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本格推理だから時代を超える、というのは作る側と一部のマニアの一方的な決め付けで、やはり壁はあるようです。でも、そういうものだと割り切れば、結構楽しいかも
2005/07/27 19:34
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投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
名前だけは以前から聞いていましたが、選集で一、二篇ならともかく、こういった形で読むのは初めてです。表題作は以前読んだ記憶があるのですが、今回読み直して、思っていたものと全く異なり、記憶の曖昧さと時間の経過の速さに呆れた次第です。それと、若いときにはあれほど新鮮だった作品が、やけにくすんで見えるのです。一体これはどうしたことかと思いました。
さて、この文庫ですが、大阪圭吉の作品をなるべく発表当時の形でみせようという主旨のせいか、資料的な書誌的な注が多くて、大変助かります。それだけを書き写すだけで、殆ど全貌がわかるほどです。また解説も丁寧で、作品の解釈というか評価については、若干異論がありまして、私はどちらかと言うと大阪と同時代に生きた乱歩の見かたを指示するものです。カバー後に、乱歩の文が出ているので書いておきますと
「従来日本のどの作家が、かくまでも純粋に、かくまでも根強く、正統短篇探偵小説への愛情と理解を示し得たであろうか。どの作家が、これ程深く理知探偵小説の骨法を体得しえたであろうか。大阪君の作風は一見地味であり、常套でさえあるかも知れないけれど、その興味と情熱の純粋性に於いては、探偵文壇に比類なしと云っても過言ではないであろう。江戸川乱歩『死の快走船』序より」
となります。ついでに、扉のところにある紹介文は
「私が何故鉄道を退職たか、何故毎年三月十八日にH市へ出掛けるか、これには少しばかり風変わりな事情があるんですよ。元鉄道員が語る七日ごとの不可解な轢死事件の顛末とは。数々の変奏を生み出した名作「とむらい機関車」を劈頭に、シャーロック・ホームズばりの叡智で謎を解く名探偵、青山喬介の全活躍譚、金鉱探しに取り憑かれた男が辿る狂惑の過程を容赦なく描く「雪解」と、海底炭鉱という舞台を得て物された、最高傑作との呼び声も高い本格中篇「抗鬼」 以上九篇に併せて「連続短篇回顧」などのエッセイを収録。戦前探偵文壇にあって本格派の孤高を持し、惜しくも戦地で没した大阪圭吉のベスト・コレクション。」
です。これを更に私のほうで補っておきますと
カバーでも紹介されている表題作「とむらい機関車」、デパート裏の路地で発見された絞殺死体。被害者が墜とされたとみられる場所には「デパートの絞刑吏」、造船場から二人の従業員が姿を消した。そして一人が海でしたいとなって発見された「カンカン虫殺人事件」、自家用ヨットの帆走中、キャプテンが何者かの手によって瓶で撲殺された「白鮫号の殺人事件」。
駅の西端、給水タンクと下り一番線との間の巾狭いところで発見された死体「気狂い機関車」、世間から忘れられたようにひっそりと暮らす一家で起きた大量殺人事件、目撃者の不可解な発言が「石塀幽霊」、裁判所に20年にもわたって廷丁を勤める男の口から語られる不思議「あやつり裁判」、カバーでも触れられている「雪解」「抗鬼」。
それに随想鈔録、巽昌章の解説がつきます。
カバーイラストは、大倉ひとみ、カバーデザインは東京創元社装幀室。資料提供 小林眞、編集協力 藤原編集室です。特筆したいのは、なんといっても雑誌掲載当時の挿絵です。もう、これを見るだけでも楽しいので、注を引用します。内藤賛(デパートの絞刑吏、白鮫号の殺人事件、気狂い機関車)、吉田貫三郎(カンカン虫殺人事件)、坪内節太郎(石塀幽霊)、清水昆(あやつり裁判)、他に画家名不明なのが(とむらい機関車、雪解、抗鬼)です。挿絵はすべて初出誌だそうです。
私は、以前からわが国の単行本の多くが、雑誌掲載の作品を纏めるのにも係わらず、初出時の挿絵を割愛することの愚かさを解いてきました。今回の文庫や完全版を謳う復刻ものの素晴らしさを見れば、出版社の理由はともかく、最初に単行本にするときに挿絵を全部つけておけば、いいのに、と思います。
