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現代の虚構において生まれてきたオタクたちとポストモダンの関係について論じる書。
"オタク”はポストモダン社会の表れだとする筆者の意見は興味深い。
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人間とは、与えられた環境を否定することができる生物を指し、他方動物とは、与えられた環境に順応する生物を指す。
消費社会が進んでいく中で、即座に要求が満たされる社会において、「スノッブ」または「動物」のどちらかになるしかないとした上で、
流行を追い求め、メディアによってもたらされる情報に左右されることを「動物化」と言います。
(形式的な理由のみで批判する人を「スノッブ」といいます。例には切腹などがあげられています。)
ポストモダンにおいて、近代を支えていた「大きな物語」が消滅し、そうした支えがないまま、「小さな物語」が欲求されるようになる。
これは、例えばガンダムの世界観が「大きな物語」であり、ガンダムを見ることで、その世界観をオーディエンスは共有していたわけですが
ポストモダンにおいては、エヴァンゲリオンの世界観ではなく、レイやアスカといったキャラクターに萌えて、そのキャラクターの物語(小さな物語)が欲求されるようになります。
そこでは、レイのような「青い髪」「色白」「無機質」といった性質が解体され、それぞれが萌え要素となり
萌え要素のデータベースを愛好する人々によって、そうした萌え要素によってキャラクターが組み立てられるようになる。
つまり、そこにおいては「大きな物語」は存在しないわけです。
こうした萌え要素のデータベースを愛好するような人たちを「データベース的動物」と著者は表現しています。
彼に対するオタクからの批判はあるでしょうし、オタクの人たちにとって怒りを覚えるものであったりするかもしれませんが
少なくとも私は楽しく読めました。(というか、わかりやすい)
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ポストモダンの変遷をオタク系文化から読み取ったもの。
近代以降、大きな物語の消失からデータベース型消費へ移行している社会情勢を「動物化」と呼んでいる。欲求をすぐさまそれに似合う消費を探し出すところが動物そのものだと。それはアメリカの消費活動にも似ている。そしてその先はどうなっていくのかは自分たちで探せっていってます。
面白かったのは、動物化していながら理性を持っているところ。たしかに人間の面白いところかもしれない。
この著書を紹介してくれた友人談では、切り口が「消費の対象物」ではなく「消費を促す売り手と消費する買い手」であったことが素敵だと。たしかにそうあるべきと思う。
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今から8年前に出版されたにも関わらず、その理論は未だに古びていないことが驚きだ。そしてその薄い部類に入る新書にも関わらず、余裕を持って理論が展開されていることもまた驚嘆に値する。内容そのものは間接的に彼の思想に触れてはいたのでその確認作業と言う感じではあった。いずれにしても今後、物語やキャラクターについて考えるのに避けることができないものであることは間違いない。
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弟に薦められて読みました。最近の漫画やアニメが二次創作など、妙な方向へ変わりつつあるかもと思っていましたが、言葉として表面に現れて知り、少し怖くなりました。するどい考察。データベースとシュミラークルという概念の説明はわかりやすく、なるほどと感じます。欲求という小さなしゃぼん玉をぽつりぷつりと消してゆく現代のポストモダン。大きな物語が消失し、データベース、記号へと、どこへ向かって行くのだろう。
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歴史語りはちょっと疲れたけど
データベース消費型の辺りは非常に面白かった
思わず自分でノートに書いて再度納得。
具体例を多く出してくれているので分かりやすく勉強になる
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ポストモダンとはなにか、オタクを例にとってわかりやすく説明してくれている
オタクって実は時代にすごく敏感なのかもしれない
ゲームとかマンガとかの、キャラクターに対して抱いていたもやもや(オリジナルじゃないキャラばかりだなぁ)は、こういうことだったのかと納得
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現代のオタクについて「あーなるほど」とうなずいてしまった。
ストーリー消費からデーターベース消費へ。
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いつからこうなっちゃったのか…
例も不適切なものが多いし、議論も今ひとつ上滑り気味。自らはオタクにならなかった(なれなかった)人間が、「こういうことを書いておくと一般に受けるだろう」的に書いている気がした。
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日本のオタクに体現されているポストモダン分析。
それを思考するための道具はわかった。主張も明解。
東のサブカル評論入門。
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現代の消費社会に感じる危うさをポストモダンとオタクと言う切り口からザッと解説してあります。
後半の超平面性に関してもいろいろ考えさせらるので、オタク文化についての思考の切っ掛けにするには良い本だと思います。
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あくまで、現在に至る通過点として読みました。
引っかかりどころが少なく読みやすかっただけに理解できてる点が少ないと思うけれども、コレまでこの界隈で目にしてきた単語、文脈についてちょっと理解が進んだ気がした。
続編を読む。
読了まで3ヶ月も掛かったのか。。。
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オタクについて「ポストモダン」という時代背景と結びつけながら分析し、オタクを通した視点から現代日本社会を捉えようとする本。オタク=特定の興味を持つ人だけの閉じたコミュニティと捉えがちだが、そこには社会に通じる現象が多く存在していることを、二次創作(同人誌など)やゲームの分析を通して述べている。オタクについて持つ印象が世代によって二分されるという指摘や、サブカルチャー・ハイカルチャーというようなこれまでの二項対立的な図を破ろうとする論点はとても切り口の鋭いもので、背景にはコジェーヴやラカンといった哲学の裏打ちもされている。ボリュームはさほど多くないが読む上では思考や背景を読み解くための知識が必要。
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オタク達の消費文化をポストモダン社会に照らし合わせ分析したもの。オタク文化が広まって行く中、オタクに対する理解も必要になってきたと思います。その第一歩としてこの本を進めたいです。
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東さんの射程がどこに向かうのか期待感を抱かされる内容だと思います。ここからどのように理論が発展していき、今後何を語るかに期待してます。ただいくつか僕が考えていることと違う点があり、僕はそれが何なのか考えたい。例えば、ポストモダンはモダンが終わったからであるのか。今はポストモダンとモダンが同居しているのか。などです