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文化大革命十年史 上 みんなのレビュー
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紙の本
中国文化大革命の評価はまだ!
2006/07/29 21:38
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:黄河 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1966年に開始された文化大革命についての資料についてはこれまで断片的な史実の公開にとどまっていたと思う。この本は中国共産党の各種会議をかなり時系列的に追っていて文化大革命の流れを把握できるようになっている。この本が最終的に改訂追加加筆されて日本で出版されたのは1996年であり、その後の公開された資料が含まれていないのは限界ともいえる。まだ日本語訳が出版されていないようだが『毛沢東伝 1949年—1976年』(中央文献出版社 2003年12月発行)などを参考できたらもっと内容が豊富になっていたに違いない。
本書を一読してとりわけ印象深いのは、訳者のせいなのか原文にあたっていないのでなんともいえないが、「造反派」にたいする感情的ともいえる口汚い描写がかなり気になった。世界史的に考えても重要な出来事を書くにあたってもこれは妥当な態度とはいいがたい。大佛次郎『パリ燃ゆ』の淡々とした描写から受ける史的真実の圧倒的な感動とはほど遠いといえる。
また著者が単に文化大革命を権力闘争、個人的野心などの観点で現実に起きた事態を描写していることは、著者の思想的立場、資本主義的「民主主義」賛歌を表しているとも思える。したがって、文化大革命の思想的検証についてはなされていない。
やはり毛沢東が中国社会の実際的状況をふまえて提起した「プロレタリア独裁下での継続革命」について思想的な評価がされなければ、文化大革命の本質は評価できないだろう。この本の最大の欠点はそこにあると思う。毛沢東が予想したように文化大革命の終焉とともに復活した最高指導者鄧小平が資本主義の道を中国に本格的に導入した。それが「改革開放」政策である。現在、マルクス主義の衰退、滅亡がいわれて久しいが、あらためて資本主義とはなにかを毛沢東は文化大革命の遺産をとおして死後も我々に問うているように思える。
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