紙の本
2002/04/01
2002/04/03 22:16
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投稿者:日経バイオビジネス - この投稿者のレビュー一覧を見る
浪費、過食、賭け事、薬物、飲酒や喫煙…。なかなかやめられない行動が実は遺伝子の仕業によるという考え方は、有名なリチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」をはじめとする著作物の影響で、幅広く浸透している。
この話題に関連する書籍が数ある中で、本書は人間が遺伝子によってどうコントロールされているかを、肥満や薬物中毒などにまつわる事例で紹介するとともに、著者なりにアドバイスを加えるという「うまい生き方論」に仕上がっている。
ただしそのアドバイスは「無駄な食材を買わないためには食事をした後に買い物をする」などのごく一般的なもので、実生活に役立つかどうかはそれぞれの判断に任せたい。生物の変な行動や著者の周辺の失敗談を、遺伝学の真面目な話と結び付けているのは面白い。
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紙の本
ものすごく意志の弱い人へ……(帯コピー・目次)
2002/01/24 13:32
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投稿者:bk1 - この投稿者のレビュー一覧を見る
【帯コピー】
浮気がやめられない
ダイエットは三日坊主
お金はいつもすっからかん……
気持ち・いいこと・だけ したい
心とからだの秘密
本能のウラをかいて思いどおりの自分になる方法
この本をあなたの脳の取扱説明書だと思ってほしい。
せっかく買った車や電子レンジに取扱説明書がついてこなかったら、だれだってだまされたような気がするだろう。ところが、私たちにとっていちばん大切な持ち物——つまり体と心——にそんな説明書はついていない。それで、扱いに困った人々はやみくもに満足感をもとめることになる。それは、ほんのちょっと体を動かすことだったり、十三分間セックスだったり、あるいはおまけつきのハンバーガーだったり、酒やスポーツカーだったりする。本書はその失われた説明書であり、私たちが自分の人生をうまく操れるようにするためのものだ。——本文より
【カバー袖紹介文】
ものすごく意志の弱い人へ……
やせたいのに、つい甘いものに手が出てしまう。貯金するつもりでいたのに、気がつくと給料を全部使い切っている。浮気ぐせがなおらない。禁酒禁煙もジョギングも続いたためしがない。これらはすべて遺伝子の生き残り戦略だ。私たちの心とからだを操る遺伝子の働きと、それを手なずける方法を教えてくれるのは、アメリカで注目されている新進気鋭の経済学者と生物学者の名コンビ。しっかりとした科学的な裏付けで、私たちの日常生活を例にとり、本能的な行動に明確な意味づけをしてくれる。意志の弱さを嘆く前に、その仕組みのウラをかいて「いじわるな遺伝子」を見返してやろう。
【目次】
序章 最強の敵は自分自身
第一部 太れないサイフと痩せられないカラダ
第1章 お金——気前よくダーウィン銀行へまっしぐら
破産/貯蓄/ビッグビジネス
第2章 脂肪——人間にエサをやらないで
ダイエット/怠惰/脂肪吸引
第二部 欲望の列車はどこまでも
第3章 ドラッグ——快楽への近道
カフェイン/アルコール/抗うつ剤/中毒/希望
第4章 リスク——遺伝子がスリルを求めてる
カジノ/激辛香辛料/ジェットコースター/ごほうび
第5章 欲望——走れ! 走れ! 幸せの踏み輪の上を
お金/幸福感/物質主義/進歩/喜び
第三部 恋愛と生殖
第6章 性——女の子vs男の子
オスとメス/ホルモン/同性愛/文化
第7章 美しさ——それは皮膚よりも深く
魅力/欲/流行
第8章 浮気——ひとりだけを愛したいのに
結婚/不倫/愛/色情/約束
第四部 家族、友人、そして敵
第9章 家族——私を縛る絆
血/きょうだい/争い/母性
第10章 友と敵——友を近く、敵をさらに近く
戦争/人種/ゴシップ/激怒/忠誠
まとめ 消えない欲望
謝辞/訳者あとがき
★【科学・技術・医学・建築サイトへ】
紙の本
より幸福な生きかたへの説得力あるガイドブック
2002/04/22 16:37
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投稿者:のはら そらこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
