易などを織り込んで重厚に解説していく◆
2001年刊。著者はコンサルティング会社代表(元投資顧問業者代表)。
副題「金と人間の文明史」が全てを表しているが、それこそエジプト文明から現代までの、金(ゴールド)が社会・経済に与えた影響を広く論じた書である。
もちろん金を定点にした世界史であるが、芸術・装飾品としての金は古代史の一部だけで、当然の如く、中心課題は、貨幣論・金融論、それらの歴史に関わりあるものであって、経済史の限定的部門史の趣きである。
故に、例えば、金融帝国たる英国一国の政治・経済史(世界史の縦の部分)の理解と共に、英国と関係する仏、イベリア半島、時代を下れば印中との外交・戦史といった世界史の横の理解も必要となる。
そういう意味で、近現代(特に19世紀以降)については、一般に世界の各地の関係性を意識した書が多く、他方、経済・金融は、当該国の政治・経済の細かな部分に言及せざるを得ないところ、タテの部分(つまり、関係各国それぞれの一国史)の情報の細やかさに難しさが。
逆に、ローマ帝国やビザンティン帝国、さらには神聖ローマ帝国など、古代から中世までは、各国関係史(ヨコ)で記載されるあたりが、中々難易度の高さを感じさせる。
細かな内容は本書に触れてみた方が良いだろうが、総じて、かように世界史をヨコにもタテにも展開する本書は、歯応え十分の書であり、不十分ながら気づかせられたところも多々ある。
例えば、➀近代の金本位制といっても、厳密な意味で、常に貫徹されていたわけではなく、時には金本位ながら、兌換否定の取扱いをし、そうすることで貨幣の信用性維持を図らんとした場合があったこと(奏効したか否かは別儀)。
あるいは、➁金の流入増大とは、19世紀半ばの米豪や、15世紀後半からのアフリカなどのみならず、ロシアなどからの流入時にも生じたが、それが、即、貨幣量増大⇒インフレといった事態に結び付くわけではなかった点にも意を払うべきところだと気づかされる。つまり、史的には、インフレ現象は多要因であることが明示されていると。
兎も角、再読必至の重厚なノンフィクションである。
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『リスク』に続くピーター・L・バーンスタイン氏第二弾。「金(きん)」という動脈から歴史を捉える試みが面白い。内容的にはやや散漫で百年単位の出来事が行単位で往来するため混乱する読み辛さはあるが、普遍かつ不変に輝く「金」に対する古今東西の価値観や意味付けが読み取れて興味深い。例えば通貨的価値でいえば兌換性や裏付けが重視されモンゴル帝国の紙幣のほうが優位だったり中世では塩や胡椒と等価に扱ったエピソードは「Gold」の本質的価値と妖美な装飾的価値の差異を突いている。「金は宗教」は然りなり。現代のような情報技術がない世界では、金本位制は国際的共通言語でありチキンレースであったといえようが、ニクソンショックで紳士協定が瓦解した世界は「金(かね)」と「金(きん)」の関係性も大きく変容していった。一刻の狂乱を経て、金はまた本来の住処に戻っていった。
話は変わるが、本書で述べられるニュートンのエピソードは今で言うギフテッドそのもの。もしもう少し早い段階で適切な教育機会を得られていれば、世界はひょっとしたらもうちょっと早めに若しくは先に進んでいたかもしれない。