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横田濱夫さんと言えば、「はみ出し」シリーズで銀行員には有名な方ですな。横浜銀行の内部告発をされた方で。私も第二地方銀行に入行時、銀行の同期に「はみ出し」を貸すと見事帰ってこなくなりました。
そんな横田さん、最近は「はみ出し」シリーズの印税で投資家になり、執筆活動を継続されているそうです。それでこの著書が「思わずナットク 基礎から学ぶ 最新お金運用術」という書籍です。刊行は2001年ですが、十分今でも大変有用な著書ですので、皆さんに紹介したいと思います。
まず横田さんは「アメリカは投資先進国で、日本よりも投資家の運用が上手い」と言われているがそれは違う、と一蹴する。
なぜなら、それは僥倖だからである。2000年まで、株式市場は上昇の一途をたどったのだが、突然アメリカ株式相場が下落したというのだ。ナスダックでは5000ポイントが1500ポイントになった。
本当に「金持ち父さんが、貧乏父さんになってしまった」のだという。そこへきて、あの同時多発テロである。本書ではその打撃は「精神的にも経済的にも、はかりしれません。」と述べられている。
次に良い借金と悪い借金を比較対象しています。
良い借金:将来の収入を生む借金、金利の低い借金(5%以下)、あとあとハッピーな気分が長く続く借金
悪い借金:遊ぶための借金、金利の高い借金(5%以上)、ハッピーな気分がその時限りの借金
横田さんは言う。「世の中、貸し渋りというが、それはあくまで「企業」に対する場合です。「個人」の場合は、むしろ今ほどお金を借りやすい時代はない。(なぜなら個人ローンは金利がべらぼうに高いから)あらゆる場面場面で、はたしてこれが「良い借金なのか?」「悪い借金なのか?」を常に自問自答する必要があるという。
それと節約に「お父さんの昼食代」を例に挙げている。千円くらいの昼食を摂ると、お父さんが頑張る→収入が増える→家族みんながハッピーになれ、お金も貯まる、ということで逆もまた真なりだそうです。したがって昼食代の節約は本末転倒だとのことだそうです。
次に投資の三原則として「分散投資」、「長期投資」、「継続投資」を挙げています。
まず分散投資とは、一つの金融機関に預けるのではなく(ペイオフも考慮して)、特定の金融機関、カテゴリーや商品に集中させないことだそうだ。
例えば、一部を株式投資に、一部を債券投資に、一部を銀行預金に、一部を不動産にと運用対象をバラけておくことである。これで株が下がっても、債券が上がるといったリスクの回避が出来るからだ。
次に長期投資とは、長い目で投資をすることです。景気にはもともと山と谷があり、それらは通常数年から十年前後はかかるので、(短期で売買するのではなく)長期間資産を保有して儲ける、ということです。
最後は継続投資です。これはどんな金融資産を買うのにも、一時期にドサッと買うのではなく、毎期ちょっとずつかっていくという投資手段です。例えば、金でも投資信託でも毎月一定額を、銀行口座から自動引き落としで、積���立てていく、という方法です。
相場物の商品には、もともと大きな波が存在します。安値で仕込めば儲かるに決まっていますが、これはプロでも至難の業だそうです。
したがって、毎月少しづつ買うことにより、相場の変動リスクを回避できることになり、大儲けは出来ない代わりに、着実に相場全体の上昇メリットを、長期的には享受できるとのことだそうだ。
とここまで書いたが、この本は投資の本質を突いた本であり、経済雑誌や証券アナリストがいかに当てにならないか、書いた本である。「証券会社に騙されちゃってさ~」って方は是非読んでほしい。目から鱗が落ちること請け合いです。
横田さん、いい本ですね~「はみ出し」の時から随分と苦労はされてきたと思いますが、立派な「物書きさん」ですね。ぜひ一家に一冊。