先進国の人々がダイエットしないと肥満しやすいことは、私だって、この本を読む前から知っていた。でもこの抑えがたい食欲が、人間が生存能力を高めるために組み込まれた遺伝子のプログラムだった(おまけに栄養たっぷりの料理がおいしいと感じるようになっていた)とは知らなかった。大昔は食べることが生存につながった。だから、食べ物があれば食べたくなるように人の遺伝子は組み立てられた。だが先進国の人々にとって、このプログラムはむしろ邪魔ものになってしまった。生存能力を高めるために組み立てられたはずの遺伝子のプログラムが、急激な文明の進歩についていけず、現代では反対に私たちを脅かすようになったのだ。
本書では、本来、生存能力を高め、遺伝子を進化させるために組み込まれた遺伝子のプログラムが、私たちをどんな風に操作しているのか、私たちにどんな悪さをするのかを解析してくれている。先にあげた食欲だけでなく、なぜ欲望に果てがないのか、人は誘惑に弱いのか、人と争うのか、また親切にしあうのかなどが、さまざまな動物や人間の例を挙げて遺伝子のレベルで科学的に、だが、科学に疎いものにもわかりやすく説明してくれている。
どの説明も、実に納得のいくものなので、人間も生き伸びる本能を持った利己的な動物に過ぎないのかと思うと、おかしい反面、もの悲しい。けれど著者たちは、人間にはセルフ・コントロールで遺伝子と戦う能力があると言う。そして遺伝子という視点から人間を理解したうえで、どうすれば道徳的で豊かな人生に導くことができるのかを、具体的に教えてくれる。本書は、より幸福な生きかたへの説得力あるガイドブックになっているのだ。
自分自身ではどうにも変えることができない遺伝子。でも、この手ごわい敵を知れば、それに対処しねじふせることもできる。人間とは、なんとまあ複雑で不思議な、そして可能性をもった動物だろう。
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痩せようと思ってもどうしてももりもり食べてしまったり、
貯金しようと思ってもついつい浪費してしまったり、人間
とはかくも弱い生き物か…と落ち込むこともしばしばなの
ですが。
遺伝子レベルでそれが盛り込まれているとしたら…そうな
らないように対策を打つことは可能である。
人間はなぜ誘惑に負けてしまうのか、解明してくれる本に
なっている。
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2011年の本、28冊目。
世の中の様々な抗えないもの、金銭欲、食欲、性欲、などを、
遺伝子の観点から考えてみましょうよ、という、
竹内久美子の、アメリカ人版、といったところ。
とりたてて目新しい発見はないけど、
(まあそれだけ竹内久美子を読んでるってことだと思うけど)
言い回しとか、例えとか、
ただ解説するだけではなくその解決法を必ず書いてるとことか、
いかにもアメリカ人といった感じで面白かった。
(まあ…解決法が実現可能かどうかは一旦別にして)
最近の話題とあわせて読むと面白いところがあったので、
ちょっと抜粋。
「すべての動物は、自分の遺伝子を首尾よく子どもに受け継がせることをめざし、そのために役に立つ相手と交尾しようとする。動物が“魅力的”と感じるのは、この繁殖の戦いに役立つ資質であり、人間の女性は高い地位を持つ男性の力にあやかることで、自身の利益を追求しようとする。」
地位に固執する人と、
自分がその地位になりたくて、ワイワイ言う人と、
マスコミ内での自らの地位をあげたくて、そんな政局をワイワイ言う人、
最近やたら目についてなんだかイヤんなっちゃうよね。
…と、↑ こんな風に偉い人を批評することで、
相対的に自分の地位を向上させたい誰かさんも、
みんなみんな女にモテたいんだよね!ははーん、男ってあはれ。
「女性は男性の地位に価値をおくのと同じ理由で、男性の富を重視する。 (中略) こうした女性の嗜好は結婚に関するデータに反映されている。富を得るには時間が必要であり、ために男性の魅力は年齢とともに増すことになる。二十世紀におけるアメリカ人の平均的な夫婦は、夫が妻より3歳年長であり、十七世紀のオランダでも状況は全く同じだ。」
これに加えて、男は男のほうで、
自分の子どもを産んでもらうために
若くて健康な女を選びたがるのが、遺伝子の力ってやつで、
かくして、ロリコンが世にあふれ、援交は決してなくならず、
島耕作は大町さんと寝るわけでありますよ。
今年で26歳になる誰かさんに彼女ができない理由を、
地位も富もないということに求めるならば、
3歳年下の新入社員が入ってくる今年から、
先輩風を吹かせたり、入ったばかりのボーナスを使ったりすることで、
チャンスが生まれるんじゃない?!いよいよ!?
