投稿元:
レビューを見る
私の大好きだった歴史家の1人だった石井進氏。読みやすい・わかりやすい文章で中世の魅力について語られていました。発掘関係の著作などは土の香りがしそうな、当時の建造物がリアルに想像できました。
投稿元:
レビューを見る
日本の中世は過去10世紀の半分以上を占め、平安末期から戦国時代まで。それは武士の時代でもある。当時において日本の辺境はどこまでだったのか。俊寛が流されたと言う鬼界ヶ島、そして蝦夷地。安藤氏という津軽・十三湖を本拠地とする豪族の研究(十三湖が立派な港町だった。)も興味深いものがあります。また北条時代の鎌倉についての研究も面白いです。石井氏という人は網野善彦氏の先生筋に当たる人だそうで、民俗学との接点ともいうべきシリーズの第1巻として、今後が楽しみです。(なお、この本は2001年に亡くなった石井氏の絶筆だとのこと)現在、武蔵野に住んでおりますが、昔の雰囲気が残っている場所が多く、この時代が自分には身近に感じられます。
投稿元:
レビューを見る
鬼界ヶ島や十三湊などの地理的な境界や、網野的な非人考察など、多岐に渡る参考文献の量を見てもわかる通りに、かなり詳細な論考がいくつかされている
投稿元:
レビューを見る
2002年刊行。著者石井進氏は元東京大学文学部教授。日本中世史研究家の泰斗、生前の最後の書である。道南・東北北部の蝦夷論、鎌倉周縁、日蓮、商人、下人・所従が主テーマであり、環境変動の歴史的影響に依拠する議論も散見され、いわゆる政治史・土地支配史・税制史はほぼ皆無(あるいは前提知識かもしれないが、多少物足りなさ)。という意味で社会史という括りになるのだろう。勿論、今後解明されべき問題点と著者が考えている事項は各々素直に開陳しているので、問題意識醸成という意味でもイイ感じである。
投稿元:
レビューを見る
石井進
中世のかたち 日本の中世 全12巻の1巻。信頼しうる学説や豊富な文献を基に中世史をまとめた本。中世史のキーワードと細かい知識が満載。1巻でお腹いっぱい。
動乱、飢饉、階級、差別など 中世は 不幸で 不条理。こういう現実だからこそ、生き抜くために「存在=無」とする 中世の思想が生まれたのか? とも思う。生きるのを諦めるより、「生=死」というゼロ思想の方が 環境に関係なく 生き抜く人間のエネルギーを感じる。
中世を特性から定義することにより、通常の中世(鎌倉時代以降)より 早く 平安時代後期以降とし、さらに 中世における日本国土を辺境から定義。なるほどなアプローチ。
中世の特性を 政治権力の分散、軍事台頭、人間の鎖(上下の人間関係)、荘園、仏教としている。人間が鎖で繋がれたような社会という例えは 大袈裟にも思ったが、読むにつれて 納得。
中でも エゾの中世史は とても面白い。前後も含めて もう少し知りたい。蠣崎氏や「新羅之記録」の本を探そうと思う。
気になった中世のキーワード
*温暖化、東北が農業フロンティア
*安藤氏、十三湊
*エゾ島、蠣崎氏、「新羅之記録」
*飢饉、忍性の極楽寺、日蓮「立正安国論」
*連雀(レンジャク)商人
エゾの歴史書「新羅之記録」
*武田信広が安藤氏とともにエゾ島に渡り、上ノ国の館を預かり、アイヌ側のコシャマインを討ち取る
*上之国の蠣崎季繁&武田信広と下之国の安藤家政とが盟約
*蠣崎氏が 安藤氏を滅亡させ、松前藩主の地位を奪った
気候変動
*中世は温暖化の絶頂期=温暖化が生んだエネルギー
*温暖化→東北は農業フロンティア→東の源頼朝が有利
*西の大飢饉→西の平氏滅亡
日蓮「立正安国論」
*死せる者は大半をこえ、これを悲しまぬ者あえて一人もいない
*天変地異、飢饉を憂いた日蓮
*日蓮の出自=せんだら(最下層)