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夭折惜しまれる作家
2002/11/01 00:49
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投稿者:アシェ - この投稿者のレビュー一覧を見る
大阪は戦前ほとんど唯一の本格派とは聞いていましたが、半信半疑で読みはじめたところ、ほんとうにガチガチの本格だったので驚いたような次第。いずれも論理主体の緻密な推理が展開されるので、やはり戦前には余り人気がなかったようですが、逆に今人気が高いのも分かる気がします。どの作品にも本格の精髄が見られ、第二次大戦の犠牲となった大阪の夭折が惜しまれます。
島荘ばりの奇想で「そんなのありか!?」と思いつつ妙に納得してしまう「石塀幽霊」や、発端の奇妙な謎が綺麗に収斂していく「とむらい機関車」、理詰めの解決の末、事件の様相が一変してしまう「気狂い機関車」「坑鬼」などは、むしろ現代に置いた方がしっくりくるような先進性を持っているといえます。
気になるのは、どういう影響を受けてこのスタイルを確立したのか、ということ。乱歩は「ドイルを更に論理的にした作風」というような意味のことを言っていますが、現代の作家がクイーンの洗礼を受けてロジックを重視するのとは訳がちがいますし(当時クイーンは人気がなくてほとんど読まれなかったらしいので)、そうすると大阪の論理的なスタイルは、たしかにドイル以来の正統的な流れの上にあるとはいえ、おそらく自力で到達したものなのでしょう。その点だけを見ても、大阪には稀に見る先見性があったと言わざるを得ません。
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ありがとう
2001/11/10 21:29
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投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
いろいろな紹介本で紹介されていて、しかもそのほとんどが好意的。なのに本がなかなか手に入らないんで読みたくても読めずに、とても気になる作家だった大阪圭吉。その短編集が文庫で出た! これは読まずにいられません。
戦前の探偵小説をそう読んでいるわけでも、詳しいわけでもないのですが、そのころはやっていた(んだよね?)エログロ、猟奇的な事件を書くわけでもなく、とても個性的な探偵を登場させるわけでもない(実際、シリーズ探偵の青山喬介のが何作か載ってますが、あんまり魅力を感じられません、この名探偵)。死体の傷やちょっとした遺留品から論理的に事件を解明していく、当時としては珍しかっただろうと思われる本格推理小説。なるほど、今でも評価されているわけだと納得できました。
それにしても、私にとっては幻の作家だった大阪圭吉、昭和10年代の古〜い作品を纏めて出版してくれた出版社にお礼をいいたいです。どうもありがとう!
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とむらい機関車
2012/10/09 09:21
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投稿者:ホームズ - この投稿者のレビュー一覧を見る
復刊フェアで再読。やはり好きですねこの人。もっと多くの作品を読んでみたかった。『大阪圭吉探偵小説選』のあとがきにまだ読んだことがない作品があったからどこかで出版してくれないかな(笑)
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日本のコナン・ドイル
2001/10/31 11:15
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投稿者:Lady - この投稿者のレビュー一覧を見る
短編集です。事件の不思議さ、鮮やかな推理、意外な犯人、そして名探偵の存在感。どれをとっても、ホームズものを読んでいるような、わくわく感にあふれています。日本にもドイルがいたのか、と再認識させられる作品集です。あやしげで、いい味を出しているさし絵も、一見の価値あり。このお値段で、これだけの作品集を読むことができるなんて、まさにお買得です!