…なーんて思ったところで、今の部署に新入社員は入ってこず、
震災の影響で東北の人事が凍結して次部署に行くこともできず、
今日も今日とてぢつとてをみるわけですよ。ははーん、岩手の男ってあはれ。
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進化によって獲得してきた性質の中には、「現代」の人間には不利なものも多く含まれる。たとえば、食べ物の取得が難しい環境の中に長年いるうえで、できるだけ高カロリーの食事を詰め込み、脂肪を蓄えるのは、生き残る上では有利であった。このような視点で、人間の行動の多くを解説する。
生物学者と経済学者の書いたものとしては、とてもわかりやすく、読みやすい。軽く読めてしまうので、この手の本をさらっと読みたい人にはうってつけかもしれない。また、トピックスは身近でわかりやすい物ながら、裏付ける根拠をきちんと示しているし、影響についても、細かい説明がある。
ただ、新しい内容はほとんど無かった。筆者は、リチャード・ドーキンス(「利己的な遺伝子」の作者)に傾倒しているようだが、理論の中で、ドーキンスが示した事象を超えるところが見られない。また、引用されている心理学実験についても、さまざまな本で引用されているもので、新鮮味はなかった。
特に、アドバイスが陳腐すぎる。食欲を抑えるためには、パーティの前に前もって何か食べていくこと、機内食のブラウニーには、マヨネーズをかけて食欲を減退させること、など、ひねりが無い。結局のところ意志だけで立ち向かうことは難しいのだから、意志で戦わなくてもいいようにする知恵が必要ということなのだろうが、こんなアドバイスなら、無いほうが良かったのでは・・・などと思ってしまった。
でも、簡単に読めて、面白い本だったので、遺伝子に興味が少しある人は、読んでみても良いと思う。
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ドーキンスの利己的な遺伝子のパロディ版かとおもったらとてもちゃんとした遺伝子による行動心理学の本でした。おおくはすでに話題になっている内容ですが、全体を概観するにはいい本だと思いました。
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分かりやすく、特に他の生物の紹介、対比は興味深かった。副題であおる欲望は、アメリカらしい。自分自身、あるいは日本人とは違うこともまた、進化と文化の道筋が違って面白い。生物の進化のスピードと人類の文化発達のスピードとのスケールが違いすぎることがギャップを生じさせてる。人間はこの先どんな進化をたどるのか、みてみたい。
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人が原始人を10万年もやっていたのに、現代人はせいぜい200年ぐらいしかやってない、だから体の一部である脳も実は原始人のスペックで現代を生きていて そのゆえ現代社会に合わない(原始時代には十分合理的な)行動を取ってしまう ということを例を交えながら説明
・人がダイエットできないのは、原始時代は食べ物がすぐ腐って貯蔵できないから 目の前にあるものはすぐ食べて脂肪として体に蓄えることが合理的だった
・お金を散財してしまうの同じ理由 目の前から消えてしまう前に使ってしまうのが合理的だった原始時代の行動原理を現代人が引きずっているから
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遺伝子(生物進化)の観点から人間の行動や欲望について解説。肥満が飢餓を予防するという理由で遺伝子としては「正しい」行動であることなど、興味深い内容が多い。具体的な対策も提案されている。
欲望には限りがないという動物としての本能は、人口問題や環境問題などの根本原因といえるだろう。「足るを知る」との教えは、遺伝子や神経伝達物質の働きの観点からも正しいと言えそうだ。
肥満
・事前に何を食べるかを決めること。何を食べたかを記録すること。
ドラッグ
・ドーパミンは強烈な快感をもたらすが、すぐに消えてしまうため、同じ行為を繰り返したくなる。カフェインやコカイン、抗うつ剤は、ドーパミンやセロトニンの再取り込みをブロックすることで、高い濃度を維持させる。
・エンドルフィンは、全身からの痛みのメッセージをブロックしてストレスを和らげる。麻酔薬やヘロインは、エンドルフィンを模倣したもの。
・ニコチンはアセチルコリンの模倣をして、アドレナリンを放出し、ドーパミンを大量に放出する。
・アルコールは、興奮性神経伝達物質のレセプターをブロックしてリラックスさせ、ドーパミンの再取り込みを妨げて幸せな気分をもたらし、エンドルフィンの放出を促進して痛みを和らげ、セロトニンのレセプターに作用して気分を明るくさせる。
リスク
・危険な行動はドーパミンの報奨システムを刺激する。このシステムに不全のある人は、極端な行動に走りたがり、危険な行為、リスクの高い行動、辛い食べ物を好む。
欲望
・人間の本能は過去の成果によらず、つねに最大限の努力を求める。欲望は小さくして幸せを味わう。大きな仕事を消化可能な仕事量に分けて、小さな目標を達成し続ける。不幸や逆境の直後は大きな決断をせず、時間が経って落ち着くのを待つ。他人には過大な期待を与えず、控えめに伝える。
・幸福感を得られるのは目標達成であり、怠惰ではない。大きな幸福を感じるのは、自分の技術をフルに生かしながら、達成可能な目標に向けて邁進しているとき。
性
・性的二型が大きい種ほど、小さい方の性が子育てを担う割合が大きい。
・テストステロンは寿命を短くする効果がある。
美しさ
・人間は自分と異なる免疫システム(MHC、HLA)を持つ相手に強く惹かれる。元気で健康な子供が生まれやすい。
浮気
・人間の精子の99%は、別の男性の精子を攻撃したり、子宮に近付くのを阻むブロッカーとして機能する。カップルがしばらく離れた後は、ブロッカーの役目をする精子の割合は高くなる。
・離婚の原因となるのは、生殖能力(子供の有無)、貞操(浮気)、金銭、セックスの4つ。
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言い訳にしちゃいけないしそういう下品な本ではないんだけど「私がダメな理由は私のせいじゃありませんから」という私の背中を賢い人が支えてくれてるような。とにかくこういう本好き。