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紙の本
沖縄にじっくり浸る
2006/12/05 11:45
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:マドレーヌ - この投稿者のレビュー一覧を見る
壮大な沖縄の物語。
二段組で500ページを越すボリュームに最初は圧倒されました。
かれこれ一ヶ月以上、手元に置いて少しづつ読み進めていましたが、
半分を過ぎた頃から最後までは一気でした。
「だからよー」
読み終わった今も、おばあの言葉が頭上をよぎります。
タイトルの風車祭(カジマヤー)とは、数え97歳のお祝い。
この祭りを来年に控えるフジおばあが実に人情味があり、
よくぞここまで長生きをしたものよと思わせる強烈な人物で、
おばあ旋風を撒き散らす。
フジおばあの家に出入りする島の高校生、武志。
彼も重要人物で、
言わばこの物語はフジおばあの沖縄の日々と
彼のラブストーリーの堂々二本立てといった感じ。
高校生の甘く、青く、切ない気持ちが
沖縄の風景に色濃く溶ける。
フジおばあと武志の周辺では
信じられない事件が続出して、
喜び、怒り、泣き、そして笑い、まさに五感フル活動。
マブイ(魂)を奪われてしまう、
二百年以上も生き続けている女性…。
不思議な体験や不思議な人物との出会いが続出。
次々登場する人物があまりに濃い人物ばかりでこの点でも圧倒されるが、
ギーギーという名前の豚、
武志に片思いをする彼女もまた忘れられない。
沖縄の風習やお祭りなどが社会の教科書なみに
記されていたり、
島の唄がたくさん紹介してあったり、
沖縄にじっくり浸れる一冊だった。
*この書評は単行本版の『風車祭(カジマヤー)』の書評 の再録になります(ビーケーワン)
紙の本
沖縄発、南風の清々しい空気に包まれる物語
2004/04/29 17:37
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:風(kaze) - この投稿者のレビュー一覧を見る
武志にフジのオバァにピシャーマ。睦子と郁子の姉妹に、チーチーマーチュー、ターチーマーチュー兄弟。そして、洗濯大好きの六本足の豚ギーギー。
彼ら登場人物たちが、とても愛おしく思えてくる物語。なかでも、豚のギーギーのことが忘れられません。
沖縄は八重山諸島の石垣島を舞台にした、天衣無縫、自由闊達な空気が満ちあふれている物語。文庫で750頁あまりの話の終わりに近づくに連れて、いつまでもこの物語の中に浸っていたくなりました。読み終えてしまうのがもったいない気持ちでいっぱいでした。
沖縄の海の匂い、風の香りが、行間から立ち上ってくるような話。気持ちがからりと晴れて、元気が湧いてくるような物語。石垣島にいっぺん行ってみたくなる、しばらく島で過ごしてみたくなる、デージ面白い、そんな話だったさぁ。
沖縄の夏、清々しくて心地よい空気を感じてみたい方には、ぜひともお薦めしたい池上永一さんの『風車祭』。話の中にどっぷり浸かることができましたっ!
紙の本
沖縄妖怪ラブコメディ
2001/08/12 00:00
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ざぼん - この投稿者のレビュー一覧を見る
純朴で素直な高校生武志と、異常にパワフルな老婆フジ、案外まともに見えて妖怪であるという自覚に乏しい分ハタ迷惑なピシャーマ、豚でありながら一途で健気で頑張りやさんのギーギーが巻き起こす超ドタバタ活劇。
舞台は『バガージマヌパナス』に引き続き、沖縄。私が知っている「日本」とは明らかに違う風習、伝統が息づいているその土地は、まるで異世界だ。でも、地続きだという感覚が確かにある。異世界のように見えて、異世界ではない、この世界の続きに確かに存在する「沖縄」。私は沖縄には行ったことがないが、そういう感覚が、池上永一や目取真俊の作品の魅力だと思う。
このお話は言ってしまえば武志をめぐる切ないラブストーリーである。武志とピシャーマの報われぬ恋にからんで、豚妖怪ギーギーの武志に対する一方的な片思いの切なさ(ピシャーマよりもこっちの方がハイライトである)、武志の魂が勝手にアプローチしてしまった睦子の悲劇(?)、これら人間×魂の恋愛談は、想像通り思わず笑ってしまうような無茶苦茶なものばかりなのだが、ラストには思わずホロリ。超一流のラブコメディであると言えよう。
そして当然、破天荒おばぁフジを筆頭とする老婆たちの活躍も見逃せない。私的にはトミにももうちょっと活躍してほしかったような気がするが、ツカサやユタ達がそれを補ってあまりあるので、婆萌えな方には必読だ。
536ページ全編に、愉快で明るくさわやかな沖縄の空と大気が溢れた一編。読み応えありまくりのエンターテインメント巨編(ちょっと高橋留美子を思わせる)。お薦めである。