紙の本
松岡圭祐がハードボイルドを書けばこうなるのか
2002/06/01 19:27
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:南亭骨怠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
愛知県生稲市という架空の都市(作者の出身地稲沢市と酷似)は「諸肌祭り」という儺追神事で有名だ。くじで選ばれたたった一人の神人に向かって二万人もの裸男達が殺到する荒々しい祭りである。あまりの荒々しさに神人に立候補するのは,体力に自信のある20代の男だけだ。だが,なぜかこの年に限って50代の男が二人名乗り出たのである。
なぜ二人の50男が危険を顧みずに神人に立候補することしにしたのか。時間をさかのぼって物語は展開していく。ハードボイルドである。人生の成功者と,ただ死を待つように生きている男とが意を決して行動に出る。
という単純な話ではない。そこが松岡圭祐の恐ろしさだ。読んでいる私の心理状態も二転三転する。なので,この本は一気に読んで欲しい。とくに後半は続けて読まなければならない。それでなければ,この本のおもしろさは半減してしまう。最後まで一気に読めば,そこは映画「カサブランカ」を見終わったときのような,爽やかさがある。
作者の後書きもおもしろい。ここまで一気に読んで欲しい。
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外務省の話ではありませんでした。最後のどんでんがえしは予想がつかなかったなあ。
(2002.9.27)
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布施宮諸肌まつり(誰が読んでも、国府宮の裸まつりをイメージするわなぁ)の神人に選ばれた男の過去の清算物語(少々退屈。これが松岡エンタテインメント??)。。。としか思えないような展開が、ラストの50ページから、あっと驚く結末へ。2006/3/1
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<内容>
タバコ屋の榎木康之が神人に選ばれた。神人とは愛知県生稲市の布施宮諸肌祭りを彩る厄落としの神で、地元より毎年一人だけ選出される。だが、彼には神人にならねばならない事情があった。旧友の元婚約者は地元の有力者と結婚し、一女をもうけたが、この娘の奇怪な行動が榎木を厄落としどころか、厄難へ追い込んでいたのだ!予期しなかった驚天動地の結末。推理エンタテインメントの傑作。
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タバコ屋の榎木康之が神人に選ばれた。神人とは愛知県生稲市の布施宮諸肌祭りを彩る厄落としの神で、地元より毎年一人だけ選出される。だが、彼には神人にならねばならない事情があった。旧友の元婚約者は地元の有力者と結婚し、一女をもうけたが、この娘の奇怪な行動が榎木を厄落としどころか、厄難へ追い込んでいたのだ!予期しなかった驚天動地の結末。推理エンタテインメントの傑作。
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タバコ屋の榎木康之は煙が充満する狭い店内で日がな過ごす。
彼の人生は消極的でなげやりで中途半端でことなかれ的だった。
世間に取り残された彼は、世間に背を向けることで安寧を得ていた。
両親も家族もなく暮らす50代の彼を探し求める一人の娘が現れた。
彼女は、榎木の幼馴染であり唯一の友の忘れ形見だった。
榎木はある事から地元に古くから伝わる祭の神人に選ばれた…。
物語は彼が選ばれた場面から始まり、回想そして再び現代に戻る。
主人公の榎木は哲哉の房州さんを彷彿とさせる無口な男。
亡き友の娘の訪問から、何やら再び彼の時間が動き出す。
しかしそこには陰謀渦巻く伏魔殿が待ち構えていた。
孤独な男の小学生から現代に亘る回想録は味わい深い。
が、現代に戻ってから急展開する推理サスペンスが面白い。
ジェットコースタームービー。晴れ晴れしたラスト。エンタテイメント。
白い煙は伊吹おろしに乗って、濃尾の平地を駆けていった。
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冒頭はたんたんとした説明が多くて、読み難いかなと感じたが、間もなく物語りに引き込まれ、一気に読みました。
最後はなるほど、そうきたか!とすべての伏線が収集され、ましたが、物悲しい物語でした。