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紙の本
昆虫学者が書いたから信頼できる昆虫俳句歳時記
2001/10/10 19:33
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投稿者:あらきみほ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「このように私をとらえて放さない昆虫の魅力とは何であろうか。 まず種類が多いことである。全動物種の七五パーセントが昆虫で、飽きることがない。現世の地球で我々人間と共に最も栄えている動物群であり、至る所に棲み人間の生活と密接な関係をもっている。次に美しく形の変わったものが多いことである。また、あらゆる環境に棲むその生活が面白いことである。私にとってはそこが特に興味深く、生活を研究する昆虫生態学を専攻してきた。」(あとがきより)
仕事柄、旅の多い著者はさまざまな昆虫に触れるたびに俳句に留め、また特に女性が嫌う汚い・危ない虫は、特に俳句になっているものも少ないからと、愛すべき生き物である昆虫の、多様で興味ある生活を紹介したいと思って昆虫俳句を採録はじめたのだという。例句のあまり見つからない「ざざ虫」「介殻虫」「亀虫」などは著者が例句を作っていた。佳い俳句をたくさんの人たちが詠むことで、「昆虫」たちは「季語」として生き返るのである。
各項目のページを開けば、生物学的に、文学的に、俳句を例句として繙いてくれる文章はとてもたのしい。
各項目の昆虫のイラストは学者がじっくり写生した緻密な図解である。
蝶々のもの食う音の静かさよ 高浜虚子
撫子に蝶々白し誰の魂 正岡子規
「日本では古くから、生きている人や死んだ人の魂が、蝶に姿を変えるという信仰がある。それで、どんな蝶でも家の中に入ってきたものは、大事に扱うことにしている。客間の竹のすだれの裏に蝶が止まると、最愛の人が会いにきてくれるという言い伝えもある。」
人間にときに纏わるようにゆっくりと飛ぶのも、もの言いたげな感じもしてくる。
水馬流され水輪流されし 倉田紘文
水馬こまめに恋いをしかけをり 須佐薫子
「このように水馬には水面の波が重要で、自分でも脚で波を出し、縄張りを示したり、求愛の信号にする。雄の出す求愛波を感じて雌が近づくと、雄はこれを求愛波に変え、雌もこれに応える波を出して近づき、恋が成立する。」という。
著者:大正十五年福岡県生まれ、農学博士、医学博士で専攻は昆虫学。現在は久留米大学名誉教授。 俳句結社「天籟通信」「蕗」同人。
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