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昭和の一桁から二桁初めのころに書かれた作品。
でもすごい論理的で、今でもだれかが同じトリックで書きそうな雰囲気。
いいものは風化しないですね。
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『とむらい機関車』
狂女をひき殺してしまったオサセンと呼ばれる機関士。とむらいの為に花輪を飾り汽車を運行する。汽車の前にブタを置く人物の謎。
『デパートの絞刑史』
青山喬介シリーズ
デパートから落下した当直の男。身体に残された擦り傷。デパートで起きた宝石盗難事件との関連。
『カンカン虫殺人事件』
青山喬介シリーズ
造船所から失踪した原田喜三郎と山田源之助。ドック内で発見された原田の遺体。殺人現場で見つかった「G・Y」のイニシャル入りのジャックナイフ。
『白鮫号の殺人事件』
青山喬介シリーズ
夜中に消えた深谷氏、深谷氏所有の舟・白鮫号にひかれて現れた遺体。船の沈み具合から犯行現場と乗船した人間の人数を推理する青山喬介。深谷氏の秘密。
『気狂い機関車』
青山喬介シリーズ
貨物下ろしホームの給水塔で発見された遺体。さらに発見された第2の遺体。
『石堀幽霊』
青山喬介シリーズ
隣家で起きた差配人殺人事件。飛び出した白い着物を着た2人の男。犯人を追う吉田雄太郎。石堀沿いに逃げた犯人。犯人が逃げた方向から歩いてきたスーツを着た差配人の夫。消えた犯人達の謎。
『あやつり裁判』
青山喬介シリーズ
判決のきわどい裁判にあらわれる女。被告人や原告の証人として証言し判決を左右させる。
『雪解』
金山を探す黄太郎。しかし自分よりも先に金山を発見した男の手伝いをすることに・・。男の娘との婚約。娘のいないある日雪の中山の様子を見に来た二人。黄太郎の犯罪。
『抗鬼』
鉱山の事故で生き埋めになった峯吉。暗闇の中峯吉に抱きつく妻・お品。殺害された工手と技師。生き埋めにされた峯吉の復讐か?発見された峯吉の遺体。浅川主任の秘密。
2010年8月14日再読
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短編集でありながら、どの作品にもちゃんとした探偵役を配したところに執念すら感じます(笑) ただどの探偵も記号めいているのが難点。力技の物理トリックがわりと多くて、読んでると懐かしい感じがします。
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挿絵が時代を感じさせる。
「大阪君の作風は一見地味であり、常套でさえあるかも知れないけれど、その興味と情熱の純粋性に於ては、探偵文壇に比類なしと云っても過言ではないであろう。」江戸川乱歩
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表題作『とむらい機関車』をはじめとする短篇9篇と、探偵小説誌に掲載されたエッセイ10篇。
とんでもない動機に驚愕する『とむらい機関車』もすごいが、一番の傑作は『坑鬼』。これに関しては★★★★★。
『坑鬼』
中越炭礦会社の滝口坑で火災が発生。他への引火を防ぐため、一つの採炭坑の防火扉が閉じられようとしている。中にはまだ峯吉が残っているはずである。しかし多大な社の損失を防ぐため、峯吉の存在は黙殺された。
その後、扉の封鎖に関わった社員達が一人二人と殺されていくのである。事故処理のため防火扉を開けた時、そこに峯吉の姿も死体もなかった。坑内では、焼けた峯吉が甦って人を殺しているという噂が立ち始める。
オリジナリティあふれる舞台設定に、本格ミステリのギミックがうまく絡み合っていた。
他にも、造船所のドッグでの殺人や、砂金採掘の鉱脈を舞台にした倒叙ものなど、昭和初期の労働の現場にこだわった著者独特の世界観が面白かった。
初出時の探偵雑誌の挿絵が、より雰囲気を盛り上げていて良い。
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戦前の作品で古風な探偵小説という雰囲気が楽しめます。挿絵がとても美しくて雰囲気を大きく盛り上げてくれました。
どれも真っ直ぐな本格ミステリですが、「あやつり裁判」や「雪解」など、バラエティにも富んだ1冊だと思います。
【とむらい機関車】機関車が豚を轢いてしまう事故が連続して発生。なぜ豚が続けて何度も同じ機関車に轢かれるのかという事件の発端はおもしろいです。旅の途中で聞いたちょっと奇妙な話、というような第三者への語り口も暗い雰囲気で良い。現場に残された品物からの推理、待ち伏せと調査は活動的で楽しく、理路整然と真相に繋がっていくのは気持ちいいのですが、轢死というグロテスクな事件、死人が出るたびに飾られる弔いの花輪など、これらが動機と繋がって暗く不気味な、哀しいラストとなりました。
【デパートの絞刑使】デパートで発見された死体の異様な様から論理的な推理がなされる、まっすぐな本格ミステリーです。この真相はデパートという場所も活かされたおもしろいものでした。実際の当時を思うと挿絵の効果もあり不気味です。
