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紙の本

70年代ロックスターの魂の故郷

2002/02/05 05:26

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投稿者:たけのこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 1980年代なかば、富も名声も得た往年のロックスターが、スコットランドの教会風の屋敷で隠遁生活を送っている。ところがこの男、なぜか罪の意識にさいなまれ、自殺するだのしないだのと言っている。どうしてこんなことになってしまったのか、栄光の70年代にさかのぼって語りだすバンドの歴史。

 1973年秋、グラスゴー近郊の都市ペイズリー。17歳のダニエル(ダニー、ダン)・ウィアーは高校を中退して、自動車会社の下請け工場で働きはじめた。実家はインナーシティの老朽化して荒れた低層アパートで、母親と弟や妹が住んでいる。父親は殺人の罪で刑務所に収監されている。道にガラスの破片が散らばり、建物の壁にはスプレーペンキの落書きが刻まれているこの故郷の街から、ダニーはなんとか脱け出したいという思いにかられていた。

 身長6フィート6インチ(約2メートル)の大男で、容貌にコンプレックスがあり、おまけにどもりの癖があるダニーが唯一自信を持っていたのは、曲作りの才能であった。そこで地元で人気があったロック・バンド、“フローズン・ゴールド”に、曲を売り込みに行く。メンバーはみな中流家庭育ちの大学生か公務員で、労働者階級出身のダニーは、彼らの中で疎外され萎縮せざるをえない。しかし紅一点のクリスティンが学校で1学年上で、ダニーのことを知っていた。グラスゴーの有名バンドの前座で演奏したのをきっかけに、フローズン・ゴールドはARCレコードのリック・タンバーにスカウトされる。ダニーは、脱退するベーシストにかわってバンドに加わる。

 ペイズリーのエスペデア・ストリートで、ダニーがジーン・ウェッブと出会うのは、その翌年の夏のことだ。だがデビューが決まって、ロンドンに旅立つことになったダニーは、最後までジーンについて来てくれと言えずに別れる。その冬、フローズン・ゴールドのデビュー曲は、ヒットチャートの2位にランクインする。続くアルバムやシングルもヒットを続け、バンドは一躍、70年代英国音楽シーンの寵児となる。そんななか、いつしかダニーは故郷のジーンのことを忘れてしまい、風のうわさで彼女が結婚したと聞く。その一方、巨額の富を得てしまったことで、ダニーはメンバーとともにドラッグとセックスと刹那的な浪費におぼれていく。やがて、ダニーの反社会的な発言がアメリカのキリスト教原理主義者の怒りを買うなか、メンバーの死とともにバンドは破局を迎えることになる。

 そして現在。グラスゴーの屋敷に引きこもるダニーのまわりには、彼の正体を知らない五十男と、不良少年と、一匹の犬。ときたま人妻のベティがやって来て関係を持つ。ダニーをもういちど表舞台に引っぱり出そうと、ARCのリック・ダンパーもやって来るが、そこではじめてダニーは、リックの口からバンドのもう一人の元メンバーに関する悪い知らせを聞く。打ちひしがれたダニーは、衝動的な現実逃避の旅に出る。その果てに、ホテルの一室でとなりの部屋から聞こえてきたのは、フローズン・ゴールドのアルバムの曲だった。亡き友を悼み、長いトンネルを抜け出たダニーは、「エスペデア・ストリート」と名付けた新曲を完成させて、かつての恋人ジーンが離婚して移り住んでいるという海岸沿いの村をめざす。

 これは、故郷を捨てたロックスターが放蕩とその代償を経験した末に、ふたたび魂の故郷に立ち帰るまでの物語である。その主題には、ロンドンの喧噪と対照的な、スコットランドの堅実な労働者階級コミュニティの再発見が込められている。中流階級ばかりのバンドや音楽業界で異端であり続けたダニーが、ジーン・ウェッブと彼女のコミュニティに迎え入れられるラストシーンに、とてもしみじみと来るものがあった。
【たけのこ雑記帖】

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2007/05/06 14:43

投稿元:ブクログ

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