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紙の本
あの主人公たちの活躍が楽しめる豪華アンソロジー
2001/11/20 22:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:橋根未彩 - この投稿者のレビュー一覧を見る
シリーズキャラクターものの短編を集めたアンソロジー。ラインナップは以下の通り。本短篇集の性格上、登場するシリーズキャラクターについて付記してみた。
「三毛猫ホームズと永遠の恋人」(赤川次郎):三毛猫ホームズ
「ママは空に消える」(我孫子武丸):腹話術人形・鞠小路鞠夫
「金魚狂言」(泡坂妻夫):八丁堀同心・夢裡庵を背景に置いた捕物帳
「エキサイタブルボーイ」(石田衣良):『池袋ウエストゲートパーク』の主人公
「あちこちら」(大沢在昌):らんぽう
「花を見る日」(香納諒一):エディターズ・シリーズ
「『神田川』見立て殺人」(鯨統一郎):マグレ警部
「ダイエット狂想曲」(近藤史恵):オフィス清掃員キリコ
「最前線」(今野敏)安積警部補
「2031探偵物語 秘密」(柴田よしき):私立探偵サラ
「招かれざる死者」(西澤保彦)タック・タカチ・ボアン先輩
「シュート・ミー」(野沢尚):殺し屋シュウ
「魔女狩り」(横山秀夫)県警を舞台としたシリーズ
顔ぶれを眺めるだけでも分かるとおり、新人もベテランも、本格ミステリもハードボイルドも……と非常に幅広い作品が収録されている。「ミステリー」にもいろいろあるが、本短編集は、斬新なトリックや意外な結末というよりは、探偵たちの活躍を味わう作品が目立ち、どちらかというと「探偵小説短篇集」という方がぴったりくるのではないだろうか。
この短篇集ではシリーズキャラクターものがずらりと並んでいるが、改めて驚かされるのは、シリーズ第1作ではないものでも、キャラクターたちがスムーズに作品の流れの中で紹介されていることだ。短篇は長篇と異なり、雑誌掲載という形式で発表されることが多い。たとえ毎号連載している作品だとしても、初めてその雑誌を買った人にもキャラクターたちの設定を把握してもらわなくてはならない。逆に連載を毎回読んでいる読者にも、既に知っているキャラクターの説明を飽きずに読ませなければならないのだ。そういった力量に関心しながら読むのも面白い。
全作品について触れるにはスペースが足りないので、印象に残った作品を挙げておこう。
「エキサイタブルボーイ」はドラマにもなった『池袋ウエストゲートパーク』の主人公が探偵役を務めるが、彼を含めた登場人物たちの雰囲気はドラマ以上に現代的でリアルだ。ハードボイルドが好きな方には是非このクールな筆致を味わってみてほしい。
「ダイエット狂想曲」のオフィス清掃員の女の子キリコは、設定・キャラクターともに面白く、軽快さが重たいテーマとのバランスを取っている。
「魔女狩り」は警察小説ではあまり出てこない部署が舞台で、彼らの地道な活動を描いているのが興味深い。
これだけ幅広いと、初めて出会うシリーズや今まで読まなかったジャンルの作品もあるだろう。新たなるお気に入りシリーズを見つけるのに格好の短篇集ではないだろうか。
なお「旅と街をめぐる傑作編」として『M列車(ミステリー・トレイン)で行こう』も発売中である。(bk1ブックナビゲーター:橋根未彩/ライター)
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