【カンカン虫殺人事件】これもまた発見された死体の異様な状況からの推理で、逆再生していくように真相に迫っていくのはおもしろい。ですが状況を想像すると気味悪いです。
【白鮫号の殺人事件】白鮫号での殺人事件。船の様子から導き出した仮説、そしてその証明の仕方はおもしろかったです。
【気狂い機関車】雪降る季節、人気のない無機質な駅、惨たらしい死体と雰囲気抜群。このトリックは凶器も怖くて面白い。そしてなにより青山が明らかにした事件の真相の不気味なこと。ひた走る機関車と犯人が重ねあうようで、「気狂い機関車」のタイトルにゾォっとします。
【石塀幽霊】このトリックは単純ですが、もうひとつ怪奇さを加えているのがおもしろいです。登場する容疑者にもワクワク。、足跡からの追跡だとか目撃者の苦悩だとかも楽しかったですが、あの人はトリックを知ってる可能性が高いんじゃ。
【あやつり裁判】この真相にはびっくりしました。なんて悪質。不可解な事柄に対してのなぜ?が楽しい一編です。
【雪解】倒叙形式。これといったトリックはない殺人事件ですが、金鉱への情熱を抱く男が凄い。雪解によってぽろぽろと出てくる犯罪の痕跡、それが男の金への執着とも重なって、結末は狂気に満ちていました。
【抗鬼】まず炭鉱での人々の様子が素晴らしいです。災害や事故と隣り合わせな仕事の過酷さと、そこで働く人々の生活は興味深く読みました。そこで起きる事件というのがまた怪奇でおもしろい。突然の火事にパニックになる採炭場。防火扉の向こうに閉じ込められた男。次々と起こる殺人。見つからない死体。火事と殺人事件で緊迫し、混乱した採炭場での本格ミステリ。物語性も謎解きも非常に良質な一編でした。
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2012年再版を購入。
作者は『新青年』系の推理作家で、太平洋戦争中、戦地で病没した人。
この本の中心は、
犯罪者のトリックを暴く名人・青山喬介を探偵役とする短編。
本当にトリックありきで、それだけで話が纏まっている感じがして、
期待していたほど好みではなかった。
基本的に乱歩とか横溝とか、ドロドロした、
ちょっとネチっこいくらいのテイストが好きなので(笑)
面白かったのは青山喬介が登場しない、
元鉄道員が列車内で行きずりの若者に過去の事件を語る表題作。
なかなか悲しくもグロテスクで読み応えがあった。
それから、炭鉱で起きた事件を描いたサスペンスフルな「坑鬼」も面白かったし、
探偵小説論を含むエッセイ群も興味深く。
で、解説を読み始めたら「ここから先『銀座幽霊』をも含むネタバレあり」と
断り書きがしてあったので、そこにポストイットを貼って終了。
一緒に買った『銀座幽霊』を後日読んだらその箇所に戻ろうと思う。
※8/25『銀座幽霊』読了→該当の解説終盤も読了。
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推理小説です。たぶん、あまり馴染みのない作家さんだと思います。
昭和20年7月2日 戦地フィリピンにて病没(33歳)していますから、作家活動もそんなに長くなくて発表されている作品も少ないようですね。
作品は短編が多くシャーロック・ホームズ風の青山喬介という探偵を多用しているようです。
掲載作品は以下の通りです。
・とむらい機関車
・デパートの絞刑史
・カンカン虫殺人事件
・気狂い機関車
・石塀幽霊
・あやつり裁判
・坑鬼
どの作品も秀作だと思いますが、僕としては『あやつり裁判』が奇怪で面白い作品でした。
ただ、時代を感じさせる作品なので、取っ付きぬくい作品群かもしれませんね。
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エッセイ付。
やっぱり登場人物、名探偵も被害者も加害者も
キャラクターがあっさりしすぎで、
くりかえしになるが、
もう少し長いのを読んでみたかった。
もしかして、むやみやたらに盛り上げたり
刺激的な現代に慣れてしまったからなのか?
話の中に垣間見える現代と同じ、異なる
戦前、昭和初期の人々の暮らしが興味深く、良い。
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ミステリ短編集。探偵小説、というほうがふさわしいのかも。戦前の作品なので文体や雰囲気が古めかしいのは当然ですが。古くさいという気はしません。今読んでも充分に面白く。そして巻末に収録されたエッセイを読むにつけても、現代の人の心理と変わらない部分が結構あるなあ、と思いました。ミステリ好きなら読むべし。
お気に入りは「坑鬼」。サスペンス溢れる展開と、ミステリとしての意外性が見事な作品。少し前に炭坑を舞台にしたミステリを読んだところなので、余計に興味がわいた一作でした。
表題作「とむらい機関車」もいいなあ。連続轢殺事件、ってのでわくわくしたけど。なんだ人間じゃないのか! ……って思ってたらこの結末はなんとも。
「気狂い機関車」も印象的。ラストシーンの絵がなんとも凄まじくって。しかしこの真相はなかなか推理できませんよ。